【成宮雛 インタビュー】
青空と夜空、
対照的な2曲が揃った2ndシングル

成宮雛

自然の風景を想起する壮大な歌をピアノの弾き語りで聴かせるシンガーソングライター・成宮雛。2020年7月にデビューし、21年6月には1stシングル「青に触れて」を発表した彼女が、今年7月に2ndシングル「快晴」をリリース。自身の世界観をより深化させた渾身の2曲について訊いた。

身近にある環境から
自然に生まれた世界観

成宮さんの壮大な楽曲群は“今まで聴いたことがない”というインパクトがあって、新鮮な感動を覚えました。まずは成宮さんが音楽を始めたルーツをおうかがいしたいです。

小学校3年生の時にピアノを始めて、中学生では吹奏楽部に入ったのでピアノから離れていたんですけど、高校で軽音楽部に入りまた鍵盤を弾き始めました。歌は小さい頃から好きだったので、よくおもちゃのマイクを持って歌っていましたね(笑)。それと、両親が吹奏楽団に入っていたので、生まれた時からオーケストラの楽器の音が常に自分の近くにあり、私にとって音楽は欠かせないものという感覚があります。

音楽がご自身の身近にある中で、成宮さんは特にどんな音楽が好きだったんですか?

音楽好きの父の影響で、一青窈さんや鬼束ちひろさんの曲を聴いていました。それと、映画音楽やアニメの音楽もすごく好きなので、よく好きな作品のサウンドトラックを買って聴き込みましたね。リスナーの方が私の曲を聴いて“映画を観ているみたい”と言ってくれることもあるので、自分が作る音楽の壮大さとか奥行きはそういうところから影響されているのかなと思います。バンドの音楽を聴き始めたのは高校に入ってからで、同世代の音楽好きにも影響されて、自分も聴いたことのない昔のロックを掘り下げて聴いたりしましたし、音楽の楽しみ方の幅も広がりました。

ちなみに音楽以外で影響を受けたものはありますか?

アニメやゲームとか、2次元がすごく好きでした。ゲームだったら『キングダム ハーツ』と『ファイナルファンタジー』シリーズとか。小説も好きですね。家に本がたくさんあったのでそれを読んだり、図書館にもよく行っていました。

そういった影響を受けながら、ご自身で曲を作ろうと思ったきっかけは?

最初は曲を作ろうとは思っていなかったんです。ただ、漠然と“歌を仕事にできたら楽しいんだろうな”とは思っていました。高校3年の時に奥 華子さんの「楔(くさび)」という曲を聴いて、歌詞の言い回しがすごいと思ったんです。“こんな伝え方があるんだ!?”と自分の中に刺さって。それから私も自分だけの表現ができるような歌を作りたいという欲求が湧いてきたんです。

初めて楽曲を作ってみた時はいかがでしたか?

高校を卒業して音楽系の専門学校に2年間通い、ピアノと向き合いながら作っていきました。歌詞とメロディーを同時に作ることが多いですね。

成宮さんの歌詞には自然を感じさせるワードが多いのが印象的ですが、オリジナル曲を作るようになって、どのようにその世界観が作られていったのかが気になります。

神奈川出身なのですが、海が好きなので江ノ島に行ったり、よく家の近くの自然公園で川魚や鳥をぼーっと見ていたりしていました(笑)。音楽活動を始めた当初は、自分に世界観があるなんて全然分からなくて。ライヴ活動をしてくうちに周りの人からそう言われて気づいた部分が大きいです。

曲のインスピレーションはどのように得るのでしょうか?

最初に“この曲は夜なのか、昼なのか”というところから組み立てていって、頭の中で一枚の絵を想像するんです。例えば、今回のカップリングの「上弦の月」は大地に咲いている花が見上げている空を描いているんですが、空に星がどれだけあって、どういう場所なのか…とか、頭の中で絵を見立てて曲を作っていくので、その時に自然に関するワードが浮かんでくるんですよね。

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