DECAYS “テーマを持たずに自由に楽
しむ”バンドの誕生から進化の過程を
訊く



樫山:そうです。もともと僕はDIR EN GREYのドラムのサウンドプロデュースなどに関わっていて、Dieくんともよく飲んだりしてて、仲は良かったんですよ。その後、『ドラゴンボール』のベジータの声優として知られる堀川りょうさんのバンドのバックを頼まれたことがあって、そのときのギターがDieだったんですよね。一緒に音を出したのはそのときが最初で、Dieくんのギタリストとしての違った一面を知ったんですよ。そこで改めて「どんなのが好きだった?」みたいな音楽の話をしてたら、意外と共通点が多かったんですね。たとえば、お互いにBARBEE BOYSとかが好きで、ツインボーカルもええなぁみたいに思ってて。偶然にもDECAYSはツインボーカルになりましたけど。

Die:当初はツインボーカルという感じではなかったですからね。

樫山:そう。普通の4ピースのバンドをイメージしてた。そんな流れで、何かやろうかって言って始まったプロジェクトなんですよ。

DECAYS/Die

――始動させたタイミングは、DIR EN GREYのメンバーがソロ活動を始め、それぞれ新しいことを始めた時期でしたよね。

Die:2013年やと思うんですけど、個人的なところで言うと、単純に“俺ってこのまま終わっていいのかな”って思ったんですよ。樫山さんでさえ、知っているのはDIR EN GREYのギタリストとしての面だけで、ポップスなんて全然やろっていうぐらいのイメージだったと思うんですね。そういう中で、俺も違った面を残していかないと、後々、後悔するかもなというのもあり、一緒に始めることにしたんです。そこでまずはバンド編成にしようと思って、メンバーを集めなあかんなぁって言ってたんですけど……結局、いいメンバーって、すでに自分のバンドをやってますよね(笑)。だから探すのが大変で。

樫山:1年ぐらい経ってたね、メンバーに巡り合うまでに。

Die:そう。そこでボーカル&ギターとしてTHE NOVEMBERSの小林(祐介)くんが参加してくれることになったんですけど、彼自身の特徴でもあるシューゲイズ感があるじゃないですか。ただ、それだけじゃ成立しない曲もあったので、どうやってDECAYSとしての形を作り出すかという話にもなったときに、樫山さんから「Dieくん、歌うか?」「やってみるか?」って言われて。すでにライブも決まっていたし、そこに間に合わせなあかんっていう頭もあったので(笑)、もう、やるしかないなと。やっぱり、DIR EN GREYのDieがバンドを始めてみたけど、あんまりやったなぁって言われたら、DIR EN GREY自体にも傷がつくんで、相当、プレッシャーもありましたよ。

――そういったプレッシャーがあるにもかかわらず、よく歌うことを決意したなぁとも思うんですよ。

Die:うん。やったことのないパートでしたからね。

樫山:実はメンバーを集める前の最初の頃に「Dieくんが歌うか?」みたいなことは言ったことがあるんですよ。そのときは「それは背負いすぎます」って話だったんですけどね。彼の歌声といっても、一緒に飲んでてカラオケで歌ったときぐらいしか聴いてなかったので、Dieくんがどのぐらい歌えるか理解してなかったんですけど、ギターのリズムもピッチもいいから、絶対に歌えるやろうなとは思ってたんです。あとは見た目のイメージですよね。小林くんとDieくんという身長の高い二人がギターを弾いて、真ん中にドーンと出ていって歌ったら、威圧感もあるやろうなと。「ZZ TOPみたいな」って言うたもんな(笑)。

Die:たとえが古い(笑)。でも、そこからのスタートでしたね。

――音楽的にはどのようなものを想定していたんですか?

Die:二人の間では、ポップであり、キャッチーでありというのが共通してて、一見わかりにくい、アンダーグラウンドなことはやらんとこうというのは話してましたね。でも、ポップとかキャッチーとかって、軽い言葉に聞こえますけど、それってすごく難しいんやなとは、今は改めて思ってるんですよね。そこにプラスして、たとえばダンサブルな要素だったりっていうのがベースにあって。さらに小林くんが入ったことで、彼のシューゲイズ感がミックスされた。

――ポップさ、キャッチーさがキーワードとしてある中で、小林くんに声をかけたのがすごく不思議なんですよ。

Die:そう。もともと出来上がっていた曲の明るさが10だとしたら、小林くんがそれを歌うことによって8に戻るというか、太陽に雲がかかっていくみたいな、独特の色合いが見えるのが面白いかなと思ったんですよ。小林くんが醸し出すのは、いつ雨が降ってもおかしくないような天気ですからね。そういうコントラストのあるポップ感は、まずDECAYSとして目指したところでしたね。

DECAYS/樫山 圭

――それが形になったのが、1stミニアルバム『Red or Maryam』(2015年12月)ですね。今はあの作品をどのように捉えているんですか?

