【GRANRODEO】夢と現実の狭間にいる
ような、まさに“迷宮”のアルバム
GRANRODEOの6枚目のアルバム『カルマとラビリンス』が完成。アニメ『黒子のバスケ』主題歌などヒット曲も収録しつつ、今までになかった新曲も多数。1度聴き始めたら何度でもリピートしてしまう1時間超えの大作になった!
取材:榑林史章
「Blue Pandora Box」と「silence」の
2曲は組曲に!
アルバム『カルマとラビリンス』ですが、全体像はいつくらいに?
e-ZUKA
制作の最後のほうでしたよ。ツアー中に何となく曲を溜めていって、選曲していく中で「Blue Pandora Box」がスタッフの間でも評判良くて、それを広げていったらいいんじゃないかと。で、2曲目の「silence」とつなげて、組曲みたいな感じでできて。それからじゃないですかね、何となく全体が見えたのは。それが8月の頭なんですよ。
ついこの間じゃないですか(笑)。それにしては、1時間超えの大作になりましたね。
e-ZUKA
それは最初気付いてなくて、もう少し今までとテイストの違う曲も入れたほうがいいのかな?と思って、最後の最後までどうしようかってやっていたんですけど、時間を見たらもう1時間超えていて。そこでCDって何分入るんだっけ?って(笑)。自分でも通して何度も聴いてますけど、あまり長い感覚はなくて、ラストの「DAWN GATE」まで聴くとまた頭に戻して聴きたくなる。それこそまさに“迷宮入り”… (笑)。
“カルマとラビリンス”というタイトルは、単純に訳すと“業と迷宮”となりますが、KISHOWさんとしてはどんなイメージでしたか?
KISHOW
今回もアルバムのタイトルから決めようということで、“カルマとラビリンス”と付けたんですけど、その時点ではまだアルバム用の新曲がなくて、シングルとカップリングの収録曲だけ決まっていて。そこで考えた時、「絶頂ポイズン」というおとぎ話的なものがあったり、「DARK SHAME」とか世界観が濃い楽曲が多いなと思って。それで何となく、今までとは違う感じがいいなとか、前回とは違う色が出せないとつまらないというのがあって。それに今までの5枚のアルバムは全部英語のタイトルだったんで、カタカナとかひらがながいいなと。“カルマとラビリンス”ならインパクトも強いし、一瞬なんだろう?って引き付けるものがあるし。でも、パッと思い付いたんで、意味まで深くは考えてなかったんですよね。正直言って俺も何だかよく分かってないんです(笑)。
このタイトルのおかげで、「絶頂ポイズン」や「偏愛の輪舞曲」とか、個性の強い曲が違和感なく一枚に収まることができたというのもあるような。
今回は表題曲がなくて、代わりにリード曲となるのが、1曲目の「Blue Pandora Box」と2曲目の「silence」。これは、MVではひとつにつながっていますよね。
e-ZUKA
そうそう。最初に表題曲はどういうのがいいのかな?って。もういい大人だしと思ってサザンオールスターズっぽいのを作ってみたり、甲斐バンドっぽい原点回帰的なのもいいんじゃないかと作ってみたり、いろいろ試していた中に「Blue Pandora Box」もあったんですよ。僕の中でこの曲は、R&B/ヒップホップ的なテイストもありつつ、クイーンの「We Will Rock You」的な感じもありつつというもので。これをベースにして“カルマとラビリンス”という世界観に広げていったら面白いんじゃないかと思ったんです。
「Blue Pandora Box」のように、ストリングスを全面的に使った曲は、今までなかったですよね。
e-ZUKA
ギターもベースも入ってないですしね。この曲では、アディショナルでプログラミングをやってもらった方に任せたんです。僕がやると、どうしても今よくあるシンフォニックメタルみたいなものになってしまいそうで。プログラミングで、弦の音色を付けてもらったり、効果音をガンガン入れてもらったりしているんで、それが功を奏しました。
壮大な「Blue Pandora Box」に続く「silence」は、ハードロックやメタルの様式美を感じさせる楽曲で。でも、まったく“silence”じゃないっていう。
KISHOW
そうそう。そこもツッコミ待ちみたいな。“silence”ちゃうじゃん!って(笑)。要はギャップです。世の中、ギャップがあるものがウケますから!
e-ZUKA
ベタベタの様式美の曲も1曲欲しいなと思っていたところで、じゃあ2曲が一緒になって組曲みたいな感じにしたら、“カルマとラビリンス”という世界観とも通じるんじゃないかと。面白いのは、この曲ってサビが2回しか出てこないんですよ。ちょっと歌っただけで、もう間奏に入るっていう。しかも、間奏がやたら長い。で、その間奏にかけ声を入れることで、組曲感をより出していますね。