【インタビュー】スコット・イアン「
メタル文化は強靭だよ」

Download Japan 2019>の一環で来日を果たしたアンスラックスのスコット・イアンにコンタクト、話を聞く機会を得た。

40年近くにわたってヘヴィサウンドを鳴らし続けるスコット・イアンだが、変わらぬアイデンティティとブレのないメタル精神を貫きながらも、変化と革新を恐れないミュージションシップを今もなお輝き放っている。ライブ/イベント/フェスは活況といえど、音楽自体は売れなくなり原盤ビジネスも崩壊、音楽業界が岐路に立たされている中で、メタルレジェンドは、現況をどう捉えているのか?話を聞いた。
──CDはなくなり、ダウンロードもシュリンク、今ではサブスクリプションと無料動画サービスで音楽が流通されるようになりましたが、アンスラックスはこの状況をどう捉えていますか?

スコット・イアン:俺たちは業界とか気にしていないよ。俺たちはもともとアンダーグラウンドな音楽で、アンダーグラウンドの立ち位置にいて、それは今も昔も変わらないからね。大きなスケールの話よりも、俺たちは目の前のいい曲を作っていいライブをやるだけだし、これから迎える38周年でどんなサプライズができるかのほうが大事だよ(笑)。

──そうですよね。安心しました。

スコット・イアン:メタルは日に日に強くなっている。日本でもダウンロードフェス<Download Japan 2019>が開催されることになっただろ?大規模なフェスが世界中に広がっていて、今まで行ったことのない場所でもメタルフェスの開催が増えている。メタル文化は強靭だよ。

──「新曲は作らない」というレジェンド・アーティストの発言もよく目にするのですが、「表現欲求というアート」と「オーディエンスを楽しませるエンターテイメント」とのバランスに苦しむことはありませんか?

スコット・イアン:正直なところ「ニューアルバムを出さなくてはいけないか?」というと「出さなくても構わない」のかもしれない。単に生活していくために活動するという意味だけで言えば、これまでリリースしてきた作品の中に人気のある曲はたくさんあるから、それらをプレイしていればワールドツアーを続けていくことはできる。でも、それってミュージシャンとしての俺達じゃないよな。俺たちは新たな音楽を作っていくことが好きなんだよ。それはすごく重要なことでね、制作をやめてしまうと、それはものすごくつまらないものになってしまう。

──良かった。何も変わっていないですね。
スコット・イアン:昔と比べて変わったことがあるとすれば、スパンは変わったね。以前は1~2年でニューアルバムをリリースしていた時代もあったけど、その頃よりもツアーで世界を回っていることが多くなってその分忙しくなっているから、アルバムのリリースのスパンはどうしても長くなってしまうよ。

──我々オーディエンスは、聞いたこともないメタルソングの登場を楽しみにしています。

スコット・イアン:そうだよね。俺だっていろんなバンドのファンだから、彼らが作る作品やどんな新しいことをやるんだろうって、すごく興味があるよ。

──そもそもアンスラックスが登場してきた時、そのギターサウンドに衝撃を受けたものです。初来日のライブも観ましたが、初めて聴く生のウルトラゲイン・ヘヴィサウンドで、どうすればあんな音が出るのか全くわかりませんでした。

スコット・イアン:あの頃は、ジャクソンのランディー・ローズ・モデルとESPを使っていた。ピックアップはセイモア・ダンカンのJB(SH-4)だよ。ランディー・ローズ・モデルは、ニューヨークの48丁目にあるサムアッシュという楽器屋で1982年に買ったんだ。シリアルナンバー#507という初期モデルなんだぜ。ジャクソンが好きで愛用していたんだけど、ついにジャクソンのモニターになるというときに、奴らはバンドのリード・ギタリストにしかギターを提供しないと言ったんだ。つまり、ダン・スピッツにはギターをプレゼントするけど、俺にはなしだと。そんな事あるか?ってびっくりだよ。それまでに何本も買って使ってきたってのに。そんな事を言うから、俺は頭にきてジャクソンからESPに乗り換えたんだ(笑)。

──確かにそれはひどいですね。

スコット・イアン:ジャクソンは俺のフェイバリット・ギターだったんだけど、知り合いを通じてESPがギターを作ってくれるとコンタクトを取ってきたから、ESPのギターを使うことにした。しばらくしたら今度はジャクソンから「ぜひギターを作りましょう」とラブコールをしてきたんだけどね(笑)。

──その頃使っていたアンプはマーシャルですよね?