樫山:あのときは、曲を作りました、アレンジしました、Dieくん、小林くん歌って、弾いて……というような、全員が精一杯で余裕がない感じはありましたね。その意味では、結構、足し算な音楽になってきてたのかなと。ちょうど一発目としては、それがよかったと思うんですけどね、各自の頑張ったものが詰め込まれた感じで。

Die:正直、樫山さんと自分でプロデュースしていくという面で、プロデュースができなかったかなと。まだトータルで見えなかったから。

――ただ、どうなるかわからないという面白さはあったでしょうね。

Die:そうですね。何か“?”があったとしても、“行ってしまえ!”というようなところもありつつ(笑)、一人ひとりが向かって行ってたと思うんですね。

――メンバーは固定させることを考えていたのか、流動的に入れ替わることも想定していたのかはわかりませんし、特にそういう取り決めもなかったのかもしれませんが、2016年4月のライブ以降、今回の新作『Baby who wanders』に至るまで、お二人の他には中村 中(Vo,G)、Ayasa(Violin)、寺沢 リョータ(B)、チドニー(☆)というラインナップになりましたよね。

Die:うん。これも最初は固定メンバーで、一つのバンドとしてやろうかって話にはなってたんですけど、俺がDIR EN GREYが空いているときに活動したいのに、小林くんのスケジュールも考えると、たとえばライブにしても、1年に1回しか動けないってことになりかねない。実際に今年の4月のライブを決めるときにも、(日程が)合わなかったんですよ。ちょうど彼のTHE NOVEMBERSも11周年というタイミングだったし。だから、その先のことも考えると、フットワークを軽くして、樫山さんと俺の二人は固定で、あとは流動的でもいいんじゃないかなって考えになったんですよね。もちろん、一度抜けたとしても、また入ってもいいんですよ。そういった中で、また新たなボーカリストを探さないといけないとなったときに……中村 中ですよ。

――そこで目をつけたのが中村 中さんだったのも凄いですよ。アーティストとしての個性はもちろん、意外性も含めてですけどね。

Die:そうですね。当然、名前は知ってたんですけど、樫山さんから「中村 中はどう?」って話が来たときは、一緒にステージに立つイメージがまだ浮かばなかったんですよ。でも、会って話をしたときに、ライブ一本通して、エレキをずっと持って歌ったことがないって言うんですよね。そういう人と並んで立つのが、まず何か面白いかなと思ったんです、どう見せていくんやろうなって。

――今までにないものが確実に出てくるはずだと。

Die:そうそう。まずその読めないところが魅力的でしたよね。

――樫山さんはなぜ中さんを推薦したんですか?

樫山:さっきの話のように4月のライブが決まってたんで、いろいろ探してたんですけど、周りの先輩やプロデューサーたちからも何人か候補が挙がってきた中に、中村 中がいたんですね。あぁ、「友達の詩」の人やなって。他にも様々な人がおったんですけど、DECAYSにおいては、小林くんのように自分の色でちょっとポップな部分を抑えてくれる人が必要やったんで、そういう事で考えると、中が合うんじゃないかなと思ったんですよ。

DECAYS/中村 中

初めて会ったときにどういう音楽をやるバンドなのか質問したら、テーマを持たないで楽しもうとしてるって話をされたんです。でも何となく釈然としなくて。“楽しい”は誰でもやれるでしょ。(中村)――中さんはどう感じました? 思いもよらないところから声がかかったと思いますが。

中村:声をかけてくれた人はデビュー当時のプロデューサーで、「汚れた下着」という曲でデビューさせてくれた人なんです。デカダンな雰囲気のロックを私にやらせたいって思いがその頃からあって、それから10年経っても、そういう気持ちがあったんでしょうね。私もデカダンなものは好きだし、やってみたいなとは思ってて。でも、声がかかったときは、違和感あったかな。とりあえず、会ってみないとわからないって言いました(笑)。できれば、本当はライブを観てから参加を決めたかったんですけどね。そのプロデューサーからの「バンドとかいいと思うよ」って言葉にもほだされつつ……。あとはうっすら感じてた、V系のロックとの親和性というのかな。V系ロックを好きな人たちにも(自身が)受け入れてもらえるんじゃないかと、何となく思ってたんです。そのプロデューサーとの間でやれてなかった面白いことができるのも嬉しいし、参加することに決めました。

