椎名林檎流「NIPPON」サッカー応援ソ
ング

発表当時、右翼的だと話題になった曲です。もともと椎名林檎は愛国心が強い側面がありますが、この楽曲はあくまでも応援の歌。きちんとサッカー応援ソングになっています。
まず冒頭。
「万歳!万歳!日本晴れ 列島 草いきれ 天晴」「フレー」「フレー」「にっぽんばれ」「くさいきれ」「あっぱれ」と、全て「れ」で韻を踏んでいます。
さらに続く歌詞。「乾杯!乾杯! いざ出陣 我ら時代の風雲児」「チアーズ」「チアーズ」「いざ」「しゅつじん」「じだい」「ふううんじ」と、こちらもいずれも「い」と「じ」の音で韻を踏んでいます。
曲世界に入りやすくしているリズミカルな冒頭です。
続いてAメロ。ここでは「さいはて目指して持って来たもの」=「この地球上でいちばん 混じり気のない気高い青」=「何よりも熱く静かな炎」であると示されます。これは「優勝目指して持ってきた青いユニフォームの内に秘めた熱く静かな闘志」を指すのでしょう。いわば勝利のマインドです。
「今日までハレとケの往来に 蓄えた財産をさあ使うとき」
ハレとは祭や行事などの非日常、ケは普段の生活の日常を指します。非日常と日常を行ったり来たりしながら蓄えていた財産を使おうという意味。この財産とは、練習量や身につけた技術やマインドや鍛えた身体を指します。
"ほんのつい先考えて居たことがもう古くて
少しも抑えて居らんないの
身体まかせ 時を追い越せ
何よりも速く確かに今を蹴って"
ここはまさにサッカーの試合そのもの。ピッチ上の戦況は常に変化し「ついさっき考えていたことがもう古い」という状況が頻繁に起きます。抑えていられないぐらい身体を動かす選手たち。あえて「考えて居た」「抑えて居らんないの」と「居る」の字、住居の「居」を用いることで「その場にとどまっていられない状況」というのを逆説的に表現しています。時を追い越すほど何よりも速く身体を動かす選手たちの描写。
最初のほうではマインドを強調し、後半では身体を強調する歌詞。そして「今を蹴って」と締めることで、常に「今」ボールを「蹴り」続けるサッカーの歌であることをあらためて示しているのです。
疾走感のあるメロディが応援歌としてハマっている今作。椎名林檎流のサッカー応援歌は、さすが歌詞もよく考えられていますね。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)

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