【ライヴレポ】マオ from SID、初ソ
ロツアー『箸休めNight』でラルク、
ジュディマリのカバー曲披露!「歌に
まつわることすべて、全力で楽しめる

マオ from SIDが、初のソロツアー“Acoustic Tour 2017 『箸休めNight』”の東京公演を、7月22日に恵比寿ガーデンホールにて開催。3月14日、東京・TSUTAYA O-EASTにて行なわれたスペシャルライヴ“Whiteday Acoustic Live 『箸休めNight』”が好評で、「また観たい!」「東京以外でも観たい!」という多くの声を受けてのツアーであったわけだが、前回同様、自身のオリジナル曲から珠玉のカバー曲まで10曲、ますますラフになったトークをふんだんに交えながら、ゆったりと楽しませてくれた。ここでは、2部構成のうち、2部の模様をお届けする。
3月の公演ではバイオリンとピアノだけだったが、今ツアーはアコースティックギターも加わり、より音像の色彩が豊かになったアコースティックスタイル。メンバーに続いて登場したマオは、ジーンズにアースカラーのシャツ、中折れハットと、夏らしい爽やかな出で立ちだ。
シッティングの客席に向かって「俺も座っていいですか?」と切り出し、まずはステージセンターのアンティークチェアに着席。1曲目は、1部で歌っていないという、尾崎豊の「I LOVE YOU」だ。最初の<I LOVE YOU>からグっと惹き込んで、若さゆえの危うさ、愛する切なさを、痛いほどに感じさせる。
続く「JUPITER」は、BUCK-TICKの美しく繊細なナンバー。純真な詞世界、それを情感豊かにマオが歌うと、まるで魂が浄化されるようだ。
トークともなれば、マオがオーディエンスとのゆるいやりとりを楽しんで、アットホームな雰囲気に包まれるのが、“箸休めNight”の傾向。「“箸休めNight”はフレンチを箸で食べる感じ」と絶妙な例えをしながら、「やっぱり東京は安心感がありますね、落ち着きます」と穏やかな笑顔を見せるマオ。彼の歌力と飾らない人柄を堪能できる“箸休めNight”は、本当に素敵な空間である。
「大好きなバンド」と前置きしたGLAYの「ずっと2人で…」では、どこまでも真っ直ぐに愛を歌い、サビや終盤の昂りにもグっときてしまう。
「いやぁ、「ずっと2人で…」、いい曲!俺のヨチヨチ英語聴けることもなかなかないよ?(笑)」なんて笑いを誘いつつ、「シドのツアーが9月から始まるけど、それまで寂しいな……散歩とかしようかな。このツアー終了後すぐ、“みんなで一緒に公園に行こう”ってオフィシャルサイトで発表して、予告動画も作っちゃおうかな!」と、俄然やる気に火が点いたり。筋書なしのトークは、そのときそのとき、どんな方向に転がっていくかわからないからおもしろい。
「大好きな曲」だというオリジナル曲「マニキュア」では、大人の恋、歌詞の生々しい描写を、時にアンニュイに、時に煙に巻くように歌ったり。DREAMS COME TRUEの「やさしいキスをして」では、愁いや切なさを募らせた歌声で、聴く者の胸を苦しくさせたり。
かと思えば、「さっき、裏でスタッフと「このライヴって深夜ラジオみたいでいいね」って言っていたんだけどさ、今、歌いながら確かにそう思った。というわけで、今日はゲストをお迎えしています!」と、急にラジオMCモードでメンバー紹介をしていこうとするマオ。すると、バイオリンの門脇大輔、ギターの木島靖夫、ピアノのnishi-kenも、テンションを合わせて応答。その流れで、マオの発案により、まだ敬語を使い合ってしまうという4人の中で誰が一番タメ口をきくのがヘタかというゲームを始め、オーディエンスの声援のボリュームによって判定すると……敬語をやめるとオネエっぽくなってしまうnishi-kenが、罰ゲームのモノマネでオーディエンスを沸かせる場面も。「メンバーみなさん、クールかと思ったら本当にいい方で嬉しい。もっと仲良くなっていきたい!」と楽しそうなマオ。トークにしても、なんて素晴らしいチーム感!
小沢健二の「いちょう並木のセレナーデ」では、「お手を拝借」というマオの言葉に、オーディエンスが軽やかにハンドクラップ。マオの明るい歌声も、耳に心地良い。
クラップが自然発生したのは、L'Arc〜en〜Cielの「Vivid Colors」。高揚感、躍動感に満ちた奏でにマオの高音やファルセットが見事に映えて、胸が躍る。
「手拍子ありがとう、楽しいね。ちなみに、俺は「いちょう並木のセレナーデ」のとき、リズムがずれそうで、大縄跳びで入れない人みたいになりそうだった(笑)。大縄跳びって、正月番組だったか24時間テレビだったかで観るけど、大好き。感動するよね。今度の正月は、みんなで大縄跳びしようか」と新たな提案をしつつ、ライヴグッズをひとつひとつボケようとしながら紹介。「缶バッジはゆうや(シド・Dr)の背中につけようと思っている」といたずらっぽい顔で言うマオ、「ゆうやは1部を観に来てくれて。っていうか、去年もソロライヴに来てくれたし、俺のこと好きなんだろうね(笑)」と確信して、「ゆうやの好きなバンドさんの曲、ゆうやにも届くように歌います」と、JUDY AND MARYの「帰れない2人」へ。独特の浮遊感の中にある、恋の切なさ。女の子目線の歌にして、マオはどうしてこんなにも胸をざわつかせるような表現ができるのだろうか。
「去年くらいから歌う機会が増えたら、歌にまつわることすべて、全力で楽しめていて。シドもソロも、充実しています」
こちらも嬉しくなるような言葉から、オリジナル曲「違う果実へ」。恋した末の残酷な結末。嘘と真実。未練。哀しいほどの優しさ。千路に乱れる「バイバイ」は、深く刺さったままだ。
マオの撃ったかめはめ波で客席にウェーブを起こし、その上で最後に歌ったのは、オリジナル曲「月」。大切なひとりひとりの顔をしっかりと見ながら、“一緒に色褪せていこう”と想いを届け、最後にはマイクを外して生声でロングトーンを響かせたマオ。またしても、心動かす歌声に抱かれる幸せ、贅沢を、とことん味わうことができた。
文/杉江優花
<セットリスト>
1.I LOVE YOU
2.JUPITER
3.ずっと2人で…
4.マニキュア
5.やさしいキスをして
6いちょう並木のセレナーデ
7.Vivid Colors
8.帰れない2人
9.違う果実
10.月

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