――DECAYSに参加すると聞いたとき、絶対に合うだろうなと思ったんです。マネージャー氏にも話したら、彼もそう思っていたって言うんですよね。

中村:うん……。それがどういうことなのか、ちょっと教えてくれませんか? 言葉ではわからないの。私、感覚で、楽しいだろうなぁとか、こういう恰好をして歌うのは絶対にキマるってわかってるけど、なんでそう思ったんですか?

――今までの中村 中としての音源でも、退廃的なものや妖艶なものを随時表現していたと思いますし、そこがより強く押し出せる場でもあるなと思ったんですよ。実際にDECAYSとしてのライブも観て、今回のフルアルバムを聴いてみても、それは納得するところでしたね。

中村:あぁ。自分では、どう見られてるかってわからないじゃないですか。消せないものが出てるんだなぁって思いました(笑)。それがこう混ざったっていう感じ?

Die:うん。何もしてなくても、自然に出てると思うんですよ。わざわざ自分で説明しなくても大丈夫やろ。

中村:面白く混ざるかもって、みんなに囃し立てられたのでやりました、とか言っちゃダメか(笑)。でもね、ハマると思うよって、盛り上げてもらったからできたってのもある。

樫山:でも、こっちもそうだったよね。そのプロデューサーに「中はいいよ!」って何度も言われて(笑)。いろいろ考えましたけど、周りからは絶対にいけるって強い推しがあったので。急遽、4月のツアーに参加してもらうことになりました。リハは4回で、中には全曲を覚えてもらって(笑)。あれ、しんどかったやろ?

中村:楽しかったですよ。そうそう最初はね、楽譜がなかったから……新しい世界があるなぁって(笑)。

――普段は楽譜を使っているわけですね。

樫山:俺ら、暗譜してるので譜面はあんまり使わないからね。今回のレコーディングの直前にも、急遽、チドニーが作ったんですよ。レコード会社から、構成譜くださいって言われて、「ありません」って(笑)。そこでまた面白かったのが、チドニーが「僕、そんなに譜面書けないです」って。「嘘でしょ!?」って話ですよね(笑)。

――譜面を書けそうな人が書けなかった(笑)。

樫山:そう、「じゃあ、今から勉強して」って書き方を教えました(笑)。

中村:でも、初めて会ったときに、どういう音楽をやるバンドなのかって質問をしたら、自由でいいんだ、テーマを持たないで楽しもうとしてるって話をされたんです。でも、何となく釈然としなくて。“楽しい”は誰でもやれるでしょ。だから、「何のためにやるんですか?」とか。私が音楽をやるときは、バカにしてるやつを見返してやろうと思ってやってますよ、とか、そういう話をいろいろしたんですよ(笑)。

樫山:うん、してたな(笑)。

中村:そう。だけど、1時間ぐらい喋った中で一番印象に残ってたのが、二人が言っていた“自由に楽しむ”っていうことだったんです。それから実際にリハに入ってみたら、1日目にみんなで音を出しているときの楽しそうな感じが、“あぁ、これのことを言っているのかな”と思ったんですね。楽譜がないのも気にならなくなって。そこでやっと、ここで私が歌う意味ができたんです。もう自分のモニターも聞こえないぐらいの爆音なんですね。でも、要はグチャっとひとつの塊になる気持ちよさというか、音圧の中で癒されることってあるじゃないですか。爆音の中だから逆に身軽になれるみたいな感覚を、私はそのときに覚えたんですね。

DECAYS/Ayasa

――この『Baby who wanders』ができて、DECAYSとはいかなるバンドなのか、メンバー自身もはっきり見えたところはあるんじゃないですか?

