コロッケ「エンターテイメントの落と
し所は何年後、何十年後の“会話”だ
と思います」明治座新春公演に向けて

2018年1月6日(土)から2月11日(日)まで、東京・明治座にて、ものまねで大人気のコロッケが特別公演を行う。公演の内容は第一部が「初笑い 水戸黄門漫遊記 特別出演ウルトラマン」、第二部が「ものまねオンステージ」。現在構成を絶賛検討中……というコロッケ本人に話を伺ってきた。
――お正月に特別公演をされるということですが、明治座という場所も含め、おめでたい感じが満載ですね!
ありがたいことですよ。お正月ですからね。
――まず第一部の内容からお伺いしたいと思います。今わかっているのは「水戸黄門の漫遊記」「ウルトラマンが特別出演!」ということですが、これだけ聞くと「はて?」という顔になってしまうんですが(笑)。こういう構成にしたいと考えたいきさつは?
『水戸黄門』や『必殺仕事人』シリーズにしても、時代劇の錚々たる演目というのは誰かがやりたいと言ってもそう簡単に許可が下りないんです。なかでも『水戸黄門』はそれがいちばん難しいですね。僕も石坂浩二さんが黄門さまを演じていた時に2年ほど出演していました。役どころで言うならば「風車の弥七」的な立ち位置です。この経験があったことで、ありがたいことに今回舞台で演じることにOKが出たんです。
――ちなみにコロッケさんが水戸黄門を演じるんですか?
僕は黄門様ではないですよ(笑)。黄門様も正直なところ、まだ決まっていないんです。僕の構想では水戸黄門漫遊記なので、いろんな場所に旅をするという設定になると思いますが、その中で僕が格さんを演じることだけは決まっています。そして助さんを演じるのが佐藤B作さん。
でも、本物の初代・格さん……横内正さんが今回出演されますからね! 横内さんに格さんをやっていただいたほうがいいかも、という考えもありつつ、さらには横内さんが黄門様を演じるのもおもしろそうだなって。威厳があって、強い黄門様。そして僕とB作さんが格さん助さんとなれば両方ともだらしないキャラになる(笑)。まだ決めかねていて、作家の先生と話しているところです。
コロッケ
――そしてもう一つ気になるキーワードが。何故、ウルトラマンが出てくるんですか?
ウルトラマンも正直なところ、他の座組みの舞台に出たことがないんです。ウルトラマンをメインにした舞台はもちろんありますし、イベントなどでちょっとだけ出演することもありますが、こういうメインキャストや話の筋が他にあるような公演でウルトラマンが単体で出たことがないでしょ?
これについては円谷プロさんとも話をした時も「基本的にウルトラマンは出せないよ」と言われました。でもいろいろ無理やり説得して……ただ3分しか持たないので「またいなくなっちゃったよ、あいつ」という設定にするとかね。
――スペシウム光線を飛ばすんでしょうか?
