アルバム『HIT』

アルバム『HIT』

頭抜けた才能で疾走する三浦大知の最
新作『HIT』の魅力とは?

今、最も熱い注目を集めるエンターテイナー三浦大知。抜群のセンスを誇るダンスと場を支配する歌唱力に支えられたパフォーマンスをひと目見れば、彼の実力はすぐに分かる。しかし、技術的な部分の素晴らしさだけでここまで多くの人を惹き付けるのではない。彼の音楽やライヴ活動にはあえて余白が残されていて、リスナーやオーディエンスが主役になって考えたり、感じさせたりする仕掛けが随所に入っている。そんな三浦大知の美学がより一層反映されていると感じられるのが、3月22日にリリースされた6枚目のオリジナルアルバム『HIT』だ。
今作はオリコンウィークリーチャート1位を獲得した「EXCITE」やブレイクダンス世界大会のテーマソングになった「(RE)PLAY」、自身最高難易度のダンスに挑戦した「Cry & Fight」といったヒットシングルに加え、多彩なナンバー全12曲を収録。アルバムのサウンドについて彼は“欲張らない”というテーマを設定したという。『HIT』を制作していた2016年は『ミュージックステーション』などの音楽番組に多数出演。『仮面ライダーエグゼイド』の主題歌「EXICITE」を担当するなどして、幅広い層に対して彼の存在が浸透していった年だった。“三浦大知の音楽が届く範囲がさらに広がった”という実感を持った彼は今まで応援してきたファンに加え、新しく聴く人も楽しめるものにしようと決めて、最新アルバムでは肩の力を抜いて聴き心地良いものを目指した。

アルバム『HIT』の1曲目を飾る「Darkest Before Dawn」はアコースティックギターでさりげなく始まり、次第に解放感に満ちていく。途中に熱量の高いダンスミュージック「EXCITE」やストレートでありながら深い愛を描いたバラード曲「Star」といったメリハリを入れつつ、軽快な空気に包まれるラブソング「Neon Dive」や不思議な浮遊感のある「Can’t Stop Won’t Stop Loving You」などスーと耳に馴染む曲が並ぶ。また、SOIL&‟PIMP“SESSIONSとタッグを組んで作った「Rise Up feat. SOIL&‟PIMP“SESSIONS」は、彼にとって新たな挑戦となるブラジリアンミュージック。このような明るく華やかなナンバーもアルバムを彩り、聴いているとあっと言う間に時が過ぎていく作品に仕上がっている。つまり、絶妙なバランスで余白が入っているのだ。しかし、物足りなさを感じさせず、ちょうどいい加減に収めるというのが最も難しい。三浦大知自身の幹がしっかりしているからこそ必要な音だけ残して削ぎ落していってもその輝きは失われなかったし、初めて聴く人もすんなりと受け取れる一枚になったのだろう。

そう言えば彼はライヴについても以前“三浦大知を知らなくても、誰でも楽しめるライヴを毎回作ろうと思っているんです”といった話をしていたことを思い出す。こういったリスナーやオーディエンスの受け止め方を考え、細やかな配慮を行ない、実際に誰もが納得するステージに仕上げる点こそ、三浦大知の魅力だと感じる。

また、今作で印象に残るのは、サウンドは聴き心地良いが、その根底に流れているメッセージは今までと変わらず骨太であるということ。特に闇と光をテーマにした曲が大きな要素になっている。「Darkroom」ではあえて自分たちの安住の場所として暗闇を求める2人を描き、一方で10曲目の「誰もがダンサー」は“誰かが見ていても見ていなくても、闇の中で踊り続けよう”と孤独と戦う人の物語であり、その次にくるシングル曲「Cry&Fight」は、何かに向かって一生懸命に生きている人の尊さを歌っている。ラストの「Hang In There」は苦しい状況に置かれて空虚な思いにとらわれる絶望感を表す一方、そこで何とか踏みとどまる気持ちを呼び起こすように歌う。そして、最初にくる「Darkest Before Dawn」は“今は暗くても夜明けは必ずくる”というポジティブなメッセージが込められ、曲がクライマックスにいくほどに光が広がるのを感じさせる。どんな状況でも歌い、踊り続けた三浦大知。今年20年目のアーティスト活動を迎える彼が発信する曲たちだからこそ説得力があり、リスナーに前に進む勇気を与えてくれる。

彼の音楽、パフォーマンス全てに通じるが、手間暇かけて作ってきたものを飾り立てて“すごいだろ!”と見せるのではなく、聴いているうちに、見ているうちに、無意識に引き込んでしまう。その自然体こそが、三浦大知の本当のすごさであり、多くの人に愛される理由なのではないかと思う。彼の魅力をぜひニューアルバムで体感してほしい。

TEXT:桂泉晴名

アルバム『HIT』

2017年3月22日発売
【CD+DVD盤】
AVCD-16752/B/¥3,900+税
※スマプラムービー+スマプラミュージック対応
【CD+Blu-ray盤】
AVCD-16753/B/¥4,300+税
※スマプラムービー+スマプラミュージック対応
【CD ONLY盤】
AVCD-16754/¥3,100+税
※スマプラミュージック対応
<収録曲>
■CD 
01. Darkest Before Dawn
02. EXCITE
03. (RE)PLAY
04. Neon Dive
05. Body Kills
06. Darkroom
07. Can’t Stop Won’t Stop Loving You
08. Rise Up feat. SOIL&”PIMP”SESSIONS
09. Star
10. 誰もがダンサー
11. Cry & Fight
12. Hang In There
■DVD&Blu-ray
Darkest Before Dawn -Music Video-
EXCITE -Music Video-
(RE)PLAY -Music Video-
Cry & Fight -Music Video-
~BONUS~
Darkest Before Dawn -Making-
Hang In There -Dance Edit Video from DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL-

DVD&Blu-ray『DAICHI MIURA LIVE TOUR
(RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場
第一体育館』

2017年3月22日発売
【DVD】
AVBD-16756~7/¥5,500+税
※2枚組
※スマプラミュージック対応
【Blu-ray】
AVXD-16758/¥6,400+税
※スマプラミュージック対応
<収録曲>
■LIVE
Unlock
I’m On Fire
Right Now
FEVER
Look what you did
Neon Dive
Daydream
MAKE US DO
Dance Number
Delete My Memories
4am
The Answer
Two Hearts
ふれあうだけで ~Always with you~
(RE)PLAY Medley - Black Hole ~ Half of You ~ Illusion Show-
(RE)PLAY [Special Guest : ISSEI, WATA, Hilty & Bosch, GOGO BROTHERS, KITE]
EXCITE [Special Guest : 仮面ライダーエグゼイド]
全速力 feat. 三浦大知 [Special Guest : KREVA]
Your Love feat. KREVA
Touch Me
GO FOR IT
Turn Off The Light
Cry & Fight
~ENCORE~
Hang In There
music
■BONUS
Documentary of DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL
アルバム『HIT』
三浦大知
DVD&Blu-ray『DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館』
『DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館』
『DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館』
『DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館』
『DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館』
『DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館』
『DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館』
『DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館』
『DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館』
『DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館』
『DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館』
『DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館』
『DAICHI MIURA LIVE TOUR (RE)PLAY FINAL at 国立代々木競技場第一体育館』

アーティスト

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着