樫山:どうでしょうね。中やAyasaが入って、今あるものをバーっとまとめているところはあるんですよ。まずDieくんとの間で、ちょっとデジタルな要素だったり、今回はシューゲイザーの部分はなしで、Ayasaのヴァイオリンでそこをフォローしてもらいつつ、最終的には、全曲、耳触りがいいところに持って行く、ハッピー感がちゃんと伝わるパキッとしたところの音作りはしようって話をしてたんですね。その意味では、各自のメッセージ性もそうですよね。中には中のメッセージ性があるし、DIR EN GREYにはDIR EN GREYのメッセージ性がある。でも、今回のアルバムには強いメッセージ性はなくてもいいと俺は思ったんです。今のDECAYSにそういうものが混ざってしまうと、方向性がグチャグチャになってしまうので。曲そのものも、ファンの人たちが手を挙げて、飛んだりして、楽しかったっていうぐらいのものにしたかったんですよ。いろんなバリエーションはあるんだけど、DECAYSの根本にあるハッピーなことが伝わったかなって。そういうアルバムにはなったと思いますね。

中村:私も正直、どうなるかわからないバンドだなと思うんだけど、全部レコーディングが終わって、どんなタイトルになるんだろうと思ってたら、『Baby who wanders』ですって、Dieちゃんから聞いて。「ぴったりなタイトルだな」って思ったというか。“どうなるかわからない”って、何か嫌な言葉にも聞こえるじゃないですか。でも、それも手の中で転がして遊んでいられるぐらい、全然、ワクワクしていい感覚なんだなって。あと、私の中では、ハッピーはよくわからないのね。この前、みんなでインタビューを受けたときにディスコについての話があったんだけど、ハッピーだから踊るっていう感覚が私はわからないんです。苦しいから、忘れたいから踊るって感覚だったから。

樫山:それは中やからちゃう? 俺はお客さんがそう思ってくれればいいと思ってるから。

中村:そうそう。だから、外側に向けてのハッピーということなんだなと思ってね。

――でも、確かに何が起こるかわからない面白さはあるんですよ。メンバーそれぞれの個性も表れていると思いますしね。

Die:そうですね。全曲を通してのアルバムの肌触りというところで言うと、俺と樫山さんが話していた、今できるDECAYSの見せたいところの近くまではもっていけたかなと思っていて。歌の部分を強調したアルバムなんですけど、変な話じゃなくて、やっぱり、中の歌が続くと、中の世界にどっぷりと入ってしまうんですよね。その意味では、曲順もすごく考えましたし。すごく中の歌は強いんですよ。そこでいかに最終的にキラっとさせるか。

――それぞれをより輝かせるためにどうするか?

Die:DECAYSとしての見せ方ですね。いい悩みでしたよ。Ayasaのヴァイオリンも然り。あれだけ主張している音なんで、そのまま鳴らしていると、すぐにヴァイオリンに耳が持って行かれてしまうんですよね。それをいかに全体のサウンドの中に存在する音にするか。だから、弦の響きだけ残して、ヴァイオリンではないまた別の楽器のような音にしたところもありますし。個人的にも新しい挑戦ではありましたね。ギターにしても、一人で全部ギタートラックを埋めたのは生まれて初めてなんで。小林くんが前に弾いた音がちょっと残ってるところもありますけど、新しくレコーディングしたものに関しては、全部、自分が弾いてますからね。

――使用している機材も違いますもんね。

Die:まったく違いますね。DIR EN GREYでやっていることとは、システムもやり方も違いますし。

――ヴァイオリンが全面的にフィーチュアされることは、当初のDECAYSとはまた違う音の在り方ですよね。『Red or Maryam』のときは、いわゆる客演というレベルでしたから。

樫山:そういうイメージでしたね。

Die:でも、中が加入することによってひらめいたところもあるんですよね。二人がステージに立つことで、もっと豪華に見えるんじゃないかというところもありつつ、音的にもヴァイオリンが全面的に入ってくることで、前回のイメージから変えられるんじゃないかと思いましたし。

中村:そうだったんですね。

樫山:実際に全曲で入れようと思ったのは、ライブをやってみてのことだったんですよ。Ayasaはエフェクターを使うんで、ボーカルやギターの音とかとも上手く混ざるんです。

Die:レコーディングをやりながら見えたところも結構あるんですよ。次はこうしたら、もっとよくなるよなぁって。でも、それをそのときに試してたら、確実に2017年リリースになってましたね(笑)。

DECAYS/寺沢 リョータ

前作を作ったときの疑問点が、「愛と哀を遺さず...」とかを中が歌ったときに“それそれ!”ってハマった感覚があったんです。(樫山)――時間はいくらあっても足りないでしょうからね(笑)。前作にも入っていた「シークレットモード」や「愛と哀を遺さず...」などを、改めて収録したのは?