そういうことをさせてしまうと、別のアクションものになってしまうので今回はやる予定はないんです。ちゃんとした時代劇の舞台をやりたいんですよ。まあ、あとはウルトラマンがいろいろ飛ばし始めたのは昭和に入ってからなので、江戸時代では早すぎます(笑)。大事なのは、ウルトラマンはなぜこの物語にいたのか、という設定。ウルトラマンは元々日本にいて、この日本を守るために日夜活動している……そういう話を今書いているところです。ウルトラマンが出てくることが不思議じゃない物語にしないと、ウルトラマンに失礼だし、水戸黄門にも失礼だし、明治座さんにも失礼だし(笑)。
――物語をして一本筋を通したいということですね。
茶化しに出てくるのであれば、そもそもウルトラマンにお願いする理由がないですから。ウルトラマンは正義のヒーロー。子どもたちのヒーローでもあり、大人のヒーローでもある。その中でちょっとした笑いはあったとしても、元々の理由が存在して……だからここに登場して、という設定を今作っているところです。
――ちゃんとした理屈は大事。
そうですね。そうしないと「どうしてそこにいるの?」と、お芝居を観ている人の頭の中が「???」になっちゃう。あまたいる様々なヒーローたちと比べると、ウルトラマンの存在にはちょっと一味違う意味合いがあるんです。人間の身代わりになってそこにいる。それがずっと今も続いていて……。
コロッケ
――どこか人間くさいところがあるんですね。
大昔からずっと日本を見守っているわけですから、それを考えると「守り神」としてどこかの村にウルトラマンが飾ってあるとかしているかもしれない。ウルトラマンによく似た土偶とか埴輪とか、形が似てるものがあるくらいだし、大昔は神として崇め奉られたものがあるかもしれない……そういうことを考えると、江戸時代にいてもおかしくないものとして存在ができるなあと思うし、水戸黄門ご一行にウルトラマンが加勢するようになったのかの理由も付くなあ、と。
ウルトラマンは大きくもならないし、飛べないし、スペシウム光線も出ないんです。怪獣をやっつける時に出すだけですから。悪い人間をやっつけるのに光線出したらむしろウルトラマンが悪人になってしまう(笑)。
――飛び道具すぎて卑怯ですよね(笑)。
そういう訳で、ウルトラマンを出す意味合いを僕なりに考えたいと思います。
「舞台」という世界でふざけたことをやっているのって僕くらいなんじゃないですかね?それこそ他の皆さんは文学物とか、親子物、夫婦愛とかやってらっしゃる。僕は「何それ?」と言われそうなことを「コロッケ」だからこそやりたいんです。僕もものまねの世界ではハチャメチャなことをやってきましたので、これからもやっていきます(笑)。
何それ?と言われるようなことを子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで楽しめる舞台を作りたい。それを明治座さんで、新春の舞台でやりたいんです。だから実際に舞台を観にくるまでわからないと思います。「水戸黄門?」「特別出演でウルトラマン?」って。円谷プロの方に説明しても、頭の中ではつながらなかったようです(笑)。でもそういう新しいことにも挑戦していきたいです。ウルトラマンってあれはちょんまげと中剃りだと思いますし。基本、日本の和の要素が入っているんですから。
コロッケ
――土偶に始まり、髪型はちょんまげ……結構な和物ですよね。そう考えるとおもしろいですね。
しかもウルトラマンって人の話を聞いてくれるという姿勢があります。子どもの話も大人の話も黙ってじっと聞いてくれる。その様子が見えるんです。
――人間とのコミュニケーションをちゃんとしてくれるヒーロー!
明治座さんにこの話を持って行った時も、最初は「は?」って顔をされました。「どういうことなんでしょうか?」って言うので「いや、いいのやりますから! 絶対ちゃんとしたのがやりたいんで」って返してましたね(とインタビューに同席していた明治座さんたちに視線を送ると苦笑される)。
コロッケ
コロッケが考える「エンターテイメント」とは?
――第二部のものまねオンステージの話に先駆けて、長くものまねの世界にいるコロッケさんから見た、時代の流れや動きを感じることはありますか?
