【チョーキューメイ インタビュー】
化学では証明できないものの
解像度を上げていきたい

L→R れんぴ(E.Pf)、藤井ごん(Ba)、麗(Vo&Gu&Vn)、空閑興一郎(Dr)

4ピースバンド・チョーキューメイの最新EP『LOVEの飽和水蒸気量』がリリースされた。メンバー自身も“怒涛だった”と語る2022年を総括しつつ、さらなる新境地が垣間見える今作についてメンバー全員に訊いた。

限界まで挑戦しながらも
楽しむことを忘れぬ活動

2022年を振り返ってみていかがですか?

藤井

楽しかったですね。制作やライヴなどもたくさんあって、結構ワチャワチャしていた一年ではあったんですけど、そのぶん思い出もたくさんできました。

れんぴ

いやぁ、怒涛だったよね。「3月の花嫁」(2022年2月配信リリース)を作るところから始まり、1stアルバム『するどいささくれ』(2022年6月発表)の制作に入り、自主企画やワンマンライヴもあって本当に怒涛でした。

空閑

ライヴ、レコーディング、ライヴ、ライヴの日々で、本当によくやったと思います。

限界まで挑戦した感じはあるよね。『するどいささくれ』をリリースした2週間後には、「心を照らせ!」(2022年7月配信リリース)の納期があったし。そんな過密スケジュールではありましたけど、自分たちはやればできるんだということが分かりました。ライヴにリリースに自主企画にと、本当いろんなことをやりましたし、初めてのことが多かった年でもあったし。タイアップの機会も2度もいただけたことで、自分自身も成長できたと思いますしね。

空閑

夏には『LOVE SUPREME JAZZ FESTIVAL JAPAN 2022』にも出演させてもらったしね。

そうそう! チョーキューメイとしては、初の大型フェス出演だったんですけど、楽しかったなぁ。ケータリングのご飯食べたりして、めちゃくちゃエンジョイした(笑)。

空閑

“あそこにあのアーティストさんいるらしいぜ!”とか言ってね(笑)。

あははは。そんな初体験もありましたし、今までに比べて急成長した一年でした。チョーキューメイを知ってもらえるきっかけになったと思います。

そういうアグレッシブな活動というのはチョーキューメイらしいとも思いました。

私は性格的にも考える前に動くところがあるので、そういう面が活動にもダイレクトに反映したのかもしれないですね。

最新EP『LOVEの飽和水蒸気量』には、そんな一年を総まとめする意味合いもあるのでしょうか?

夏にリリースした「心を照らせ!」や「溶けた魔法」「燃え尽きろ君の命」(2022年8月配信リリース)も収録されているので、下半期の総まとめといった感じですかね? 今作は自分たちがどこまでポップになれるかという部分をフィーチャーしつつ作っていきました。そのきっかけになった革命的な楽曲が「故のLOVE」です。

「故のLOVE」はドラムの入り方がめちゃくちゃ気持ち良いですよね。

空閑

リズムをひとつずらして裏に聴こえるように入るので、誰も入れないんですよ(笑)。歌が入ると気持ち悪くなるように作られているんです。

変に聴こえるけど、全員インするとやりたいことが明確になるっていう気持ち良さがあるよね。

藤井

みんながこの曲を好きすぎて、完成形にするまでにめちゃくちゃ時間かかりました。

チョーキューメイにとっての新境地とも成り得る楽曲だと思います。

私は『ラブライブ!』に登場するμ’Sの楽曲がすごく好きで、中学生の頃によく聴いていたんですけど、いつかそういうアニソンチックな可愛くてキャッチーな曲を作ってみたいと思っていたし、それをポップかつ、チョーキューメイらしく昇華させることができたのが、この「故のLOVE」だと思っていて。なので、“この曲を軸にした作品を作っていこう!”という気持ちでスタートしました。だからこそ作品のタイトルやジャケットも、この楽曲名から“LOVE”の部分を引っ張ってきてつけたんです。“LOVE”という言葉を使ったのも、この曲が初めてで。もともとは専門学校の卒業ライヴで友達が歌詞に取り入れているのを聴いて、“私も使いたい!”と思っていたのがきっかけなんですけど。それをどうしたら照れがなく、かつポップに歌えるかを考えて歌詞を書きました。今までは結構真面目な歌詞を書いてきたんですが、そういう意味でも振りきれた内容になっていると思います。

空閑

頭に“故の”とつけているからこその汎用性もあるもんね。今作はこの曲から時から始まって、テイストとしては軽めになっているけど、曲順どおりに進んでいくにつれて、どんどん重くなっていくのも僕ららしいなと。

れんぴ

そうそう。改めてみても、この曲順いいな。

歌詞のつながりもあるしね。「燃え尽きろ君の命」の次に、《燃え尽きないでよ流れ星》というフレーズがある「十三月の銀河」を持ってくるあたりとか。その中で、私なりの家族愛を歌った「ただいま」のような異彩を放つ楽曲が入ってくるのも、自分好みだなと思っています。

家族愛や自己愛など、さまざまな愛が歌われている作品ですものね。

そうですね。“飽和水蒸気量”と謳っていることもあり、いろいろな角度からの愛を歌っています。あとは、LOVEや音楽という、化学では証明できないものの解像度を上げていきたいという想いも込められています。

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