Die:ライブでもやってましたし、中が入ったことによって、まったく違う響きになっているので、それをパッケージしたかったんですよね。あとは中が「Drifting litter」は絶対に入れたいって言ってて。

樫山:前作では「Red tide」と呼んでいたものですね。

Die:歌詞もサビのメロディも変わっているので、新たに別曲として捉えてますけどね。

中村:私が歌うからということで、入れていただけたのかしら?

樫山:そう。マッチングがすごくよかったんだよね。次に向かうために、前作を作ったときの疑問点が出てくるじゃないですか。そこで「愛と哀を遺さず...」とかを中が歌ったときに“それそれ!”ってハマった感覚があったんですよ。それはパッケージして、たくさんの人に聴いてもらいたいと思って。

――「Drifting litter」などは、聴いてすぐに、中村 中の世界が感じられますよね。

樫山:「Drifting litter」と「Eve」(前作では「beautiful」名義)辺りは特にそうですよね。

中村:最初のツアーでは、アコースティックでやった曲だったんです。アルバムでは「Red tide」はバンドサウンドで入ってて、その音がすごくカッコよくて、メロディも好きだし、やりたかったんですよ。「何曲か歌詞を書くか?」みたいな話ももらえてたんで、もし、生まれ変わらせることができたら、やってみたいなと思って(再録を)お願いしたんです。

樫山:ガチハマりだったよね。一回目の4月のツアーを観た俺の友達たちが、ライブが終わった後に言ってたのも、その2曲だったんですよ。これを中さんのバージョンとして録ってくれませんかって。

Die:だから、小林くんの「Red tide」「beautiful」、中村中の「Drifting litter」、「Eve」ってことですよね。

――「Eve」もまた惹きつけられますよね。では、今回の13曲で、今のDECAYSを特に象徴するものを選ぶとしたら、どれを挙げます?

Die:1曲に絞れないですけど、「Where are you going?」とかも、ライブのバージョンとはだいぶ変わったんですけど、すごくDECAYSのバンド感というか、全員の集合体でそれぞれ存在している感じがありますね。曲の雰囲気もあるし……最後の最後に(収録することが)決まったんですよね、これ。

樫山:そう。ずっとボツ曲だったんです。去年からライブでやるたびに、ファンの人たちは盛り上がってくれてるんだけど、メンバーでは何かハマらないねぇって。

――妖艶な雰囲気がとてもいいですよ。

樫山:最後の最後で、Dieくんのギターでそこに行ったんです。

Die:そう、バッサリと変えて。微妙な明るさ、暗さというか、そういうものが必要だったんですよ。

樫山:後ろにヴァイオリンがおったというのもあったよね。

Die:うん。先にAyasaが入れてくれたから、それを活かすギターを弾こう、みたいな。

樫山:僕は「愛と哀を遺さず...」が、ひと通り、全員がやらなければならないことをやっている、それが上手くパッケージできた曲だと思うんですよね。ツインボーカルに関しても、サビで二人がハモっているところもあるし。

中村:私も「愛と哀を遺さず...」だと思います。全員の音が聞こえるから。

DECAYS/チドニー

――曲としてもすごく印象に残りますね。“全員”という言葉が出てきましたが、ベースに寺沢 リョータくんが加わったのも、どういう人脈なのか謎ですよ。

樫山:これも中を紹介してくれたプロデューサーなんですね(笑)。実はね、そのプロデューサーがMOON CHILDを売ってくれた人なんですよ。しかも、今はAyasaもソロとして担当している。リョータに関しては、「最近、若いのでいいのがいるので。ちょっと見てあげて」って言われて、突然ライブに行って……なんてことをしていたら、偶然、リョータのお父さん(BLIZARD等の寺沢功一)とは知り合いだったんですよ(笑)。そこで「えっ!? お前、テラチンの息子!?」ってことにもなったりして。だから、リョータは若いのに音で大御所感を出してきやがる(笑)。

――ライブでも堂々としてますもんね。さて、年末から年明けにかけて東名阪ツアーがありますが、ライブを観ると、DECAYSの魅力はよりわかるでしょうね。

樫山:絵面が入ってきますからね。今回のアー写では一人一人のキャラ設定があるんですけど、ツアーのイメージとしては、その辺のキャラに沿って、それぞれをちゃんとフィーチュアできるライブにできたらなぁというイメージがあるんですけどね。

