ヘヴィ・ミュージックを先の次元へ―
―CRYSTAL LAKEがO-EASTを焼き尽くし
たツアーファイナル



CRYSTAL LAKE photo by TAKASHI KONUMA



具体的に言うと、メタルコア/ジェント経由のゴリゴリのヘヴィネスはもちろん、クリーントーンのギターを増やし、コーラス・ワークにも力を入れ、楽曲の空間性やスケールを帯びた曲調へ進化を遂げた。ゆえに最新作を引っ提げたワンマン・ツアー『True North Tour ONEMAN SHOW』最終日は楽しみで仕方がなかった。

CRYSTAL LAKE photo by TAKASHI KONUMA



まずはTSUTAYA O-EASTの会場に入り、ビッシリ埋まった観客の多さに笑みが零れる。「彼らがこの規模のクラスで埋まるのか?」と思う人もいたかもしれないが、僕は「余裕で埋まるだろう」と踏んでいた。この日は見事ソールド・アウトの超満員状態だ。そして、開演前から待ち切れない外国人を含む観客たちが、バンド名を激しくコールしている。始まる前から殺気立つムードが立ち込め、場内は異様な緊張感に包まれていた。

CRYSTAL LAKE photo by TAKASHI KONUMA



19時11分、オープニングは神聖なインスト曲「Alpha」~「Omega」と最新作と同じ流れでスタート。観客は既に興奮気味で、フロアは波のごとく揺れ動き、早くもステージ・ダイブが勃発する騒乱状態だ。それからリンプ・ビズキット風の柔和なラップで始まる「Hatred」へ。ハードコアとヒップホップのクロスオーバーを血肉化させた曲調も、彼らの真骨頂と言えるものだ。縦に横に攻め続け、中盤にフッと挟むエレクトロ・パートも実にカッコイイ。男臭いメロディを配した「Mercury」に入ると、SUICIDE SILENCEのTシャツを着た外国人が大騒ぎする姿が目に止まり、会場もジャンプ大会の様相を呈す。その熱き盛り上がりに機材も調子が狂ったのか、Ryo(Vo)のマイクが壊れる謎のハプニングもあったほどだ。

CRYSTAL LAKE photo by TAKASHI KONUMA



ステージに設置されたメンバーお立ち台は、いつの間にか観客がステージ・ダイブする飛び台へと様変わり。逆にRyoは観客と顔を突き合わせてシャウトをブチかます。ステージとフロアの境目はなく、双方が入り乱れて、ぐちゃぐちゃになって溶け合う。これこそハードコアのライヴの醍醐味だろう。O-EASTというデカバコにもかかわらず、地下のライブハウスと変わらぬ光景を作り出しているのも、痛快極まりない。

CRYSTAL LAKE photo by TAKASHI KONUMA



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中盤、「Black And Blue」では途中でJESSE(RIZE、The BONEZ)が参戦し、Ryoと面と向かってガチのシャウト・バトルを繰り広げ、最後はお互いに抱擁して拳をぶつけ合う。その様子を見て、「最高じゃねえか!」と男性客から声が上がっていた。それから「Metro」では上手のサブ・ステージから女性ヴォーカルが現れる特別な演出も施される。また、この曲におけるYudai(G)のオリエンタルなクリーントーン・ギターも素晴しく、メタルコアに収まらない壮大感にうっとり聴き入った。そう言えば、最新作でメンバーは「日本人ならではの奥ゆかしい繊細さ」を意識したという。それが見事にライブでも効果を発揮していた。バラード調の「Breathe Deep」でしっとり聴かせると、Gaku(Dr)が壮絶なドラム・ソロで場を沸かせる。その後、「Overcome」でRyoがフロア後方までクラウドサーフで泳ぎ様に観客も大熱狂!

CRYSTAL LAKE photo by TAKASHI KONUMA



このワンマンツアーは1年前にメンバーの口から出たそうだ。今年で彼らは結成15年目を迎える。「これがCRYSTAL LAKEと言える!」とYudaiから頼もしい発言も飛び出した。さらにRyoがヴォーカルになり、ベースとドラムはサポードに支えられ、ここまで続けて来れたとShinya(G)が感謝の言葉を述べると、会場から温かい拍手が起きていた。

CRYSTAL LAKE photo by TAKASHI KONUMA



「俺たちが日本代表、世界中に見せつけてやろうぜ!」とRyoが煽ると、最新作の表題曲「True North」をここで披露。ゴリゴリにしてキャッチー、アンビエントな要素を盛り込んだ曲調は、観客の大合唱を誘発する凄まじい盛り上がり。<Thie is way we are>の歌詞も耳に残り、圧巻のスケールで鳴り響かせていた。続いて「Beloved」ではKoie(Crossfaith)を迎え、再びRyoとシャウト合戦に突入。本編ラストは女性コーラス6人をバックに従え、「Waves」をプレイ。ヘヴィかつ雄大なサウンドで締め括る。バンドはそのままアンコールに応え、O-EASTを焼け野原にする完全燃焼のパフォーマンスを見せつけた。

CRYSTAL LAKE photo by TAKASHI KONUMA



CRYSTAL LAKE photo by TAKASHI KONUMA



今年はバンド主催によるイベント『TRUE NORTH festival』(10月21日、新木場スタジオコースト)を初開催することも発表。彼らのことだから、また面白いメンツを揃えてくれるに違いない。ライブ序盤にRyoは言っていた。「ヘヴィ・ミュージックをトレンドじゃなく、カルチャーにする!」と。今日のワンマン公演を観て、その発言は遠い夢ではなく、すぐ近くの「現実」として素直に受け止めることができた。

取材・文=荒金良介 撮影=TAKASHI KONUMA

CRYSTAL LAKE photo by TAKASHI KONUMA



イベント情報Crystal Lake 15th Anniversary “TRUE NORTH festival”
日時:2017年10月21日 (SAT)
OPEN 12:00 / START 13:00
会場:新木場 STUDIO COAST
出演:Crystal Lake / and more
チケット:\4,800 (+1D) ※3歳以上有料
プレリザーブ<チケットぴあ先行>: 4/2(月)23:59まで
http://w.pia.jp/t/crystallake/
問い合わせ:H.I.P. 03-3475-9999

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