ジェリー・ハーマンの生涯と『ラ・カ
ージュ・オ・フォール』~「ザ・ブロ
ードウェイ・ストーリー」番外編
番外編 ジェリー・ハーマンの生涯と『ラ・カージュ・オ・フォール』
■大衆に愛される音楽を
14歳の時に、ブロードウェイで『アニーよ銃をとれ』(1946年)を観劇し、帰宅するとすぐに〈ショウほど素敵な商売はない〉などの劇中曲をピアノで弾きこなしたハーマン。やがて彼は、この作品の作詞作曲家アーヴィング・バーリンに憧れソングライターを志し、見事にスタイルを継承した(本連載VOL.4&5も参照)。つまり平易で憶えやすく、大衆の心に訴えかける楽曲創りに心を砕きブロードウェイを制覇したのだ。
ところが『ドーリー!』と『メイム』で好評を得た後、『ディア・ワールド』(1969年)、『マック&メイベル』(1974年)、『グランド・ツアー』(1979年)の3作が、批評と興行成績共に不振。ハーマンはスランプに陥る。知的な楽曲でミュージカルの新たな可能性を提示した、スティーヴン・ソンドハイムの『カンパニー』(1970年)や、全編歌で綴るアンドリュー・ロイド=ウェバーのロック・オペラ『ジーザス・クライスト=スーパースター』(1971年)などの登場で、音楽に対する観客の嗜好が変化した現実を認めざるを得なかった。
■運命の作品『ラ・カージュ』
「Mr.レディMr.マダム」(1978年)、アメリカ公開時のポスター
■ハーマン流作詞作曲術
ハーマンが素晴らしいのは、時代や流行に迎合せず、「劇場からの帰り道に、誰もが気軽に口ずさめる曲を創る」という基本姿勢が一切ブレなかった事だろう。詞と曲の両方を手掛ける彼が、作業工程を説明してくれた。
詞と曲の関係が密接で、パフォーマーには「一度憶えたら決して忘れない」と好評なのもここに起因する。またハーマンは、脚本のセリフから楽曲の案を得る機会も多いと言う。『ラ・カージュ』では、〈ありのままの私〉がこのケース。女装の母親では、息子の婚約者の両親には紹介出来ぬとジョルジュに告げられ傷付いたアルバンが、「憐れみもお世辞も必要ない。私は、自分の世界で誇りを持って生きる!」と宣言する感動的なナンバーだ。
■歌に込められたメッセージ
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