【キノコホテル インタビュー】
これがキノコの新境地!
創業12年目の野心作が完成
L→R ファビエンヌ猪苗代(ドラムス)、イザベル=ケメ鴨川(電気ギター)、ジュリエッタ霧島(電気ベース)、マリアンヌ東雲(歌と電気オルガン)
創業10周年を超え、これまでの活動や作品性の集大成を完成させた支配人=マリアンヌ東雲(歌と電気オルガン)が目指したのは“踊れるキノコホテル”。とはいえ、そこはひと筋縄ではいかないのが彼女たち。SMAPやAKB48などの仕事で知られる島崎貴光を共同プロデューサーに迎え、ポップもロックもより磨き上げた。果たして支配人の意図とは?
島崎さんの知恵をお借りし、
キノコホテル“らしさ”が浮き彫りに
今回の新境地にはかなり驚きました。
ですよね。そもそも何か綿密な構想があったわけではないのですけど、創業10周年を経て一発目の作品になるので、どう転ぼうかというのは考えましたね。“お決まりのキノコホテルっぽさ”で片付けられるものにはしたくなくて。やはりびっくりさせたいという意図はありました。
島崎貴光さんはJ-POPやアイドルのお仕事で知られる方ですが、支配人とはどういうつながりが?
もともと共通の友人がいまして。島崎さんはすでに音楽の世界でプロとしてお仕事をしていて、私はまだキノコホテルはもちろん、音楽を始めることすら考えていなかった頃のことです。ほんとに顔見知り程度だったんですけど、お互い何となく人となりは分かっていて。しばらくお会いする機会がなかったんですが、数年前に偶然再会した時に彼がキノコホテルの存在を知っていて、興味を持ってくれていたんですね。2017年の赤坂BLITZの公演にお誘いしたのをきっかけに、いろいろと相談に乗ってもらう機会が増えました。
“踊れるキノコホテル”というのを想像しながら聴いたところ、ゴージャスさと80年代以前の歌謡曲がまとっていたようなヤバさを感じて。ダンサブルと言ってもキノコホテルは参照するところが違うなぁと思いました。
そうですね。そもそも島崎さんが言うところのダンスミュージックというのは、もっとアップデートされた現代的なアプローチを指していたみたいなんですけど、結局キノコホテルがやるとこうなるっていうのを良い意味で示せたかなと。島崎さんのノウハウや知恵をお借りしながらも、“キノコホテルらしさ”が逆に浮き彫りになったとでも言いましょうか。そこが面白いところだと思うんですね、この作品の。
より歌が聴こえるアレンジではありますね。
島崎さんはアイドルや声優さんの楽曲を多く手掛けているから、歌の処理やミックスなどの持って行き方にとても気を使ってくれました。今までは全て自分でディレクションしなくてはならなかった部分を、今回はお任せできて良かったです。
リード曲の「ヌード」、この曲のストリングスがエレガントな感じで。サビで下がる転調もミソですね。
このあえて下がる感じは、ちょっと自分の中でのブームみたいで。とある曲をバンドでカバーすることになった時に覚えて、味を占めたというか(笑)。ストリングスに関しては、まぁ結局エレガントなものが似合うんですね、自分には(笑)。ストリングスやブラスはもともと頭の中では鳴ってるんですけれども、キノコホテルのサウンドにはあえて取り入れたくなかったので、そこにちょっとこだわりすぎていた部分があって。それによって曲の魅力を存分に開花させてあげられていないのではないかという想いもあったんですよ。“この子、もっと美人なはずなのに”なんて具合に(笑)。そんな心残りがあるような状況もなきにしもあらずだったので、今回はその辺の気持ちとも向き合って、ひとまずステージでどうするかというのは置いておいて、曲の魅力を最大限に発揮させてあげたいという気持ちはありましたね。
「愛の泡」はストリングスに加えてブラスも入ってて、世代的には『夜ヒット(夜のヒットスタジオ)』感があって。
(笑)。これはあんまりお話したことがない話なんですけど、もともとはクレイジーケンバンドとか大西ユカリと新世界みたいな、ああいうブラス隊がいるコテコテで派手な大所帯バンドを組みたかったんです。オルガンもちゃんと上手な方が弾いてくれて、自分は歌って踊るだけ。今思うと、大人数を束ねてバンドを動かしていくだなんて、自分にはとても無理ですけど(笑)。なので、この「愛の泡」に関しては、自分がキノコホテルを立ち上げる前に追い求めていた世界観が垣間見える気がして。10何年経ってやっとここに辿り着けたという、そういう意味では感慨深い曲でもあるんですよ。
キノコ・グランドホテルぐらいの感じですね(笑)。
そうですね。デラックス感があると思います。いつかそんなテーマでツアーを回ってみたいものです。
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“10年続いて良かったね”で 終わるつもりはないアーティスト
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