【吉田山田 インタビュー】
今回のベストアルバムを出すことが、
すごく新鮮に思える

L→R 吉田結威(Gu&Vo)、山田義孝(Vo)

昨年11月に中野サンプラザホールにて開催した『大感謝祭』で、デビュー10周年を締め括った吉田山田がリリースする初のベストアルバム『吉田山田大百科』。10年の軌跡であり、11年目への架け橋となる本作について訊きつつ、ふたりの今の心境も語ってもらった。

デビュー10周年に向けて『変身』『欲望』『証命』という三部作となるアルバムを作るなどしてきましたが、デビュー10周年を終えた今の気持ちはいかがですか?

吉田

10周年を迎えて燃え尽きようと思ってたんですよ。今までもアルバムを作って、そのアルバムを携えてツアーを回って、そこで燃え尽きようと毎回思ってはいたんですけど、ツアーが終わる頃には、次の作品への制作意欲だったり、自分たちの未来像が思い浮かんでいたんですね。それはすごく良いことだし、それで歩みを止めずに10年間やってきたことは誇りに思ってるんですけど、立ち止まって、ひとりの人間として自分の人生について考えるにはいいタイミングだと思ってて。それぐらいの気持ちで本当に燃え尽きないと10周年という区切りは迎えられない。だから、そのためにも三部作となるアルバムを作り終えて、自身最大規模となる中野サンプラザのライヴで全部出し切るということを目標に、ここ3年くらい集中してやってきたので、さすがに燃え尽きましたね。気持ち的には吉田山田の第一章が終わったみたいな。だから、今回のベストアルバムを出すことが、すごく新鮮に思えるんですよ。今までの流れの中で出すんじゃなくて、1回締め括ったあと、新たな気持ちで出す作品という意識になれているので、次のライヴが自分的にはすごく楽しみですね。

山田

僕も中野サンプラザを目標にやっていたので、それが終わったあとは…まぁ、真っ白まではいかないまでも、ホワ〜とした状態になってましたね。で、“次に何をやりたい?”とかは考えないで、とにかく出てくるものをかたちにしようと思って、今は曲作りばかりしてます。そこから“この先”が見えてくるんじゃないかと思ってるので、沸き出てくるものをかたちにしている最中です。

ということは、ちゃんと10周年を迎えれたと? 『変身』のインタビューの時には“今の自分の人間性だったら全然ダメだなって思うし、10周年を迎えても満足できない”と言っていたわけですが。

吉田

そうですね。あの10周年を象徴する中野サンプラザが、自分の人生の中で一番いいライヴだったと思えるんですよ。だからでしょうね。足りない部分も含めて、吉田山田としてひとつのものが完成したと思えたので。

なるほど。ちなみに、あの中野サンプラザのステージから見た光景はどんなものでしたか?

吉田

もちろん中野サンプラザのライヴの日に特別な用事があって来れなかった人もいるんだけど、あのステージから見えた光景が僕らの10年間だと感じましたね。僕らが命を張って10年間やってきたことの全てだったので、感無量というか…やっぱり10年ってそれなりの時間なので、ちゃんと“10年間生きてきました!”って胸を張って言えるっていうか、この10年間を認めてもらえた気がして、すごく感動しました。

山田

ライヴって終わったあとにいろいろ反省することがあるんですけど、中野サンプラザに関してはそれがなくて。“どう転んだって自分たちだ”っていう想いが、あの日は特に強かったんですよね。

《どれだけアナタに 助けられてきただろう》と始まる「約束のマーチ」で本編を終えて、デビュー曲の「ガムシャランナー」がオーラスというのもドラマを感じましたよ。まさに“大感謝祭”だなと。

吉田

一時期は感謝することを控えていたというか…もちろん周りへの感謝はしているんですけど、感謝だけで終わってはいけないと思っていて、それが三部作に濃厚に出ていると思うんですよ。でも、気持ち良く“大感謝祭”と言えるようになったなって。“やっぱり感謝だな”と言える。それが3年間、ちゃんと自己を見つめてきた結果だと思いましたね。

山田

オープニングムービーが流れたじゃないですか。僕、その映像を事前に観てなかったんですよ。だから、あれを観た時にいろんな感情があふれ出たというか。もう涙で歌えなくなるかもって思ったんですけど、それがいい方向に心が開いて、感謝の気持ちでいっぱいになりましたね。だから、完全に心を開いて、すごくいいスタートができたと思ってます。

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