「輝く英国ロイヤルバレエのスター達
」に注目! 豪華出演者&魅惑の傑作
群で贈る新感覚のバレエ公演

いま、英国ロイヤル・バレエ団が熱い。世界屈指の名門である同バレエ団は古典作品や物語バレエのみならず新しい創作にも積極的だ。そして日本を含む世界各国から集うスターたちも見逃せない。2019年初夏に行われた日本公演は大盛況で、ロンドンの本拠で催す公演のライブ中継(日本では「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」として上映)も大好評。そんな上り調子のカンパニーのトップダンサーが集う「輝く英国ロイヤルバレエのスター達」が2020年1月31日(金)~2月1日(土)昭和女子大学 人見記念講堂で行われる。ここではスペシャルな公演のコンセプト、出演者、上演プログラムを紹介し魅力に迫りたい。
■バレエをもっと見てもらいたい! 小林ひかるの熱き想い
プロデュースするのは英国ロイヤル・バレエ団で15年間活躍し先年現役引退した小林ひかる。「日本のバレエの状況を少しでも変えていきたい」との思いから企画した。欧米やロシアではバレエは一流の舞台芸術として幅広く親しまれているが、日本ではバレエダンサーがプロとして活動する基盤がまだまだ弱い。そこで小林は「客層を広げることが第一。皆様に劇場に足を運んでいただき、バレエをもっとよく知ってもらいたい」と考え立ち上がった。
小林ひかる (撮影:稲澤朝博)
本公演の第一の特徴は1演目ずつ映像による導入があり、その作品を踊るダンサーが作品について簡単に紹介したり、思いを伝えたりすること。これは観客に「もっと理解していただき、分かりやすく見てもらいたい」という小林の願いが込められているが「解説というよりも、ちょっとしたヒントのようなもの」(小林)で、作品世界へとより深く誘ってくれそうだ。
■バレエの真髄を3つの角度から紹介
そして、この公演は3つのテーマに分かれたプログラムが設定されており、1公演につき2プログラムずつを上演する構成。Part 1「ダイナミズム- Dynamism -」はバレエならではのダイナミズムを切り口とし、Part2「パーソナル・エモーション- Personal Emotion -」はダンサーの感情表現に焦点を当て、Part3「神秘的な存在- Mystical Being -」は人間ではない存在を踊る演目を取り上げる。この3つのテーマを「バレエに欠かせない要素」と小林は述べ、バレエファンに限らない多くの人たちにバレエの魅力に開眼してほしいと願っている。
『火の鳥』 (c)Tristram Kenton ROH
■英国ロイヤル・バレエ団屈指の豪華&俊英キャストが10名が集結!
各プログラムの紹介に移る前に豪華出演者に触れたい。ウィールドンの『不思議の国のアリス』『冬物語』という21世紀の傑作物語バレエを初演したローレン・カスバートソン、華やかにして詩情豊かな踊りが魅力的な高田茜、古典作品から現代作品まで鮮烈に踊り分けるヤスミン・ナグディというトップ・プリマが揃う。男性陣も小林の公私のパートナーであるイタリアの貴公子フェデリコ・ボネッリ、日本人離れしたスケールの大きな踊りと存在感で魅せる平野亮一、現代最高峰のダンス―ル・ノーブルと称して過言ではないワディム・ムンタギロフが参加する。シャープかつ優美な造形美に秀でるメリッサ・ハミルトン、このところ飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍するブラジル出身の気鋭マヤラ・マグリ、2020年春全国公開予定の映画『ロミオとジュリエット』(マクミラン振付をマイケル・ナンが監督)でロミオ役を演じる新星ウィリアム・ブレイスウェル、多彩な役柄で才能を発揮する演技巧者であるアクリ瑠嘉も要注目だ。
「輝く英国ロイヤルバレエのスター達」出演者集合写真 (c)Andreuspenski
■バレエのならではのダイナミズムとは
Part 1「ダイナミズム- Dynamism」は古典中の古典からネオクラシック、コンテンポラリーまでをしっかりと披露。『白鳥の湖』より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ、『コッペリア』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ、『ライモンダ』第3幕グラン・パよりという古典の名場面で力強い表現と目の覚めるようなテクニックを見せるかと思えば、20世紀の巨匠バランシンの名作『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』で緩急自在に舞う。そしてウィールドンが紡ぐ繊細な音楽性が見事な“Corybantic Games” よりパ・ド・ドゥ、英国ロイヤル・バレエ団常任振付家である鬼才マクレガーの代表作『クローマ』よりパ・ド・ドゥといった21世紀の清新な逸品も堪能できる。
『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』
■演者の感情を反映しドラマティックに
Part2「パーソナル・エモーション- Personal Emotion -」にはドラマティックな作品が揃う。マクミランの『ロミオとジュリエット』よりバルコニーのパ・ド・ドゥ、『レクイエム』より2つのソロ(第2曲 オッフェルトリウ・第4曲 ピエ・イェズ)、アシュトンの.“Dance of the Blessed Spirits”という英国バレエの作品だ。オランダの大御所ファン・マーネンによる洗練された佳作“Two Pieces for HET”、かのシルヴィ・ギエムが踊ったことで知られるベジャールの名品『ルナ』 (月のソロ)、ソビエト・バレエ屈指のコンサートピースであるメッセレル振付『春の水』よりパ・ド・ドゥという変化に富んだラインナップも楽しみなところ。小林とダンサーたちが話し合い、演者の感情を反映できる作品を選んだというだけに期待が高まる。
『レクイエム』
■バレエならではの神秘の物語がここに
Part3「神秘的な存在- Mystical Being -」には異界や人間ではない存在を扱った物語が並ぶ。フォーキンがロシアの民話から着想した『火の鳥』よりパ・ド・ドゥ、アーノルドの曲にビントレーが振付した“Homage to the Queen”より Earthのパ・ド・ドゥ、バランシンが生んだ絶美の名編『アポロ』より、19世紀のロマンティック・バレエの精華『ラ・シルフィード』、アシュトンがギリシア神話に基づいて振付した『シルヴィア』よりグラン・パ・ド・ドゥを上演し、妖精や神々など神秘的な存在を体現する。イマジネーション豊かな宇宙に浸りたい。

『シルヴィア』 (c)Alice Pennefather ROH

■独自の視点から比類なき感動体験へ
小林は出演者10名を「皆一緒に踊ってきた信頼の置ける仲間ばかり」と語るが、錚々たる顔ぶれを日本に呼べるのは小林が“ロイヤル・ファミリー”から厚い信頼を得ている証である。アシュトン、マクミラン、ビントレー、マクレガー、ウィールドンらの作品を通して演劇的バレエの極致や音楽的で精神性の高い佳作を披露し、英国バレエの真価を示すのは疑いない。その上で古典や英国もの以外の作品も配してバレエの多様な魅力を独自の視点から提示する。小林の熱い想いと確かなプロデュース力があって実現する新感覚の公演だ。バレエ・フリークはもちろんのこと初めてバレエに触れる方も新鮮な感動を覚えるに違いない。まさに必見である。
【輝く英国ロイヤルバレエのスター達】CM映像
取材・文=高橋森彦

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