米国政府のスパイ行為を告発した<ス
ノーデン事件>の真相を描くドキュメ
ンタリー『シチズンフォー スノーデ
ンの暴露』

スノーデンは、ボルチモアの高校を途中退学したのち、高卒資格試験(GED)をパスし、2003年メリーランド州にあるアン・アルンデル・コミュニティ・カレッジに入学しコンピュータ学を専攻。情報機関との関わりあいができたのは国家安全保障局(NSA)付属のメリーランド大学外国語研修センターの警備員として雇われた時だった。スノーデンは独学でネット技術について勉強するほどのネットフリークだったという。その後、技術者としての適性能力が評価されたのか、米中央情報局(CIA)のIT安全管理者として雇用され、ジュネーヴのCIA支局に派遣されている。
米国政府のスパイ行為を告発した<スノーデン事件>の真相を描くドキュメンタリー『シチズンフォー スノーデンの暴露』 ©Praxis Films ©Laura Poitras
また、スノーデンは2009~2011年までをNSAの請負企業の従業員として日本に駐在しており、他国軍や民間のシステムへの攻撃、情報の傍受を行うなどの「上級サイバー工作員」になるための訓練を日本で集中的に受けたとされている。さらに驚くべきは、スノーデンが米政府による個人情報収集活動を暴露した背景には、日本での勤務中に米無人機による攻撃対象者の監視映像を見たことが要因だとされている。スノーデンが見た映像がどの国で撮影されたものかは不明だが、元職員が日本に滞在した期間は米政府がパキスタンなどで無人機による攻撃を多用し始めた時期と一致している。
米国政府のスパイ行為を告発した<スノーデン事件>の真相を描くドキュメンタリー『シチズンフォー スノーデンの暴露』 ©Praxis Films ©Laura Poitras
米国は、世界規模の通信傍受システム「エシュロン」を構築しており、その運営主体はNSAであると言われている。日本国内にもエシュロン傍受施設が青森県の三沢基地に置かれており、日本政府や日本企業等の情報も含め、無線や携帯電話、インターネット回線など、日本国内の通信が常に傍受されている可能性がある。英米など英語圏5か国が共同運用しているとされる通信傍受システム「エシュロン」を調べてきた欧州議会は、「エシュロンによる通信傍受は人権やプライバシーを侵害する」という最終報告書を賛成多数で可決している。一方で、金正男や日本赤軍の重信房子が入管段階でマークされていた背景にはエシュロンによって事前に察知されているとも言われているが、真相は明らかでない。

国家が情報開示を容認することは国民の安全のためなのか、果たしてプライバシーとは一体誰のものなのか、スノーデンが投じた一石は、我々にさまざまな議論を呼び起こさせるきっかけになったことは間違いない。

映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』は6月11日(土)、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー。


配給:ギャガ・プラス
©Praxis Films ©Laura Poitras gaga.ne.jp/citizenfour

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