【仙台貨物 インタビュー】
今年の仙台貨物は
“中世ヨーロッパ”と
“多様性”がテーマ
L→R サティ(Gu)、王珍々(Ba)、イガグリ千葉(Vo)、KURIHARA(Mp)、ギガフレア(Dr)、フルフェイス(Gu)
ユニークなキャラクターや優れた音楽性、凝った演出などで多くのリスナーに笑顔や元気を与え続けている仙台貨物。ニューシングル「Ē janai ka」はメタルテイストを打ち出した2曲と夏感を湛えた2曲を収録し、彼らの異なった魅力が堪能できる一作に仕上がっている。そんな最新作についてイガグリ千葉(Vo)とサティ(Gu)、フルフェイス(Gu)に語ってもらった。
今は多様性の時代なので、
いろんなことを受け入れていこうと
「Ē janai ka」はどんな構想のもとに作られたシングルなのでしょうか?
イガグリ千葉
今年も仙台貨物で活動すようどいうごどで“テーマはどうする?”どメンバー、スタッフど話す合ったんですげれども、まっだぐ何も決まらながっだんです。んで、過去ぬ“メタルはじめました”ど銘打っだ作品(2014年7月発表のミニアルバム『SENDAI KAMOTSU』)を出すたんですけど、サティさんがその曲だずをライヴでやりだいと言っでいだんですね。んで、“じゃあ、それを入れで、今回の作品もちょっとメタルに寄せてセットリストを組もう”どなり、曲調はメタルな感ずで、中世ヨーロッパをテーマぬすようどいうごどぬ決まっだんです。“中世”どいう言葉じゃ…今はあれでないですか…いろんな…こうね…
フルフェイス
それは“多様性”だろう!(笑)
イガグリ千葉
多様性!
フルフェイス
中世とは全然違うじゃねぇか(笑)。
サティ
いやいや、“中世ヨーロッパ”という言葉が出てきたあと、今は多様性の時代だから真ん中にいようということで、“中性”という言葉とかけ合わせることにしたんですよ。
イガグリ千葉
それです(笑)。今は多様性の時代なので、いろんなごどを受げ入れでいごうど。そういうメッセージを今回は込めますた。“いろんな人がいだっでええじゃないか”どいうごどを伝えでいぎだいですね。今年の仙台貨物は“中世ヨーロッパ”ど“多様性”がテーマです。
サティ
そういう流れでメタルでいこうということになったけど、前と同じものをやるのは意味がないから、今回はビジュアル系メタルバンドにありそうなものを作ろうと思ったんです。それで中世ヨーロッパのことを調べ始めたんですよ。そしたら、みんなが思っている中世ヨーロッパと実際の中世ヨーロッパは違っていることに気づいて。中世ヨーロッパという時期は、実はめちゃくちゃ長いんですよね。4世紀から15世紀とかの期間で、オーケストラとかが出てくる前の時代なんです。だから、中世ヨーロッパに限定して考えてしまうと何もできなくなってしまう。パイプオルガンやチェンバロとかはあったのかな?でも、ギターなんかあるわけないし、“もう細かいことはいいや”と思って、なんとなくの感じで適当に作ったらできたのが「Ē janai ka」という曲です。
“中世ヨーロッパ”というコンセプトになったことを受けて、ちゃんと中世ヨーロッパのことを調べる辺りはさすがです。
サティ
調べた結果、イメージしていたところとうまく合致しないこともありますが、調べないで恥をかいたことが何回かあるので、調べる癖がついてしまったんです。今回も音楽的なことだけじゃなくて、当時はどんな服装が流行っていたのかといったことも調べました。
やりますね。それに、「Ē janai ka」は“なんとなく作った”とはとても思えません。オーケストラを使ったダークファンタジー感のある導入から始まって、メタリックに移行しますが、サビは明るくてキャッチーという凝った構成になっています。
サティ
曲作りに取りかかる前にシンフォニックメタルとか、その辺りを聴き漁って、ファンタジック要素を入れたいと思ったので、頭の導入から作り始めたんです。あのセクションは俺が全部打ち込んだんですけど、自分でもよくできたと思いますね。
えっ、ご自身ですか!? こういう場合は先に曲を作って、それに合うオーケストラの導入パートをアレンジャーなどに投げることが多いと思うのですが。
サティ
