柴咲コウ、東京・大阪2日間だけの超
プレミアムライブを開催!

2枚のカバーアルバムからの選曲を中心に、ピアノに元・東京事変伊澤一葉、パーカッションにゆずのサポートでも知られる若森さちこを迎えた最小編成による演奏で、装飾は排除。真っ赤な果実のようなノースリーブのドレスを纏った彼女は身1つでステージに立ち、リラックスしたムードのなかで全11曲を歌唱。歌の言葉、1つ1つに丁寧に感情を織り込んだパフォーマンスで、プレミアムチケットを手にした観客を魅了した。

 笑顔で観客とハイタッチしながらステージに上がった彼女は、ライブのオープニングに爽やかなアップテンポのポップナンバー「白いカイト」(My Little Lover)をチョイス。音源ではワタナベシュンスケに任せていた口笛も自身で披露し、客席からはクラップとともに大きな拍手も上がった。さらに、柔らかなファルセットが特徴的な「ただ泣きたくなるの」(中山美穂)、近年の彼女のテーマにもなっている「素直」(槇原敬之)、体の奥底からエネルギーが湧き上がってくるような生命力を感じた「永遠」(ZARD)と、思い入れの強い曲たちを音が空中に消えて無くなる最後の最後まで丁寧に歌い上げ、親密な空間だからこその細かい表現の細部まで味わうことができた。



 MCでは、来年で15周年を迎える音楽活動について、「やりたいことをもっともっと明確にして、突き詰めて、具現化していきたい」と意気込みを語った。そして、中盤のブロックでは、瞳を閉じながら「3月9日」(レミオロメン)を切々と歌い、現時点での最新シングル「野性の同盟」のアコースティクバージョンも披露。オリジナルではストリングスも入った壮大なサウンドになっているが、この日は、吐息交じりのアクセントも含め、声だけでスケールを広げていくヴォーカル力を見せた。続く、「サヨナラ」(GAO)は彼女が小学校5年生の時にファンレターを書いてしまうくらい大好きだったシンガーソングライターGAOのヒット曲で、思い入れの強さからか、マイクを両手で持って歌い出だすシーンが印象に残った。

 ここで彼女は、「ずっとビルボードでライブがしたかったので、今回、ここで歌うことができて幸せです」と話し、「小編成でやるとより一層、一字一句に奥深さを感じるし、感情移入しやすいと思います。できれば来年も、物理的にも、心理的にもお客さんと近い距離でやりたい」と続けた。次のライブが決まっているわけではないが、さらに「カバーさせていただいたことでより一層、歌うことに対して責任を持つようになったし、お芝居を重ねていることもあって、歌にどれだけの表情をつけて、感情を乗せて、みんなに届けることができるのかを真摯に考えているので、そういう場ができたらいい。歌の活動も、お芝居の活動も、いいタイミングで、自分のできる範囲で、真心を込めて向き合って、きちんとした形で発表できたらと思っています。これからも応援よろしくお願いいたします」と意気込みを語った。

 そして、アカペラで歌いだした「テルーの唄」(手嶌葵)では少女のように純粋な一面を見せ、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN III 暁の蜂起』の主題歌として今年の5月にリリースされた「永遠のAstraea」、そしてドラマ「ガリレオ」の主題歌「最愛」と、オリジナルのコラボ楽曲を続けて披露し、「本当に歌が好きだなと思います。もっともっと磨いていかないといけない部分もあるけど、気持ちを込めることは絶対に負けない」と、歌に対する情熱を実感を込めて伝えた。続けて、ピアノが弾むポップナンバー「夢の外へ」(星野源)を歌い始めると、ステージ後方の幕が開き、イルミネーションが照らされた通りの風景が広がった。演出らしい演出といえばこれだけだが、彼女の歌を聴きながら、1枚の窓で区切られた外の世界を見ることで、夢のような世界から現実への緩やかな帰還を感じた人も多かっただろうし、ここではないどこか別の世界へと思いを馳せた人もいたのではないかと思う。最後に、観客に向けて笑顔で手を振りながら、「また会いましょう。みなさん、またきてくださいね」と再会の約束をし、充実した表情でステージを後にした。



 なお、大河ドラマ「おんな城主 直虎」はいよいよ、2017年1月8日から放送がスタートする。1年以上に及ぶ連日の撮影があるため、音楽活動における次の明確な予定は決まってないが、彼女の言葉を信じ、その動向をゆっくりと見守りたいと思う。
(ライター・永堀アツオ)

Photo by 田中聖太郎

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