スコット・イアン:JCM800だよ。それにt.c.electronicのブースター+ディストーションでブーストさせていた。それだけだよ。

──JCM800は2インプットの2203ですよね? それにt.c.electronicでブーストさせるだけで、あの音になるなんて信じられないなぁ。マーシャルはカスタマイズしていたんでしょう?

スコット・イアン:あはは、ノーマルのままだよ。あとジュビリーも使っていたな。

──信じられない。
スコット・イアン:ポイントはt.c.electronicのブースター+ディストーションだよ。それでブーストするんだ。ブーストしないとAC/DCみたいなサウンドのままだからね。実はマーシャルも良いサウンドの個体を選んだけどね。マーシャルは1台1台全て音が違うから、マーシャルの倉庫に行って片っ端に音を出してベストサウンドのアンプを2台探し出したんだ。今は本当に素晴らしいサウンドのマーシャルを4台持っているよ。

──なるほど、秘密はそこだ。

スコット・イアン:ランドールのシグネチュア・モデルもあるけれど、ランドールが営業をストップしてしまったから、今はEL34のパワー管を積んだEVH 5150を使っているんだ。けど、本当のシークレットは左手と右手だからね(笑)。もちろん機材は重要だけど、その人の音はその人が作るんだ。ジミー・ペイジ、エリック・クラプトン、ダイムバック・ダレル、デイヴ・ギルモア、ジミ・ヘンドリックス…彼らはどんな機材を使っても自分の音が出るだろ?エディ・ヴァン・ヘイレンは、俺の機材をそのまま使ってあのブラウン・サウンドを出しちまうんだぜ。

──わかります。

スコット・イアン:チープ・トリックと一緒に何度かステージに立ったけど、リック・ニールセンの機材でも俺が弾くとそれはスコット・イアンの音になる。俺の機材とは全く違う機材だけどね。

──今回の来日公演もいいステージになりそうですね。

スコット・イアン:俺たちはアンスラックスとして全力でプレイしているけど、オーディエンスからのエナジーというものがショーのレベルをさらに高める要因になっているのは間違いないね。ヘヴィメタルの観客というのは、どの国に行ってもエネルギッシュだしものすごいパワーを持っている。もちろん国や地域によって盛り上がり方や文化の違いはあるけれど、むしろ俺自身はオーディエンスのエナジーを吸血鬼のように吸い取って、それをガソリンにしているんだ。それが自分のパフォーマンスにも影響するよね。

──日本のオーディエンスはどうですか?

スコット・イアン:いつも本当に最高だよ。モッシュピットがとにかく速いんだよ。あんなハイスピードは日本だけだね。まるでエクササイズしているみたいな速さなんだよ(笑)。みんなモッシュで鍛えているのかな(笑)。

──スコットもあそこに入りたいでしょう(笑)?
スコット・イアン:時にはいいかもね(笑)。エキサイティングだろうな。初めて日本に来た1980年代は座席があったからモッシュピットなんかなかったんだけど、2回目の来日公演のときに「マッドハウス」をプレイしている時ジョーイ(・ベラドナ)がステージにひとりの観客を引っ張り上げたんだ。そしたらそれをきっかけに100人位のオーディエンスが次々とステージに上ってきてね、もう大変なことになった。当時は大騒ぎになってもう来日公演もこれで中止か?みたいなトラブルに発展したんだけど、今ではいい思い出だよ(笑)。

──これから発表される新曲も楽しみにしています。

スコット・イアン:今、4曲の新曲の骨組みがある。アメリカに帰ったら曲作りに入るよ。これからアレンジしていくところだけど、今年中には10曲程度は作り終えて、2020年にはニューアルバムを出したいと思っているからね。今の所ものすごいスラッシーな曲もあるから、俺も楽しみにしているんだ。
取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也

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