【藍色アポロ インタビュー】
真新しい藍色アポロに挑戦し、
表現していく
L→R みゃん(Gu)、ナガイレン(Vo&Gu)、すず木ひろ史(Ba)
活動をスタートさせてから3年目に突入した藍色アポロの1stアルバム『クロマチック』が、5月11日にリリースとなった。チャレンジ精神の賜物である今作や、そこに至るまでの心境の変化について、ナガイレン(Vo&Gu)とみゃん(Gu)のふたりに話を訊いた。
“挑戦”をテーマにして
自分たちの新しい扉を開く
前回インタビューさせていただいた1st EP『312g』(2021年8月発表)から8カ月ほど経っていますが、その後はいかがでしたか?
ナガイ
『312g』の東名阪ツアーをしたり、その間に曲作りをしたり、盛りだくさんでした。本来は3公演の予定だったツアーに東京公演が増えて4公演になりましたし、忙しくはありましたけど、しんどかったという印象はないですね。
みゃん
その後の『クロマチック』の曲作りにおいては、8曲という今までにない曲数だったので結構大変でした。でも、ナガイが作ってくる曲がデモの段階からめちゃくちゃ良かったので、嬉しい悲鳴を上げていましたね。ワクワクしたのと同時に、自分のスキルアップもしていかなきゃなという嬉しい焦りもありました。
デモを聴いた時、今までとは違った感覚を抱きました?
みゃん
違いました! “藍色アポロって、こういう感じになっていくのか!”という当事者としての驚きと、今までの路線とは逸脱しているがゆえの新鮮さを強く感じましたね。
ナガイ
『クロマチック』は作品自体のテーマとは別に、自分の中で“挑戦”をテーマとして掲げていたんです。なので、どの曲でも“自分たちはどこまで表現できるのか?”と考えながら突き詰めていきました。例えば「Tobaku-Beat」は4つ打ちのダンスビートなんですけど、『スプラトゥーン』というゲームのBGMからインスピレーションを受けて作ったんです。そんなふうに今まで取り入れてこなかったジャンルの音楽を吸収し、自分たちらしさを融合させながら新しい音楽として生み出していきました。
活動3年目を迎えて、“藍色アポロらしさ”が構築されてきた実感はありますか?
ナガイ
僕らってライヴを観てくれたお客さんから“楽しい”と言われることが多いんですよ。そこで、自分たちはカッコ良いと思って音楽を作っているけど、客観的な意見としては少し違うんだという気づきがあって。声を出せなかったり、距離を取らなくてはいけない今のライヴスタイルの中でも、お客さんが楽しさを感じてもらうことができたら嬉しいですし、そういう部分が藍色アポロらしさになっているんじゃないかと思っています。
みゃん
『クロマチック』が完成したことによって、僕の中での藍色アポロらしさの定義が、いい意味で曖昧になったんです。それに加えて、年末の大型フェスに出演したり、アニメのタイアップを経験したりと、いろいろな経験を積み重ねていく中で、ワンランクアップした世界が見えてきている実感があります。ここからまた新しい藍色アポロらしさを作り出していけるんだろうというワクワク感がありますね。
『クロマチック』は藍色アポロにとって、まさにターニングポイントとなる作品なんですね。どういったテーマをもとに制作されたんですか?
ナガイ
日常の僅かなすれ違いや駆け引きとか、どっちつかずな関係をテーマにしています。“クロマチック”という言葉も“僅かな”という意味合いの音楽用語なので、ぴったりだと思ってタイトルにしました。
ナガイさんは前回のインタビューで“実体験をもとにした歌詞は書かない”とおっしゃっていましたが、今回もそのスタンスは変わらず?
ナガイ
そうですね。今回も自分の私生活で気になったテーマを歌詞にしたわけではなく、曲ごとに主人公を立てて“その人がどう思うか?”を想像しながら書きました。僕自身が恥ずかしがり屋というか、自分の経験や思っていることを曝け出すのが苦手ということもあって、主人公に責任転嫁しているという節はありますね。
みゃん
今までと変わらない点で言えば、ナガイ以外のメンバーそれぞれが歌詞の意味を自分なりの解釈をするという作業があったところですね。このフローは藍色アポロらしさと言えるかもしれないです。逆に今までと違うのは、今作の歌詞はアダルティックなものが多い印象でした。
ナガイ
そうだね。恋愛だったり、ちょっとしたエロさだったり、今までにはない描写にチャレンジしました。それを直接的に表現するのではなく、“どれだけコミカルかつ遠回しに描けるか?”というバランスの取り方や言葉選びに苦戦しましたね。聴いた人の解釈に委ねるためにも、あえてナガイレンという人間からは出てこないような言い回しにしていったので、そこの選択は難しかったです。
あと、全曲を通してギターソロの数や音色の豊富さが目立っていると思います。それは楽曲ごとに描かれているシーンやテンション感の違いを表現する上で、かなり重要な役割を担っているように感じました。
みゃん
ありがとうございます! そのとおりで、歌詞の世界観が今までと違って挑戦的だったからこそ、ギターのフレーズや音作りにはかなりこだわりました。例えば「一時休戦!!!」はコミカルかつスリリングにしたし、「Tobaku-Beat」は夜の街の危うい雰囲気をイメージしながら作りました。
ナガイ
ギターフレーズに関しては前作まではみゃんにほぼ一任していたんですけど、今回はシンセみたいな音を出してほしいとか、ソロのフレーズを打ち込みで渡したりとか、かなり細かい指定をしたんです。
みゃん
夜にふたりで電話しながら、打ち込みデータを送り合って詰めていったんだよね。だから、ナガイとふたりで作り上げていった感覚が強いです。「一時休戦!!!」のイントロもナガイが考えたフレーズをベースに作りましたし、そういったところも挑戦的でしたね。
ナガイ
今まで使ってこなかったフレーズも、ふたりで案を出し合ったおかげで組み込めたところも多かったので有効的に挑戦できました。
ひとりで考えたほうが自由度の高いものが出来上がるとは思いますが、逆にふたりで作っていったからこそ、相乗効果も相まって幅がグッと広がっていったと。
ナガイ
そうですね。僕たちはバンドをやり始めてからそんなに月日も経っていないので、そもそも自分は何ができて、何を知っていて、何を知らないのかも分かっていない状態なんです。だから、いろんな情報をどんどん吸収していきたいですし、それができたら取捨選択ができると思うんですよ。今回はふたりで考えたからこそ、お互いの良さの中間点を突けたと思っていますし、時間はかかるけど、これからもしっかりと話し合って進んでいきたいです。
みゃん
うん。うまく補い合っていけたらいいよね。
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