中村:楽しくやれればと思います。でも、普通に楽しいのは嫌なんですよ。アルバムを出してからの最初のツアーだから、自然と“できましたよ!”っていう楽しい気持ちもあるんだろうけど、私の中では、どうしてこの曲順なんだろうとか、二人が作るストーリーはどういうことなのかとか、どうやったらカッコよくなるのかっていうのを、悩んで悩んで形にしていきたいし、そういうことの蓄積を出す場だと思っているんですね。だから、リハーサルの段階から、大いにバトルができたらいいなって。

――それこそ、どうなっていくかわからない面白さがあるでしょうからね。

中村:怖いんだもん、どうなってくかわからないってことが。

Die:ふふふ(笑)。

中村:でも、ステージの上では、それをエネルギーに変えられたらいいなと思ってるんです。

Die:まぁ、ほとんどライブでやってきた曲なんですけど、もうアルバムで音として聴いてもらった状態だから、変な話、言い訳できないというか、ごまかしも利かなくなったので(笑)、自分としては、前以上に背負う責任は大きいですね。ギター然り、歌然り、すべて自分がちゃんとしないと、すべてぶっ壊れると思ってるんで(笑)。

取材・文=土屋京輔

リリース情報DECAYS 1st ALBUM 『Baby who wanders』
2016年12月7日発売
【通常盤】MUCD-1369 ¥3,000 (税込)DECAYS 通常盤

<CD>
01. Aesthetics of the transgression
02. Zero Paradise
03. 愛と哀を遺さず... <Baby who wanders Ver.>
04. Drifting litter
05. Where are you going?
06. Vagabond
07. Imprisonment Leaving
08. シークレットモード
09. HELLO!NEW I
10. Eve
11. Rana
12. D/D
13. 綺麗な指
【初回生産限定盤A】 (CD+DVD):MUCD-8082/3 ¥4,000 (税込)DECAYS 初回盤A

<CD>
01. Aesthetics of the transgression
02. Zero Paradise
03. 愛と哀を遺さず...<Baby who wanders Ver.>
04. Drifting litter
05. Where are you going?
06. Vagabond
07. Imprisonment Leaving
08. シークレットモード
09. HELLO!NEW I
10. Eve
11. Rana
12. D/D
13. 綺麗な指
<DVD>
01. 愛と哀を遺さず... <Baby who wanders Ver.> Music Video
02. making of 愛と哀を遺さず... <Baby who wanders Ver.>
【初回生産限定盤B】 (CD+Blu-ray):MUCD-8084/5 ¥6,000(税込)
*三方背ケース入り/ 64Pフォトブックレット付きDECAYS 初回盤B

<CD>
01. Aesthetics of the transgression
02. Zero Paradise
03. 愛と哀を遺さず... <Baby who wanders Ver.>
04. Drifting litter
05. Where are you going?
06. Vagabond
07. Imprisonment Leaving
08. シークレットモード
09. HELLO!NEW I
10. Eve
11. Rana
12. D/D
13. 綺麗な指
<Blu-ray>
01. 愛と哀を遺さず... <Baby who wanders Ver.> Music Video
02. making of 愛と哀を遺さず... <Baby who wanders Ver.>
Manufactured by Dreamusic・
Distributed by Sony Music Marketing Inc.<配信情報>
DECAYS 1st ALBUM『Baby who wanders』が各サイトにて配信中!
★iTunes
iPhone、Mac
https://itunes.apple.com/us/album/baby-who-wanders/id1180490115?l=ja&ls=1&app=itunes
Winなど
https://itunes.apple.com/jp/album/baby-who-wanders/id1180490115
★レコチョク
http://recochoku.jp/artist/2000536315/
<DECAYS「Baby who wanders」発売記念イベント>【愛知県】
開催日:2016年12月29日(木)19:00~
会場:HMV栄イベントスペース
集合時間:18:30
イベント内容:トーク&サイン会
参加メンバー:Die、樫山圭、チドニー
対象店舗:HMV栄
ライブ情報DECAYS LIVE TOUR 2016-2017
Baby who wanders
2016.12.27(火)大阪・OSAKA MUSE open 18:30 / start 19:00
2016.12.28(水) 名古屋・ell.FITS ALL open 18:30 / start 19:00
2017.01.04(水) 東京・赤坂BLITZ open 17:00 / start 18:00
[チケット料金] ¥5,400 (税込・ドリンク代別)
[総合問合せ] NEXTROAD 03-5114-7444 (平日14:00~18:00)
■チケット一般発売中
 
プレゼントDECAYS ポスター

DECAYSサイン入りポスター
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