今の時代は一つのものを見るよりも、コラボされたものが注目されることが多いですね。たとえば中島みゆきさんの「糸」という曲を福山雅治さんもMr.ChildrenEXILE ATSUSHIも歌っている。良い物はみんなが歌う時代。自分の歌しか歌わないという時代ではないですね。その上で「どれを観て(聴いて)いますか?」と選ぶ時代になってきていると思います。だからアイドルはソロよりグループでしか成り立たない。その中で「誰がいい?」「この子がいい」という会話を楽しんだり応援することがね。一つのものを「どうでしょうか?」と勧める時代とは違ってきましたね。
―― ひとつのものを追いかけ続けることが難しくなってきましたね。
ひとつだと「もうないの?」とか「物足りない」とか言われちゃう。ものまねの時流も流れが変わってきています。歌ってみたら「上手いけどだから何?」「他になんかないの?」ってお客さんが別のものを求め出してきたんです。それ以前は、僕らみたいにふざけているのはものまねじゃないよと言われてて。いつもふざけているし、歌わないじゃん、とかインターネットなどで言われたり。今度はまじめに歌う子がいると「おもしろくないんだけど」とまた言われる。ものすごく勝手に意見が動くんです。
ものまねは正統派とパロディ派で分かれます。コピー派とパロディ派という表現でもいいかも。僕はパロディ派でやってきているので、僕自身は最初からやり方を変えてないんですけど、変えなかったことが今の時代にはちょうど合っているのかもしれない。こういう時代だからこそできる。昔だったらそこまでやったらいけないよ、ということを、僕らは常にぶち壊してきましたから。
――そんなコロッケさんの本領発揮となる第二部のものまねオンステージの内容を教えてください。
今回明治座さんでものまねショーをやる時も「この人とこの人のものまねをここまでやっていいの?」ってってところまでやりますよ。ということで今回はものまね紅白歌合戦をやろうと思います。もちろんゲストで出る歌手の方は別のコーナーです。ものまね紅白に出すのはあまりにも失礼なので(笑)。瀬川瑛子さんとは一緒に「命くれない」を歌うわけです。香西かおりさんとなら、僕が玉置浩二さんになって(玉置さんが作曲した)「無言坂」を歌いますし。
ものまね紅白では、最近の方から懐かしい方までいろいろやりたいですね。最近の方なら三代目J Soul Brothersとか、BIGBANG、EXILEですね。安室奈美恵ちゃんをどうしようか今迷ってます。前にちょっとやっていたんですけど。安室ちゃんやるなら、あゆ(浜崎あゆみ)もやらなきゃいけないじゃないですか。歌姫シリーズにしなければと。
あと、僕的にはそこに松田聖子さんと中森明菜さんを入れたいですね。この4人のメドレーをやってみたいです。
エンターテイメントとは、僕の中ではお芝居であってもものまねでも「会話が増えること」だと思っています。ものまねを見て、その人がどうのこうのと言うのではなく「あれどうなの?(笑)」とか「ちょっとやだあ!違う(笑)」とか。お年寄りの方は三代目JSBをまず知らない。でも一緒に来てる孫はものまねを見て笑っている。「あれは似ているの?似てないの?」って会話が生まれますよね。家族や友だちの中で5年後、10年後、15年後、20年後……「明治座で見たコロッケのあれ、覚えてる?」「あー行ったよね!」って。そこで笑顔が生まれるんです。
おばあちゃんが公演を観に行った場合、20年、30年経てば亡くなることもある。その時お孫さんが「おばあちゃん、あの時喜んでいたよね」とか、思い出話の一環として、この明治座での行われるコロッケの新春公演を見ていただきたいです。エンターテイメントの落とし所は何年後、何十年後の会話だと僕は思っています。
――その場でも笑って、10年20年後にも思い出して笑う。「継続する、受け継がれる笑顔」なんですね。
そう。エンターテイメントって、その場の笑顔だけじゃないと思っています。それこそが僕がいちばん求めているものでもあり、それをやらなければ舞台でやる価値がないと思っています。
コロッケ
インタビュー・文=こむらさき 撮影=中田智章
公演情報

コロッケ特別公演
日時:2018年1月6日(土)~2月11日(日)
会場:明治座

■第一部「初笑い 水戸黄門漫遊記 特別出演ウルトラマン」
脚本:池田政之 演出:金子良次
出演:コロッケ 佐藤B作 奈良富士子 水町レイコ 横内正(友情出演)
■第二部 ものまねオンステージ
構成・演出:滝川広志
日替わりショーゲスト:
瀬川瑛子(友情出演)  香西かおり(友情出演)
松居直美 コージー冨田 ミラクルひかる 水谷千重子 原口あきまさ みかん
ショー出演(日替わり):坂本冬休み 君島遼 俵山栄子 なかじままり
<チケット>
■プレイガイド最速座席選択先行:お弁当付き
2017年11月12日(日)10:00~11月19日(日)18:00
■直前先着先行
2017年11月21日(火)12:00~11月25日(土)18:00
■一般発売
2017年11月26日(日)10:00~2018年2月1日(木)18:00

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