“バレエ界のレジェンド”アレッサン
ドラ・フェリ&ロベルト・ボッレにイ
ンタビュー~『フェリ、ボッレ&フレ
ンズ』まもなく開幕

イタリアが生んだ“バレエ界のレジェンド”として名高いアレッサンドラ・フェリ、ロベルト・ボッレと9人のスターが贈る『フェリ、ボッレ&フレンズ』が2019年7月31日(水)~8月4日(日)文京シビックホールで催される。A・Bプログラムを上演し、Aプロではフェリ&ボッレ共演の『マルグリットとアルマン』他を、Bプロではフェリが巨匠振付家ジョン・ノイマイヤーと組んだ「フラトレス」~『ドゥーゼ』より他を披露する。SPICEでは公演を控え来日したフェリとボッレそれぞれに緊急単独インタビューを行い、公演の見どころや意気込みを聞いた。
アレッサンドラ・フェリ インタビュー
ーー『フェリ、ボッレ&フレンズ』のAプロでロベルト・ボッレさんと全編を踊る『マルグリットとアルマン』(振付:フレデリック・アシュトン)に対する思いをお聞かせください。
私はマルグリットという女性が好きです。ジョン・ノイマイヤーの『椿姫』も踊りましたが、全3幕を通して主人公の心理が少しずつ深まっていく描き方です。それに対しアシュトンは複雑な人生の物語を1幕に凝縮させていて、同じ物語が小説から一編の詩になったかのような印象を受けます。マーゴ・フォンテイン(英国の伝説的なバレリーナ)のために創られましたが、それは彼女が若くはない頃のことでした。私は3年前に英国ロイヤル・バレエ団で初めて踊りました。それまで踊る機会がなかったのですが、それでよかったと思います。なぜなら、その間に役柄を深められたからです。
アレッサンドラ・フェリ
ーーフェリさんにとってボッレさんと踊るのはどのような体験ですか?
とても特別です。ロベルトとはノイマイヤーの『椿姫』も踊りました。今回数年ぶりに共演するので楽しみです。ずいぶん昔のことですが、ミラノ・スカラ座バレエ団のモスクワ公演で私と『ロミオとジュリエット』を踊る予定だったフリオ・ボッカが怪我で降板し、若かったロベルトと急きょ一緒に踊りました。彼がまだ若い時代から踊ってきたので成長をうれしく思います。
ーーBプロでノイマイヤーの「フラトレス」~『ドゥーゼ』よりを踊ります。「これまで踊った中でもっとも精神的なバレエであり、素晴らしい経験です」(チラシ掲載のメッセージ)と述べられていますが、どんなバレエでしょうか?
ノイマイヤーが私のために創ってくれた『ドゥーゼ』(2015年)の中の一部で、私にとってとても特別なバレエです。女優のドゥーゼが亡くなった後のパートが「フラトレス」で、ドゥーゼの魂に焦点を当てています。人間の存在を超えた、体も感情も時の流れも全部無くなってしまった純粋な精神性を表しています。共演するカレン・アザチャン、カーステン・ユング、アレクサンドル・トルーシュ、マルク・フベーテとはハンブルク・バレエ団で初めて踊って以来共演しています。ノイマイヤーが選んだ彼らは素晴らしいダンサーたちです。
アレッサンドラ・フェリ
ーーあなたは44歳で一度引退されましたが復帰を果たし世界中で活躍されています。踊りへの情熱を駆り立てる源は何ですか?
私はダンサーです。生まれながらにしてダンサーです。踊ることは仕事というよりも人生の目的です。踊ることによって人格が満たされ、私というものが成り立つのです。
ーー最後に「フェリ、ボッレ&フレンズ」を日本で上演することへの思いをお話しください。
日本ではさまざまなバレエが上演されていますが、その中でも古典的なガラとは少し違うと思います。そしてノイマイヤーが生誕80周年ですので彼の作品を重点的に集めています。私は日本をとても愛しています。第二の故郷のようで人々も大好きです。
アレッサンドラ・フェリ
ロベルト・ボッレ インタビュー
ーーボッレさんがプロデュースする人気公演『ボッレ&フレンズ』にアレッサンドラ・フェリさんが加わった『フェリ、ボッレ&フレンズ』の見どころを教えてください。
『ボッレ&フレンズ』を世界中で公演してきましたが今回のプログラムは日本の観客の皆様のために特別に考えました。芸術的に高いレベルの演技をお見せします。
Aプロで『マルグリットとアルマン』(振付:フレデリック・アシュトン)の全編を上演しますが、ガラ公演で見ることは貴重です。それを今回アレッサンドラと初めて踊りますので、日本の観客の皆様への大きなプレゼントになると思います。30分くらいの作品ですが役を生きることができる。内容が濃く、身体的にも心理的にもかなりきついのですが、ずっと舞台に入りっぱなしで踊るので内面を表現できます。
ロベルト・ボッレ
Bプロはジョン・ノイマイヤーの生誕80周年へのオマージュで、アレッサンドラが「フラトレス」~『ドゥーゼ』よりを踊る他『バーンスタイン組曲』を上演し、私はジョンと親しかったモーリス・ベジャールに捧げられた『作品100~モーリスのために』と私のために創られた『オルフェウス』よりパ・ド・ドゥを踊ります。普段のガラ公演では見られない非常に特別なクオリティのプログラムになっています。
ーーボッレさんにとってフェリさんと踊ることはどのような体験ですか?
とても特別です。私が若い頃から一緒に踊ってきましたが、最初はアレッサンドラにリードしてもらって学ぶことが多かった。彼女は偉大なアーティストでカリスマ性があり、人間的にも素晴らしい。アンナ・マニャーニ(イタリアの往年の名女優)と比べて語られるような女優ダンサーです。そんなアレッサンドラと踊ることによって私のダンスに向き合う姿勢が変わってきたように感じますし、いまだに彼女から学び続けています。
ロベルト・ボッレ
ーー出演者のうちシルヴィア・アッツォーニさん(ハンブルク・バレエ団プリンシパル)、アレクサンドル・リアブコさん(ハンブルク・バレエ団プリンシパル)、メリッサ・ハミルトンさん(英国ロイヤル・バレエ団ファースト・ソリスト)、上野水香さん(東京バレエ団プリンシパル)、マルセロ・ゴメスさん(国際ゲストダンサー)の印象をお聞かせください。
シルヴィアは繊細で女優のようですがダンスのクオリティも素晴らしい。サーシャ(リアブコ)とは『作品100~モーリスのために』で共演しますが、ジョンにとって特別なダンサーでカリスマ性があります。メリッサは芸術性、美しさ、それに人間性が素晴らしい。舞台上でもオフ・ステージでも彼女のことが大好きです。水香とは2年前に東京バレエ団の『アルルの女』(振付:ローラン・プティ)で共演していますし、イタリアでも何度も踊っています。日本人のなかでベストなバレリーナだと思います。マルセロは多才で何でもこなし、強い存在感もあって世界的にベストなダンサーのひとりです。
ーー『フェリ、ボッレ&フレンズ』開幕に向けてアピールをお願いします。
A・Bプロ両方をぜひご覧いただきたいです。バレエが好きな方は逃さないでほしい。バレエ団の日本公演やガラ公演で何度も来日していますが、今回の公演は芸術的なクオリティが高く特別です。人選や演目が普段のガラ公演とは比較になりません。バレエ団の公演とガラ公演の中間にあるような内容で、ダンサーがどのように踊っているのかということへのリサーチも見える公演となっています。心で踊っていることをお見せします。
ロベルト・ボッレ
取材・文=高橋森彦 撮影=池上夢貢

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