Wiennersの『蒼天ディライト』で音楽の守護霊を感じたい

Wiennersの『蒼天ディライト』で音楽の守護霊を感じたい

Wiennersの『蒼天ディライト』で音楽
の守護霊を感じたい

『蒼天ディライト』はこのバンドの代表曲の一つ。疾走感あふれるリズムに玉屋の不思議な歌詞がのります。「ディライト」は喜ばせる意味。この曲は喜びを歌っています。
Wienners 『蒼天ディライト』
タイトルの「蒼天」は「青春」「蒼い時代」「青空」と単語を変えて登場。この曲は、青春の喜びを歌っているんですね。
「ボアダム」は退屈の意味。退屈を振り切って、ぶっ飛んだアイディアを弁当に詰めましょうと歌います。「弁当」は、生きる糧である食料を簡単に取り出せる箱から転じて、いつでも思い出せる自分の気持ち・心の象徴になっています。心の弁当箱には、「悔い」や「甘美」が入っているんですね。
「闇」があるからこそ、「ユートピア」が際立つ
後半の伏線でもある「揺れる電気ノイズ」のフレーズが、女性声で登場。声の変化をつけて、フレーズを際立たせます。曲で使われている楽器の音を聴けば分かるように、「揺れる電気ノイズ」はギターやシンセの音を表します。人生に「闇」があっても、音楽が「月明り」となり「ユートピア」=理想郷へ導いてくれると歌っているんですね。

玉屋は、例えばアイマリンに提供した楽曲『Dive to Blue』でも「ユートピア」の歌詞を「ディストピア」と共に使っています。「闇」があるからこそ、「ユートピア」が際立つ構造。
勢いを保ったままサビに入ります。「バイバイじゃあねマイユース」自身の若さ・青春にさよならしている歌詞。しかし青春は「決して色褪せない」。その絶妙な感覚を言葉にしています。若さは必ず失われます。
人は年をとるにつれて、あの頃は若かった・青春していたと過去を懐かしむようになります。この曲が素晴らしいのは、過去を懐かしむ気持ちはあるものの、青春は「決して色褪せない」と歌っているところです。若い頃に抱いた想いを、人は簡単に「手放せない」と言っているんですね。
この曲はさらに「百年越しの想い」とスケールの大きさまで表現します。この青春の想いは百年続くと言っているのです。

「蒼天」に向かう気持ち
生きていれば誰かの罵声や嫌味がどうしても聞こえてきます。しかしそんな嫌な敵や野次を蹴飛ばせば「パラダイス」楽園へ行ける。この曲は、繰り返し「闇」から明るい場所、すなわち「蒼天」に向かう気持ちを歌っています。
後半の曲調が変わる箇所がポイント。「揺れる電気ノイズ 闇の奥に守護霊」のフレーズを繰り返します。ギターやシンセの電気ノイズの奥に守護霊を感じる。音楽がもつ霊的な力を強く信じているんですね。その霊的な力は「私」を、さらには音楽を聴く「あなた」も守ってくれる。その霊的な力は、たとえ若さを失ってもなお、百年残るものだ。歌い手がそう信じているんですね。

Wiennersは、この曲を発表した当時からメンバーが変更になっています。楽曲の魅力がありながらも、必ずしも順調に進んでこれたわけではありません。しかし、2013年に発売されたこの曲はずっと「色褪せていない」。

困難があっても新たなユートピアに向かって、バンドが、音楽が進んでいるのです。この曲がいつまでも色褪せず、百年残りますように!

アーティスト

UtaTen

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