【THE ALFEE インタビュー】
経験値を活かしたものが
今後の未来につながっていく

L→R 桜井 賢(Vo&Ba)、坂崎幸之助(AG&Par)、高見沢俊彦(EG)

ニューシングル「The 2nd Life -第二の選択-」は通算70枚目の節目に相応しく、“どこを切ってもTHE ALFEE”と言っていいサウンドである。さらに歌詞にはコロナ禍に立ち向かうアグレッシブさも兼ね備えた、ベテランならではの奥深さを感じざるを得ない渾身のナンバーと言っていいだろう。そんな同作について3人に思いの丈を語ってもらった。

ミュージシャンとしての希望は
新曲ではないかという結論に達した

「The 2nd Life -第二の選択-」は通算70枚目のシングルとなりましたが、節目というのは意識されましたか?

高見沢

まぁ、69枚目(2020年12月発表の「Joker -眠らない街-」)を出した時に“あっ、次は70枚目だ”と思ったのは確かですよね(笑)。“次はいつかな? 来年かな?”みたいなことは思っていました。ただね、コロナ禍になってツアーができないじゃないですか? 有観客ではずーっとやっていないんですよ。昨年の春と秋、今年の春とツアーを飛ばしていますから。この一年間で3枚のシングルを出すということは、最近ではかなり稀なことで、そういう意味ではコロナ禍によって制作意欲がすごく増しましたね。これはいつも話していることなんだけど、こういう緊急事態の時ってニュースが暗いでしょ? ニュースを観ていると落ち込むじゃないですか。それはなぜかと言うと、ニュースには希望がないから。事実関係だけなんでね。で、ミュージシャンとしての希望は新曲ではないかという結論に達して、“じゃあ、新曲を出そう!”と。そういうことに特化したので、この一年間で3枚もシングルを出すということになったわけです。それがちょうど68枚(2020年9月発表の「友よ人生を語る前に」)、69枚、70枚ということで…まぁ、今回は“The 2nd Life -第二の選択-”というタイトルがついていますけど、シングルが僕らより先に古希を迎えたと(笑)。これはめでたいことなので、みなさんがご祝儀代わりに一枚多く買っていただければと(笑)。

なるほど(笑)。私、「The 2nd Life -第二の選択-」を拝聴しまして、勝手にこれは通算70枚目の節目に相応しい楽曲だと感じたんです。イントロからAメロ辺りだけで十分にTHE ALFEEらしい。ハードロック的サウンドに始まり、壮大な印象のシンセからプログレ的に展開したと思ったら、アコギのストロークが聴こえてきて、桜井さんのきれいな歌声から3人でのハーモニー…これはまさにTHE ALFEEですよ!

高見沢

そうそう(笑)。全てそこに集約されていますね。

“THE ALFEEダイジェスト”と言ってもいいくらいではないかと。

高見沢

“THE ALFEEヒストリー”ですね(笑)。そこは意識しました。やっぱりハードな部分、アコギ、桜井の歌、そしてコーラス。その全部がはっきりと際立つものを作りたいとずっと思っていましたね。

「The 2nd Life -第二の選択-」を最初に受け取った時、坂崎さんの印象はどうでしたか?

坂崎

まずタイトルが…ご隠居さんみたいだなと(笑)。

高見沢

リタイアっていう?(笑)

坂崎

そう(笑)。リタイアしたあとに“さぁ、釣りでもすんべぇか”とか“畑仕事でもやって〜”みたいな、のんびりとしたイメージを最初は持ったんですけど、全然違っていました(笑)。このコロナ禍が明けてからの“次の生き方を考えなくちゃな”みたいな前向きな歌になっていると思うし、高見沢らしい歌詞だと思いましたね。メロディーはハーモニーもそうですけど、もうTHE ALFEEのものですし。で、高見沢からは“高いギターを持って来てくれ”という注文があり…いつもそうなんですよ。

高見沢

値段の高いギターね(笑)。

坂崎

なので、Martin D-45を使っています。まぁ、最近はずっとそうなんですけどね。で、頭の4小節はDチューニングに変えて、“これこれ、こんな感じだな”ってイメージはビッと来て。

あそこのパキッとしたアコギの音はすごくきれいですよね。

坂崎

ですよね。あそこで世界が変わる感じがする。

高見沢

全部がTHE ALFEEの世界になれば面白いからね。全ての技を見せるという(笑)。

坂崎

出し惜しみなし!

私、THE ALFEEの全楽曲を聴いているわけではないですから、はっきり言って“THE ALFEE弱者”だと思います。そんな弱者の私ですら、イントロからTHE ALFEEであることが分かりますから。桜井さんにもおうかがいしますが、「The 2nd Life -第二の選択-」の第一印象はいかがでしたか?

桜井

歌詞がシンプルなのにものすごく納得できる…時代にピタッと来ている感じだと思いましたね。非常に歌いやすいところはあります。

歌いやすいですか?

桜井

はい。変な感情を入れなくていいというか。この年齢になって恥ずかしくなく歌える世界だし、ましてコロナ禍でみんな悶々としているところに対して、すごく分かりやすくて背中を押してもらえるような曲じゃないかと思うし。

高見沢さんに改めておうかがいします。この暗い世相の中で、やはり“次のステップはどうしたらいいのか?”というところに対する想いが強かったわけですか?

高見沢

そうですね。“アフターコロナ”を見据えている部分もあります。“このまま続くわけはない”と自分も思っていますから、いずれツアーもできるだろうし、そういうことを視野に入れながら、今と先のことを併せ持ったメッセージソングにしたいと思っていました。…これもよく話していることなんですけど、今ってあり得ないことが起きているわけじゃないですか。僕らも自粛してツアーを止めてましたけど、初めてバンドが再結成する気持ちがよく分かりましたよ。一度解散してもやりたくなるよね、きっと。

THE ALFEEの場合、結成以来これほどまでにライブをしない期間が空いたこともなかったでしょうから。

高見沢

なかったよね。ツアーができないから曲を作らないといけないし、自分たちの持ち味があるものを何か探さないといけない。そう思った時に、歌以外で何ができるのかと考えた時、ふと“3人共しゃべれるバンドは珍しい”と言われたのを思い出して、それならそういう配信番組をやってみようと。もしかしたら僕らのセカンドライフはトリオ漫才をやることかもしれない(笑)。

坂崎

『M-1』を目指す? よし、分かった!(笑)

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