リーガルリリーが通じ合うPeople In
The Box、崎山蒼志と作り上げたイベ
ント『cell,core』の充実
2021.12.10 立川ステージガーデン
People In The Box
圧巻のアンサンブルに大きな拍手が送られる中、波多野が「すごく楽しみにしてきました」と挨拶。暗黒からパッとサビで光が指すような「聖者たち」、山口大吾(Dr)が刻むヒップホップ的なキック&スネアと波多野の架空のフォークロア的なメロディラインが特徴的な「ニムロッド」、山口の鼓動のような二連のキックが印象的な「懐胎した犬のブルース」。1曲ごとに物語に没入させる精緻な演奏を聴かせる。演奏の緊張感からギャップを生む山口の素っ頓狂とも言える(ファンにはお馴染みだが)MCと煽りを経て、ここまでもかなり攻めたセットリストだったが、最終兵器めいた怒涛のリズムチェンジやせめぎ合いが立体的に展開する「旧市街」をラストに演奏。変な喩えだが銃撃戦を疑似体験したようにあっけにとられているうちに3人はステージを後にしていた。
People In The Box
リーガルリリー
最初のMCでたかはしは「どうやら私とゆきやまは立川の病院で生まれ落ちたようなんですが、この場所にたくさんの人がよく来てくれたなって楽しくなっちゃって」と、喜びを溢れさせる。フロア全体が温かな空気になったところで新曲「アルケミラ」を披露。ハチロクの大きなグルーヴを生み出すゆきやまの深化したタイム感、轟音から静寂への転換、さらにはたかはしの高音の伸びやかさにも目をみはる。海がつけるサビのコーラスもホーリーで美しい。この1曲を体験したあと、なんだかSF映画を観終わったような心地になったところで、名曲「蛍狩り」へ。粒だったアルペジオがこの日はPeople In The Boxを迎えた対バンなせいか、連綿と続く先人へのリスペクトに感じられたりもした。物語性の高い歌詞もそう思えた理由かもしれない。たかはしの〈輝きを放て。〉の繰り返しはこれまで観たどのライブより力強く聴こえた。さらにたかはしのソロの歌い出しから始まる静謐な「高速道路」の丁寧なアンサンブルが浮かび上がらせる、今はなきもの、正確には目には見えない歴史。魂がのぼっていくようなフィードバックノイズの残響に身を任せていると、いまいるこの土地の足元に思いが及ぶ。崎山がニューアルバムの中の言葉“タイムケース“について説明していたことを思い出した。アプローチはそれぞれだが、彼らのインスピレーションはどこかリンクしているのだろう。
文=石角友香 撮影=MASANORI FUJIKAWA
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