橋爪功、神野三鈴らが熱演!有罪か無
罪かを観客が決める法廷劇『TERRORー
テロー』が1月16日開幕
年明け早々おつき合いいただくには、『TERROR』に込められた想いとテーマは、少々大きく、重きに過ぎるものかも知れません。何せ、ドイツの辣腕弁護士にして小説家であるシーラッハ氏が、長年温めた題材を初めて戯曲にしたためた作品ですから。けれどテロは遠い外国のことではなく、日本の私たちにとってもすぐそばに迫っている脅威だと思うのです。
不特定の膨大な情報が流れ込んでいる、種々の報道やネット環境とは違い、演劇は精査された知識と思索に対して開かれた「窓」です。普段は目を背けがちな、世界と人間の抱える問題について劇場でひと時、私たちと一緒に心を傾けていただくお客様に深く感謝致します。
不器用な私に、台詞の一語一音まで緻密な演出をつけて下さった森新太郎さんや、橋爪功さんを始めとする頼もしい共演陣に支えられ、稽古の日々を走り切ることができました。
劇場とは本来、束の間日常を忘れ、心を解放するために足を運ぶ場所。けれど『TERROR』はお客様に「命」や「罪」について深い思索と大きな決断を迫ります。だからこそ、お客様と私たちの間には想像を共有したことで壮大なドラマの伽藍が築かれ、終幕には互いの健闘を讃え合う拍手が響くはず。この舞台はきっと、そんな奇跡のような時間を生み出してくれると信じています。
研ぎ澄まされた作家シーラッハの強靭な台詞と、そこに宿る重い問いかけに導かれ、余分なものを全てそぎ落とした、人間と言葉だけが息づき・ぶつかり合う、まだ誰も見たことのない舞台が誕生しました。これを実現するため、過酷な要求に応えてくれた俳優陣に心から感謝しています。
でも作品を完成させるには観客が席に着き、裁判に参加して下さる事が不可欠。『TERROR』における一番の主役。結末を左右し、作品の持つ意味合いを変える力を持つのは観客なのですから。テロの暴力と不条理に向き合い、“演劇を越える演劇”をお客様に体験していただけたら幸いです。
この作品の主役は事件そのもので、主体は参審員であるところのお客様です。裁判長は証言を引き出す、参審員に結論を導く役回りだろうと意識しながら稽古してきました。舞台上の登場人物が話しを聞かせている相手は、参審員である客席です。稽古場でも常にそのことを意識してきましたが、実際に客席空間を前にすると稽古場とはまったく違った感覚で、稽古場で想像していたより芝居の“アテ”が見つかった気がしています。
これまでの自分の演劇経験の中では最高に難しい作品でした。今回のコッホ少佐は超優秀な軍人という設定ですし、声を荒げたら負け、という裁判の中で毅然としていなくてはならない役です。厳しい質問に誠実に回答しながらも、感情は動きます。でも、それを表せない。感情を表したらダメな役というのは本当に大変で...(笑)。先日の稽古では、じっと手を組んでいた腿のあたりに手の後がついてしまうぐらい汗をかいていました(苦笑)
■翻訳:酒寄進一
■演出:森新太郎
■出演:橋爪功/今井朋彦/松下洸平/前田亜季/堀部圭亮/原田大輔/神野三鈴
■公式サイト:http://www.parco-play.com/web/play/terror/
■会場:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
■日程:2018年1月16日(火)〜28日(日)
■会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
■日程:2018年2月17日〜2月18日(各日14時開演)
■会場:名古屋市芸術創造センター
■日程:2018年2月20日18:30開演
■会場:JMS アステールプラザ 大ホール
■日程:2018年2月21日19時開演
■会場:福岡国際会議場メインホール
■日程:2018年2月23日18:30開演
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