たぶんそうだと思います。最近はストリングスの打ち込みとかに凝っているんですけど、いろいろ勉強してやってみたらできました。サビで雰囲気が変わるのは、仙台貨物はサビを明るくしないとダメみたいな強迫観念があるんです。何が正解かは分からないけど、ダークな雰囲気だけで押すと、いわゆる普通のメタル系のバンドみたいな感じで終わってしまうじゃないですか。だから、サビは千葉さんの持ち味が出るようにしました。考えてみると、結構この曲は頑張ったかもしれない。気づかないように、かなり転調を仕込んだりしているし。実はイントロからAメロにいくところでも転調していたりするんです。
イガグリ千葉
サティさん、さすがだよね。千葉さんは「Ē janai ka」を最初に聴いた時はメタルというよりは、MALICE MIZERが浮がんできたな〜。なので、千葉さんもManaさんみたいな感じでいごうがなーど。
フルフェイス
怒られるから!(笑)
イガグリ千葉
でも、「Ē janai ka」はそういうイメージを受けますた。
フルフェイス
俺はもともとそこまでメタルは詳しくないんですよ。メタルの定義みたいなものがあまり分かっていないので、「Ē janai ka」を聴いた時は単純にライヴでノリやすそうな曲だなという印象でした。方向性が明確だったからギターも悩んだりすることはなくて、レコーディングでもサティさんとのやりとりはそれほどなかった気がする。すごくスムーズだったよね?
サティ
うん。俺もこの曲のギターは“メタルをやっただけ”という感じです(笑)。メタル系のリフとかギターとなるとブリッジミュートの刻みというイメージがあるので、それをベースにしている感じかな?“メタルってこういう感じだよね”という(笑)。音楽理論とかが分かっていない人が生み出した音楽で、破綻しているけどすごく魅力的なものってあるじゃないですか。理論を知っていたら絶対に作れない。そういうところを目指したいというのもあって、メタルを分析したりするのはやめておくことにしたんです。
クラシックをモチーフにした、変則ツインリードを活かした間奏もいいフックになっていますね。
サティ
“中世の音楽とは何だ?”となったら、本当はグレゴリオ聖歌とかになってしまうんですよ。一般的に言うクラシックってもっとあとなんですよね。でも、みんなはクラシック音楽を思い浮かべるじゃないですか。クラシックで有名な人といったらバッハですよね。“じゃあ、バッハでいいや”ということで、「G線上のアリア」と「小フーガ ト短調」をがっちゃんこさせました。だから、ちょっと破綻しかかっているというか、最後の最後だけ曲に戻るためにちょっと辻褄を合わせるみたいな。そういう間奏になっています。
イガグリ千葉
サティさん、すごいなぁ。「Ē janai ka」の歌は、もういつもの千葉さんという感じです。
千葉さんは仙台貨物では普段…といいますか、お兄様とはまったく違う歌い方をされていますよね。
イガグリ千葉
仙台貨物では地元である宮城県の方言を入れようどいうごどで、こういうしゃべりぬなっただんですー。んだから、千葉さんはしゃべっでいる声ど歌っでいる声があまり変わらないんですー。つまり、仙台貨物ではキャラをチューニングすて作っだ声で歌っでいるんです。
作った声で歌っていながら、歌唱レベルや表現力などが下がっていないことに驚きました。
イガグリ千葉
昔は若干お兄ちゃんど近いどごろがあっだんですけど、そごは兄弟でよぐ話す合いますた。お兄ちゃんはカッコ良いごどをやっで、千葉さんはコミカルなほうぬ振りきるどいうというごどぬなっだんですー。
振りきったことで、強固な“病みつき感”のある歌になっています。さらにダークファンタジーっぽく始まりつつもサビで“適当だってええじゃないか”と歌うという歌詞も秀逸です。
サティ
ダークファンタジーっぽくやってはみたものの、“まぁ、いいや”っていう(笑)。ずっと肩肘張って演じていると疲れてしまうので、“や~めた”みたいな(笑)。特にビジュアル系はそうですけど、いわゆるバンドコンセプトをガチガチに決めると思うんですよ。でも、そうじゃないのがあってもいいんじゃないかという気持ちはありましたね。
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青春感とか夏休み、がむしゃらな感じといった印象アーティスト
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