「養老天命反転地がアートだ!」:水野
しずアート連載1

水野しずのこれがアートだ!

第1回「養老天命反転地がアートだ!」

初めまして。この連載では私、水野しずが世間で今取り沙汰されている事件を独自の観点から「これがアートだ!」と勝手に語っていこうという趣旨で展開させて頂きます。因みに私、水野しずは美術大学を中退しております。また文化的教養もほぼありません。映画は二ヶ月に一回見るかどうかといったところ。アートの文脈、ぜんぜん踏まえておりません。あえて踏まえずに行くという趣向ではなく、踏まえるだけの知識、教養、見識が全くないのです。そんな自分に超ガッカリ。ごめんなさい。では知的見識、教養の代わりに私、水野しずが貴重なリソースを裂いて本文に向き合ってくださっている皆様にご呈示できるものはなにか、それは

『しゃれにならないくらい真面目に向き合う姿勢』

です。

皆さん、価値観のコピーペーストで構成されたどこかで見たことあるような果汁30%くらいの塩梅のなにかを言っているようで言ってない情報にウンザリしていらっしゃいませんか?ゴーストライターゴーストライターって騒ぐけれども実際のライターがゴーストみたいで人間が見えてこない。大っきい波にサーフィンしてばっかで身のこなしは上手だけどなんかタイクツ。

ご安心ください!

水野しずがダイタラボッチに成り代わり凪いだ海にビックウェーブを起こしてみせます。乗るしかない、炎上上等。だって炎上って要するにただの得だから。でも世の大人は「要するに得」っていうことがバレると炎上が起こらなくなって損だと思って言わないようにしているのです。こずるいですね。私はそういうそろばんを弾いてばかりの大人とは根本的に違うのです。何が違うのか。魂の質かな。尊いんです私は。だから信じてください!たとえyoutubeが課金制になったとしても、マック○バリ○に異物混入事件が起きたとしても、この世界で水野しずだけは信じて大丈夫だから。信じてちょうだい。

 

前置きがすごいありえんくらいキモくなってしまい反省しました。これ以上教祖ナイズされた口調で世間から白びた眼差しを浴びるのはよくないので本題に入ろうかと思います。第一回は私の故郷、岐阜を代表するアートスポット「養老天命反転地」について取り上げようかと思います。以下wikipediaより引用。

養老天命反転地(ようろうてんめいはんてんち)とは岐阜県養老町にある養老公園内の有料施設である。荒川修作とマドリン・ギンズによる構想を公園施設として作った。作品の中を回遊し体験することで作品を鑑賞するモダンアート。芸術作品であり、博物館法に定める博物館・美術館ではない。

作家の荒川修作氏は奇しくも私と同じ武蔵野美術大学中退という経歴でいらっしゃいます。私と違い入学後すぐにやめたそうなので判断力は先生の方にかなり部があると言えますが。養老天命反転地とは、平衡感覚や遠近感を揺さぶり知覚の再構成を促すことを目的とした「ランドアート」と呼ばれるジャンルのテーマパーク的芸術施設で、要するに迷路みたいな家とか急な斜面とか急勾配の道が園内に配置されたアスレチック感覚の公園(入場料大人750円)なのです。私はこの施設完成した1995年頃に家族で訪れています。不思議の国のアリスの世界に飛び込んだような日常を逸脱した新感覚アスレチック体験に幼心にかなりエキサイティングした記憶があります。少し前に姉と会話をしている時にふと養老天命反転地トークに花が咲き、大変に盛り上がったので想いを馳せたのですが、その後十数年ぶりに反転地を再訪した姉の表情は曇りに曇っていました。顔に緞帳が降りていると思いました。

「荒れ果てていたよ…」

姉はそれ以上養老天命反転地への言及をしなかったので現在の状況に付いてそれ以上の情報は得られなかったのですが、私はその一言でおおよその現状を把握致しました。

岐阜のアレだ…

岐阜県民は殆ど関東県に進出しません。岐阜、愛知、三重の東海三件には「東濃ゾーン」という摩訶不思議なフィールドが形成されており、東濃文化圏の味噌漬けにされた濃厚すぎる浸透圧が他の地方の価値観の到来を阻むのです。私は常々、岐阜県(東濃地方)民は奇なものに対するスルースキルが高すぎると思っていました。奇なもの、とは要するに個人の内面が意図せず世界に表出されてしまった、ゲリラアートのようなものです。正気ではいられないほどの地雷原を岐阜県民は涅槃、もしくはイオンモールの客のような顔つきで渡り歩いているのです。私は岐阜をドロップアウトしました。辛かったからです。アートがなくて、正確には奇の表出で満たされているにも関わらず、それらが認識されずに素通りされてしまうせいでアートが機能しない、亡霊で満たされた空虚な地雷原で一人音を立てて燃える空しさに耐えられなかったからです。養老天命反転地は、(私のイメージの中で)燃えていました。私はその空しさに幼少期の己を重ねるような想いを抱きました。思い返してみると開設当初訪れた養老天命反転地で、オープニングの華やかなムードとともに最も盛り上がっていたのは明らかに地ビールやフランクフルトを販売しているエリアであり、純粋なアスレチック機能としては実際のアスレチックに劣る養老天命反転地が果たしてどの程度養老天命反転地たりえたのか、世の中に違和を表明できたのか、私にはわかりません。わかりませんが、荒れ果てた反転地に想いを馳せながら、地元で一度死んだ私自身に追悼の念を送った次第です。

養老天命反転地、関東県からは少し距離がありますが、後悔しないと思うので是非一度訪れてみてください。またその際には近辺に在する東濃ムード満喫スポット、養老ランドにもついでの来園をお勧め致します。

(隔週連載)

【水野しず:プロフィール】
みずのしず…イラストレーター/漫画家/モデル。1988年12月19日生まれ、岐阜県 多治見市出身。講談社が主催する女性アイドルオーディション、ミスiD2015で グランプリを受賞。カルチャーマガジン『TRASH-UP!!』等で漫画を連載するほか、モデルとしても活躍中。部活遍歴 は手話部、囲碁部、切り絵クラブ(副部長)。

公式サイト:
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