「大×大」コンビこと、ギタリスト・
木村大とビアニスト・榊原大のデュオ
が好評、クラシカル・アルバム『Ros
so Nero』ツアー開催中

 ギタリスト・木村大とビアニスト・榊原大がデュオを組み、バッハやベートーヴェンなどクラシック曲を軸にしたアルバム『Rosso Nero』をリリース。2019年1月下旬までツアーを展開中だ。
 木村は榊原を「大さん」と呼ぶ。
「2年前にリリースした僕のアルバム『ECHO』で大さんに演奏してもらって共演を重ねるうちに、2人ならではのものを残したい思いが強くなって。ディスカッションするうちに、僕も大さんもクラシックがルーツなので潔くギターとピアノだけで……と」
 一方、榊原は木村を「大」と呼ぶ。つきあい始めた頃は「大くん」だったそうだが。
「曲を出し合って、4月にレコーディング。大は『ECHO』でセッションしたときの印象のままって感じの、自由でとらわれない演奏で、あまり深く考えずに2人ならではのサウンドを出せたと思います。お互い音を聴くし、オーラも感じるし、共演を重ねるにつれて引き出しも分かってきたし。自然にニュートラルにやるようにしてますね」
 アレンジは、“違う楽器の奏者”ならではの視点やアイデアを生かし、ピアノ曲を木村が、ギター曲を榊原がアレンジして、ふたりで仕上げたという。
「例えば、ディアンスの『タンゴ・アン・スカイ』を大さんがアレンジしてくれて、とてもリズミカルになったし、ギターよりピアノの音域が広いので、大さんの方がチョイスする音域が広いんですが、どの曲もピアノならではの特長が出ていて勉強になりました」と木村。
 総じて、榊原のアレンジはドラマチックで、聴き手の想像力をかきたてながら引き込んでいく。一方木村は、音の明暗や減衰など繊細な要素を生かした、場面や時間のデフォルメが特徴的。聴き手の記憶に静かに蓄積されていく。映画『禁じられた遊び』の「Romance」や、ヴィヴァルディ「四季」の「夏」第3楽章など、まさに2人の真骨頂で聴き応えたっぷりである。
「ヴィヴァルディは、前からライヴで一緒に演奏してたんですけど、新たなパワーを投入したかな。アルバムの最後に、映画『千と千尋の神隠し』の曲を入れたのは、クラシック、インストゥルメンタル、映画やイージーリスニングのファンすべてに訴えかける曲があるといいなと思っていたから。うまく収まったと思います」と榊原。
醸し出すムードが似ているせいか、並ぶと「いとこ」みたい!? 年齢差15だが、ともに凪いだ風情
 夏のツアーの反響も上々で、木村は「『今年行ったすべての演奏会の中で一番よかった』と言ってくれた人もいて、うれしかったです。大さんはライヴで自然にスゴいゾーンに入っていく人で、引っ張ってくれたりして、一緒に演奏できてほんとによかった。今年の名刺のようなアルバム&ツアーになってるので、自信を持ってやりきりたいです」
 木村がそんな尊敬の眼差しを向ける榊原は、実はユーモアの持ち主。
「僕を驚かそうと、譜面台の楽譜にギョッとする写真をこっそり挟んだりするんですよ。仕返ししようと僕が仕込んでたら、大さんがモニターで見ててバレて(笑)」と木村。
榊原は「そりゃあバレるでしょう、僕が見てるのにやるんだから(笑)。ともかく今回はステージごとに2人でアイデアを試していって、進化できるといいなと思っています。小さいときからそれぞれの楽器をひたむきにやってきた2人の背景も、聴いてくださる人が分かってくれたらうれしいです」
 どんな写真を仕込んでたのか、2人のイタズラはまだ続く!?
取材・文=原納暢子

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