「劇場版 Fate/stay night [Heaven'
s Feel] I.presage flower」須藤友
徳監督 「劇場版 空の境界」公開か
ら10年を経て挑む劇場3部作への思い

(c) TYPE-MOON・ufotable・FSNPC 10月14日より公開中の「劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] I.presage flower」。アニメーション制作を務めるufotableは、2007年12月公開の「劇場版 空の境界 第一章 俯瞰風景」から約10年、TYPE-MOON関連作品の映像化を手がけ続けており、本作の須藤友徳監督は、キャラクターデザインや監督として、その全ての作品に関わってきた。そんな須藤監督に、今回の劇場3部作にこめた思いや制作エピソードを語ってもらった。
※本編の内容に深くふれているため、鑑賞後に読むことをお勧めします。
――映画のお披露目となった、10月8日の「マチ★アソビ」ワールドプレミア上映はいかがでしたか。
須藤:キャストの方々とレッドカーペットを歩きましたが、とにかくすごい人でしたね。桜の花びらを使ったフラワーシャワーも準備してもらい、お祭り的に盛り上げていただけてありがたかったですし、ファンの皆さんが映画を楽しみに待っていただいていたことを強く実感することができました。
――本作で、監督を担当することになった経緯を聞かせてください。
須藤:「Heaven's Feel」(以下、「HF」と略)の映画化は、3年前に「Fate/stay night [Unlimited Blade Works](以下、「UBW」と略)のテレビアニメ化と同時に発表されました。なので、社内では「UBW」と同じ頃から企画自体は動いていて、「HF」に関しては、うち(ufotable)が作るのなら監督をやらせてもらいたいと伝えていました。現場としては、「UBW」のキャラクターデザインと総作画監督を担当していましたので、まずはそちらを全力でやり、本作の絵コンテの作業などは、その後から入っていきました。
――須藤監督は「月姫」の頃からのTYPE-MOONファンだそうですが、原作ゲームの「HF」をプレイしたとき、どんな感想をもたれましたか。
須藤:ルートが進むにつれて、どんどんテンションが上がっていくのが印象的で、最後まで集中して楽しめました。「UBW」のルートでは、「あのキャラがそうだったのか!」といった新しい情報が入ってきて、「HF」ではいったい何がおこるのだろうと。また、「HF」では、それまでの2つのルートにあったルールが壊れていくような感覚を味わえるのが魅力でもあると感じました。そして、その根幹には、ヒロインである(間桐)桜が深く関わっていて、物語がどのような結果を招いていくのかの推進力になっていたように思います。
――「HF」を3部作の劇場アニメにする際、どんなところを足がかりに考えていったのでしょうか。
須藤:映画にするにあたり、「HF」の物語が動きだすところはどこなのだろうと考えたところ、士郎がセイバーを召喚する日、ゲーム中の時間軸でいうところの「3日目」なのかなと思ったんです。さらに、「HF」のお話を詳しくみていくと、ゲーム中の「1日目」より前にいろいろなことがあったということが前提になっている。なので、ゲームでは直接描かれていない「1日目」の前を描くことができればいいのではないかと考えました。ただ、これはテレビシリーズでやるのは難しいんですよね。テレビの尺でやるとしたら、1話か2話ぶんかけてやることになり、シリーズ構成的に盛り上がりを作ることが難しい。ただ、映画というフォーマットならば、プロットポイントを「セイバーを召喚する日」にもってくる構成を作ることができるのではないかと思い、士郎と桜の出会いから始めるアバンを作ることになりました。
――なるほど。それで、セイバーが召喚される「1年半前」から描く構成にされたのですね。
須藤:はい。あのアバンがあることによって、観客に桜の成長を見ていただくことができて、それがあるのとないのとでは大違いかなと思いましたので。そうやって、桜と士郎のお話を見ていただくための足がかりを作りたかったというのはありました。
――アバンでは情感のある描写がつづいて、士郎と桜のふたりで洋服をたたむシーンが特に心に残りました。
須藤:洋服をたたむあたりは、桜というキャラクターの説明にもなると思いましたので、たっぷり見せたいなと考えていました。彼女は、あまりしゃべらないけれど、けっこう頑固なところもあって、失敗しても成功するまでやらないと気がすまない。そういうところも最初にきちんと説明しておきたいなと。
(c) TYPE-MOON・ufotable・FSNPC――多彩なアクションも、とても見ごたえがありました。
須藤:ありがとうございます。本作の絵コンテの一部は、「UBW」監督の三浦貴博さんにお願いしていて、ランサーと真アサシンの戦闘や、柳洞寺で臓硯、真アサシン、セイバー、ライダーが出てくるあたりを担当してもらっています。アクションシーンについては、三浦さんに絵コンテからお願いして、そこにすごい原画マンがつけば、いいものになるに違いないと思っていたのですが、実際には、僕の想像をはるかに越えるものをあげていただいて、本当にお願いしてよかったです。
――(言峰)綺礼が麻姿豆腐を食べるところなどで、客席から笑いがおきていたのも印象的でした。
須藤:本来シリアスな存在であるはずの綺礼が、ああいうところにでてくること自体が、そもそも面白いんですよね。TYPE-MOON作品の魅力のひとつで、奈須(きのこ)さんのテイストでもあると思うのですけれど、日常のなかに笑いが入ってくるのは、すごく大事な部分かなと思っています。自分としても、ずっとムスッと見るような映画にはしたくありませんでしたので、原作ゲームにある、そうしたシーンは入れていきたいなと。
――テレビアニメ「Fate/Zero」の第1話にもあったような、キャラクターが真剣にやっているからこそ笑ってしまう場面だったと思います。
須藤:そうかもしれませんね。綺礼自身、麻姿豆腐にたいして、すごく真剣だと思いますので。
――前の監督作「劇場版 空の境界 未来福音」では、演出処理もされていたそうですが、本作では複数の演出の方が立たれていますね。
須藤:三浦さんをはじめとする演出の方に処理はお願いしていますが、総作画監督として、あがってきた原画を見る過程で芝居を見ていますので、やっていることにあまり変わりはなくて、(制作工程の)順番として、自分のポジションを後ろにおいたという感じですね。いい演出さんにお任せできて、とても助かりました。
――作り方を変えてみて、変化を感じられた点はありましたか。
須藤:自分の気持ちとしては、一長一短なところはあるかなと感じました。僕が見るのが、どうしても後のほうになるので、「ここはこうしてください」というようなリテイクの返し方しかできないのが申し訳ないのですけれど、それを補ってあまりある良いところがあって、それは作りながら僕自身が楽しめることです。演出処理も自分が担当して、最初から全てをコントロールしようとすると、「ここ、ちょっと違うんだけどな」みたいに、(自分の意図と)違うところばかり目についてしまうんですよね。今回のやり方では、アクションシーンのように、思いもよらぬ完成形がでてきたりもして、そういう面は楽しめました。
――監督をしながら、作画も手がけるのは大変ではありませんか。
須藤:僕の場合、自分のリソースが追いつかないところは他の方にお願いしているので、監督と作画をやっているからといって、仕事量が2倍、3倍になってくるわけではないんですよ。監督とはどんな仕事か、僕自身まだよく分からないところがありますが、そのひとつが作品の方向性を説明していくことだとすれば、僕が作画をやりながらでも問題ないのかなと。常にスタジオにいますので、スタッフから質問があればいつでも答えられますし、総作画監督でもあるので、最後にカットが必ず僕のところにまわってきて、最終的にコントロールもできる。今のところは、そんなかたちでやっています。

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