「新・牡丹と薔薇」今回も、名ゼリフ
&珍エピソードの数々に期待!:ドラァ
グクィーン・エスムラルダ連載79

エスムラルダの「勝手にワイドショー!」

連載第79回 今回も、名ゼリフ&珍エピ
ソードの数々に期待! 「新・牡丹と薔
薇」

 みなさんはご存知かしら。来年3月をもって、フジテレビが「ごきげんよう」と東海テレビ制作の昼ドラ枠を廃止する、というニュースを……。2009年にTBS系の「花王 愛の劇場」が終了し、その後、テレビ東京系の昼ドラもわずか4作で終了し、東海テレビ制作の昼ドラが最後の砦だったのに……何とも残念だわ。

 そんなわけで、「もう終わりだし、どでかい花火打ち上げたれッ」とでも思ったのか、東海テレビがラス前にもってきたのが、今週月曜日から放送を開始した「新・牡丹と薔薇」。
 これは、言わずと知れた大ヒット作「牡丹と薔薇」(2004年放送)のリメイク(とはいえ、話の内容はまったく違う)で、脚本は前作同様、中島丈博先生。
 中島先生は大河ドラマを4作も手がけられた大ベテランでありながら、昼ドラでは「牡丹と薔薇」のほか、「真珠夫人」「非婚同盟」「赤い糸の女」といった名作(もしくは迷作)を書かれてきたお方。そのぶっ飛んだ世界観は、アタシ含め、数多くのオカマたちを魅了してきたわ。

 先生の昼ドラの特徴はまず、登場人物全員が「どうかしている」点にあるの。
 ヒロインはたいてい、ちょっと変わった家庭で育っていて(父親に愛人がいるとか、父親の前妻がやたらいばっているとか)、真面目そうに見えるけど、異様に鈍かったり図々しかったりするの。そして、ヒロインの周囲には必ず狂気全開な登場人物がいて、最初は比較的まともそうに見えた人も、たいてい途中で嫉妬に狂っておかしくなり、妙な手料理(たわしコロッケとか)を夫に食わせたり人を殺しちまったりするのよね。
 ハッ。あれは「人間にはいろんな面があり、どんな人にも必ず異常な部分はある」という、中島先生なりのメッセージなのかしら……。

 ほかに中島先生の昼ドラの特徴として挙げられるのは、「あんたの放蕩息子のムスコをちょんぎってやればいいじゃないかッ」とか「今は誰に対してもセクシーな気分になれないんだ」といった、昭和の香りが色濃く漂う名ゼリフと、BPOの基準スレスレ(というか、たぶんアウト)な珍エピソードの数々。
 アタシが今でも鮮明に覚えているのは、「非婚同盟」(2009年放送)で、中学生のヒロインが同級生の女の子を奴隷役にして、「奴隷ごっこ」をする、というエピソード。しかもそれを知ったヒロインの兄は、「奴隷はいいよなあ」「奴隷に乾杯ッ」とか言っちゃうの。ほんと、いろいろ狂ってる。

 冒頭からフルスロットルでおかしかった「非婚同盟」あたりと比べると、「新・牡丹と薔薇」は今のところ、若干おとなしめ。だけど「第1話開始早々、ヒロインの母親・眞澄が高校生でありながら妊娠し、その相手が事故で死ぬ」などスピード感(?)は健在だし、何より今作は伊藤かずえ美山加恋田中美奈子など、ここ数年の昼ドラのメインキャストが総出演(さらには、前作の出演者である大河内奈々子小沢真珠西村和彦、川上麻衣子も第1話にゲスト出演)。東海テレビの並々ならぬやる気が感じられるので、今後にめちゃくちゃ期待しているわ!

 ちなみに、中島先生の作品に限らず、この手の昼ドラって、よく「ドロドロ」といわれるけど、アタシはそうは思わないの。だって、普通の人間なら一生ひきずりそうな大事件(レイプされたり、出生の秘密があったり、婚約者が事故で亡くなったり)に遭遇しても、登場人物全員が10分後、下手すると1分後には立ち直っているんですもの。ドロドロというより、むしろあっさり?
 とにかく登場人物の誰にも感情移入できないので、何が起こってもハラハラすることなく、ネタとして気楽に観ることができるのよね。

 そんな、夜のドラマとはまったく違う楽しみ方ができる&(テレ朝のミステリー枠や二時間ドラマ同様)ちょっぴり旬を過ぎた感のある俳優・女優の活躍が見られるドラマ枠がなくなるのは、やっぱり残念。来春からの昼のリニューアル計画、万が一失敗に終わったら、すぐにでも昼ドラ再開してほしいわ!

写真:番組HPより

【エスムラルダ:プロフィール】
えすむらるだ…1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。
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