【KIRITO インタビュー】
表現者としての充実感は
今までで一番大きかった

KIRITO

2022年1月にAngeloの活動に終止符を打ち、ソロアーティストとして本格的な活動をスタートさせたKIRITO。最新作『NEOSPIRAL』は物語を思わせる構成や多彩かつ完成度の高い楽曲、表現力に富んだヴォーカルなどが相まって、非常に上質なアルバムに仕上がっている。そんな本格的なソロ活動の処女作となる同作について語ってもらった。

僕がやってきたことの本質を
物理的に証明する機会だと思った

『NEOSPIRAL』の制作に入る前は、どんなことを考えていましたか?

とにかく今の自分がやりたいことを、きっちりとかたちにしようと思っていました。音にせよ、世界観にせよ、今の自分が一番何をやりたいのかということにフォーカスして、そこに集中して作った感覚がありますね。自分がやりたいことをきっちりやるという意味では、これまでバンドでやってきたことも常にそうではあったんですよ。PIERROTの時もそうだったし、Angeloの時もそうだった。その上で今回はバンドも含めて、これまで僕がやってきたことの本質というか、それがどういうことだったのかを物理的に証明する機会だと思ったんです。僕はバンドに100パーセントを注ぎ込んでいるという言い方をずっとしてきていて、ファンの人たちもそれを信じてくれていると思うけど、それが実際どういうことなのかは、バンドではないかたちにならないと証明できないというのがあったから。

違うかたちで提示することで見えてくるものがあると?

そうです。Angeloが終わった時、“バンドのヴォーカルであるKIRITOさんが好きなんです”みたいな声が結構あったんですよ。そういう声に対して“今回の僕の作品を聴いてもらったり、この作品を持って回るツアーを観てもらったりした時に、同じことを言えますか?”というくらいの証明をしないといけないというのがありましたね。僕がやってきたことというのは、そんなに簡単なことではなかったんです。“バンドだからKIRITOだった”とか、“ソロのKIRITOはKIRITOではない”というような、そんな次元ではないところで音楽をやってきているので。

強い意志を持って制作に入られたんですね。『NEOSPIRAL』はダークな前半から希望を感じさせる後半へ移っていくというコンセプチャルな構成が印象的でした。

そういうアルバムにしようという構想はAngeloの最後のアルバム(2021年11月発表の『CIRCLE』)を作っている時からありました。今回みたいなアルバムというのは、きっとバンドだったらできなかったと思うんですよ。できるできないの判断や全ての決定権が自分自身にあったからこそ、このアルバムを作れたと思いますね。ストーリー性のある流れでいろいろな曲がありつつ、アルバムとして統一感があって、クオリティーの高いものが並んでいて、一切の妥協なしにやりきる…ちょっと誤解を生むかもしれないけど、バンドでは辿り着けない領域なんですよね。僕はソロで“バンドを含めて、自分自身が何やってきたかを証明する”と前もって言っていたけど、その言葉の本質というか、本当の意味というのはファンの人たちはまだ分からない部分かもしれない。今回のソロアルバムをきっちり作ることで、僕がずっとバンドに統一性を持たせるために強引なやり方をしてきたというのがどういうことなのかを分かってもらえると思うし、同時にAngeloで最後に出したアルバムから確実に全ての面においてレベルアップして、スケールアップして、先に進んでいるということを、自分ひとりの活動で見せないといけないというのがあるんです。そうすることで僕自身の本質を証明できるし、僕がやってきたバンドとはどういうものだったのかを理解してもらうことになるから。

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