【juJoe インタビュー】
制限されるからこそ、
自由でいられる
L→R 菅 秀昭(Ba)、佐藤祐介(Dr)、平井拓郎(Vo&Gu)
3ピースバンド・juJoeが3月17日に1stフルアルバム『誰かに聴いてもらいたいと思った』をリリースした。元QOOLANDの平井拓郎(Vo&Gu)と菅 秀昭(Ba)が、Rubber Johnnyの佐藤祐介(Dr)を迎えて結成したバンドだが、なぜ再び新しいバンドで音楽を鳴らそうと思ったのか? そこから紐解く今の彼らのバンドへの想いは、とてもアツく、豊かなものだった。
選択肢が少ないほうが
バンドは自由だ
まず、QOOLANDが解散し、音楽自体から離れたいという気持ちはなかったんですか?
菅
俺は続けようと思っていましたね。QOOLANDが終わってからの期間はいろんなバンドのサポートをしたり、友達のライヴを手伝いながらベースを弾いていたんですけど、なんかつまんねぇなとは思ってました。8年くらい同じバンドで弾いていたわけですし、その頃はちょっとうつっぽくもなっていたかもしれなかったです。
平井
僕はもう二度とやらないと思っていました。その頃に、持っていたエレキギターは全部処分しちゃいましたし。解散後は燃え尽き症候群のようになっていたし、記憶喪失のような症状に苛まれたり、アル中になったりで病院に通っていました。でも、そこで医者に“もう一回、音楽をやってみろよ”と言われて、また始めてみたという感じです。
主治医の勧めで再び音楽を鳴らすようになったそうですが、その時に過去のつらさがフラッシュバックしたり、嫌だと思ったりすることはなかったんですか?
平井
音楽を取り巻く環境への不安や不安定な人生への危機感はありましたが、音楽自体を恐れたり、嫌いにはなったりしたことはないです。それでもまた音楽をやるようになったのは、その時の先生の言い方が“何でもいいからやりなさい”だったのが良かったのかもしれないですね。だから、最初は10-FEETのコピバンをやりました。結局、ギターが難しすぎてやめたんですけど(笑)。でも、そこで“人の曲より、自分が作った曲のほうがやりやすい”と思って、再び曲を作るようになったんです。なので、自発的に作るようになったというよりは、QOOLAND活動時と同じ、自分で作詞作曲する/歌うの構図に自然に戻っていったという感じですかね。そこから“レコーディングしたい”“ライヴしたい”という意識に進んでいったので、最初からオーバーグラウンドを目指す意識で始めていたら、ここまでやれていなかったと思います。
そこで、菅さんと佐藤さんを誘ったのはどうしてだったでんすか?
佐藤
僕がたまたまQOOLANDの解散ライヴに行って、その時に“あの人たち、これから何もやることがないんだったら一緒にやってくれないかな?”と思って、かなり軽い気持ちで声をかけたんですよ。
平井
そうそう。それで当時は“じゃあ、やるか!”という話にもなっていたんですけど、僕がおかしくなったりといろんな事情が重なって白紙になったんです。そのあと、さっき話した経緯で音楽を作るようになって、「一緒にやりたい」と言ってくれる人とスタジオに入ったりもしてみたんですけど、なんか駄目でしたね。リハビリで始めたはずなのに、クオリティーが低い、熱もない人とはセッションしていることに耐えられませんでした。それでふたりに声をかけてこのメンバーになりました。
菅
拓郎に誘ってもらえた時は嬉しかったですね。そのあとに「馬鹿」「灰」の順で曲を送ってもらったんですけど、「灰」を聴いた時に“やっぱり男らしくてえぇな!”と思いました。
平井
そこから1、2週間の間に6、7曲を一気に書き上げました。僕は曲を作るのは早いほうだと思うんですけど、あれはもう一回やれと言われてもできないですね。
4人組バンドとして長年やってきた中で、3ピースバンドになったのはなぜですか?
平井
制限した音楽をやりたいと思ったんですよね。メジャーデビューをして、いろんな人たちと音楽を作り上げるとなると、バランスが重視されてしまうんですよ。アルバムの曲順にしても、曲の尺にしても、すごくニュートラルに作るようになってしまうというか。極端な話、全部一緒に聴こえるような音楽がやりたかったんですよね。RAMONESみたいな。
菅
俺は自分のバンドで3ピースは初めてだったので、ベースをプレイする上での意識はかなり変わりましたね。ギターが一本ないことで自由度も変わるので、UNISON SQUARE GARDENをめっちゃ聴きました(笑)。でも、うちは拓郎がほとんどギターを弾かないので、どうやったら自分も楽しんだ上でメロディーが面白くなるかっていうのを考えてます。ぶっちゃけ、QOOLANDの時よりもベースのことを考えてますね。当時はレコーディングまで大まかにしか把握していないことがよくあったので。
佐藤
バンドとしてできること、できないことを考えた時に、3人と4人だと答えが全く変わってくると思うんです。4人だとメインのパッケージが“音楽”になると思うんですけど、3人だとどう頑張っても4人以上のものにはなれないので、“自分ができることを理解した上で、やれることをとにかくやる”という考え方になるんですよね。全員がそれをやっても音楽が崩壊しない人数の限界が3人だと思っているんですけど、このふたりはその意識が最初からあったのですごいと思っていました。
平井
でも、積極的に選択肢と選択の機会を減らしている気がします。ギターの音で言えば、juJoeはクリーンの音が一切無くてずっと歪んでいるんですけど、そういうバンドってなかなかないと思うんです。でも、今の僕には“クリーンを入れる”という選択肢がそもそもないので、選ぶのが簡単なんですよね。だから、今はjuJoeで音楽的に新しいもの、実験的なものを開発していくという姿勢はありません。生まれる気配すらないです。それよりもバンドというフォーマットを体感しながら、伝えたいことを伝えたいという意識が強いです。
選択肢を狭くすることでの窮屈さは感じていないんですか?
平井
まったくないですね。むしろ、選択肢が少ないほうが自由だと思っています。でも、さまざまな選択肢があったQOOLANDでの経験も重要なファクターだと思っていますし、なくてはならないものになっています。今作の特典でQOOLANDの曲を歌ったCDをつけていますし。
菅
うん。切り離す必要もないですしね。
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万人共通の主題だからこそ響く年代は関係ない編集部おすすめ インタビュー
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