「コント番組の火は絶やしちゃいけな
い」―『LIFE!~人生に捧げるコント
~』チーフ・プロデューサー 有田康
雄氏インタビュー

テレビでは数少なくなった「コント番組」に込められた思いとは?「私たちは絶滅危惧種」と語る、チーフ・プロデューサーの有田康雄氏に話を聞いた。

―はじめに、『LIFE!』立ち上げのいき
さつを教えてください

私は、元々『サラリーマンNEO』と言う番組を担当していました。深夜番組にもかかわらず、人気があって評価も高かったのですが、2011年に終了を迎えることになったんです。スタッフみんなが「スタジオコントやコメディがなくなるのは非常に残念」と感じていました。最近では『ピカルの定理』(フジテレビ系)が終了しましたが、NHK・民放含めて、コント番組は非常に少なくなっています。そのため、「コントの番組の火は絶やしちゃいけない」と、ずっと思っていたことが第一にありましたね。また必ずコント番組をやりたいと考えていました。

―どのような経緯で、内村光良さんがご
出演されることになったのでしょうか?

内村さんには、私たちスタッフたっての希望で『サラリーマンNEO』に一度ご出演頂いたことがあります。そこで、今回の番組立ち上げに当たって「是非、念願の内村さんにお願いしたい」と言うことで、直接ご相談したんです。ちなみに、『サラリーマンNEO』と『LIFE!』を担当している放送作家は、従兄の内村宏幸さんというご縁もあるんですよ。

―内村さんの反応はいかがでしたか?

内村さんはバラエティ番組や映画など様々なお仕事をされていますが、スタジオコントが一番お好きなんですね。そうしたこともあって、すぐにご快諾頂きました。

―先ほど『ピカルの定理』のお話も出ま
したが、他のコント番組を意識すること
はありますか?

あまり意識するということはありませんね。NHKでは民放のようにタブーなく大暴れするのは難しいですし(笑)。私たちが番組作りで考えているのは、『サラリーマンNEO』含めて、今まで積み上げてきたものの中から、どんな新しいことが出来るだろう、と言うことです。家族みんなが楽しめる番組を前提としながらも、ギリギリを狙っていくというのが「僕らなりの暴れ方」なんだと思います。「下ネタなし、いじめなし、誹謗中傷をしない」ということは、暗黙のルールですね。

―内村さんのコントへの関わり方にはど
んな特徴がありますか?

例えば、ダウンタウンの松本人志さんとNHKは『松本人志のコント MHK』でご一緒しましたが、そこで松本さんはスタッフと一緒に作り上げたネタを、最終的により先鋭化させた形に仕上げていきました。アーティスティックで、鋭い笑いですよね。
内村さんは、松本さんとはまたベクトルが違うと思います。コントで尖がることはしないんですよね。私たちが作った企画を基本にして、そこから世界を広げていく感じです。内村さんはどちらかと言うと、「私たちが作った神輿に乗ってもらう」というイメージですね。また、コントには、どこか「まろやかさ」があります。それは、内村さんのお人柄も大きく影響しているんだと思います。

―番組では、『イカ大王』など、魅力的
なキャラクターも数多く生まれています
よね

実は、イカ大王はすごく不安でした。番組最初だからインパクトあるネタで行こうと、イカの着ぐるみはもちろん、潜水艦まで作ったものの、これウケなかったら最悪だなあと思ってたんです……ドランクドラゴンの塚地さんも「最初がこれかあ」と不安がられていましたね(笑)。でも、幸いなことに子供に凄く人気が出ましたし、おかげで紅白に出演することもできました。

―番組のターゲットはどの世代を考えて
いたのでしょうか?

番組当初は内村さんと同世代の40代をメインターゲットにしていましたが、ふたを開けると『イカ大王』や『無敵の男』『宇宙人総理』などを小さな子供が楽しんでくれているほか、10代から50代まで幅広くご覧頂いています。NHKは、どうしても若い方に見て頂ける番組が少ないので「NHKも意外と面白いことやるじゃない」と、イメージを変える番組になりたいと思いますね。まずはNHKナンバー1の「笑いの職人集団」を目指しています。

―番組にはどんな反響が寄せられていま
すか?

私が嬉しかったものとしては、「子供が兄弟で『イカ大王』の真似をしてます」「『宇宙人総理』の真似をして、目から光線を出そうとしています」といった声ですね。子供の心をつかんだという経験は初めてでしたので。振り返ると、子供たちに人気がある企画は、私たちが童心に返って考えたものばかりなんです。『イカ大王の頭の形はどれがいいんだ!』なんて、みんなで会議室にこもって頭を悩ませましたから(笑)。私たちがもっと一生懸命になって遊ぶことが大事だと思いますね。

―『LIFE!』の笑いには「悲哀」も見ら
れますが、そこにはどんな思いが込めら
れていますか?

中年の出演者が多いので、自然と出てくるところがあるんですよね。無理して出しているわけじゃないんですよ。内村さんも「昔はカッコいい役もあったんだけど、最近は悲しいおっさんが多いなあ」と、仰っていました(笑)。これは私たちの番組の特色でもありますね。

―それでは、これから『LIFE!』をご覧
になる方々へメッセージをお願いします

とにかく家族一緒になって、「何だコレ!?」と突っ込みながら笑って楽しんでほしいなというのが一番ですね。
笑いって素晴らしいものだと思っています。笑うことで、いがみ合ってた親子の関係が少し解消したり、心のちょっと欠けたところが満たされたりしますよね。『LIFE!』でも、そんな気持ちになれるコントを作って行きたいと思っています。是非ご覧になってください!

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