L→R ファビエンヌ猪苗代(ドラムス)、イザベル=ケメ鴨川(電気ギター)、ジュリエッタ霧島(電気ベース)、マリアンヌ東雲(歌と電気オルガン)

L→R ファビエンヌ猪苗代(ドラムス)、イザベル=ケメ鴨川(電気ギター)、ジュリエッタ霧島(電気ベース)、マリアンヌ東雲(歌と電気オルガン)

【キノコホテル インタビュー】
これがキノコの新境地!
創業12年目の野心作が完成

“10年続いて良かったね”で
終わるつもりはない

1曲目の「天窓」はいわゆるディスコファンク調ではないところがキノコホテルらしくて。フレンチポップというか、ヨーロッパ的なナンバーですね。

ちょっとフレンチの要素がありながら、往年のブリティッシュ感も出しつつっていう。冒頭のチェンバロのフレーズが個人的に好きなんですよね。この曲はそもそもトップに持ってくるつもりはなかったんですけど、他のところに入れようとしても、ちょっとしっくりこないというか、全体の流れに大きく影響してしまう気がしたので、思い切って1曲目に持ってきて。で、2曲目の「ヌード」が間髪入れずに続くっていう流れが面白いのではないかと思っておりまして。全曲ディスコミュージックで構成するなら「ヌード」が冒頭でしっくりくるんですけども、そこまで単純明快でないのがまたキノコホテルでもありますので。そういう意味で案外導入に相応しい楽曲なのかもしれません。

いろんな国とか、いろんな時代に行く感じもします。「雪待エレジィ」のパイプオルガンのようなキーボードからダンス歌謡に展開して、“いつの時代なの?”っていう(笑)。

(笑)。「雪待エレジィ」は、たぶん20代や30代の人が聴くと昭和歌謡のイメージなんだと思います。もっと上の世代でいろいろ聴いている方は、きっと単なる歌謡曲では片付けられない違和感を持つのではないかと思います。その辺は狙ってやってる部分がありますね。

時代感が重層的なので、SF的でもありますね。

そうです、ごった混ぜにするのが好きで。例えば60sが好きだったら、とことんそこを忠実に目指していくというやり方は自分の中ではあり得ないんですね。キノコは曲中で時代感を平気で変えてしまったりしますので。そのとりとめのなさもキノコホテルらしさなのかなと思ったりしますね。

終盤はライヴで映えそうなタイトな楽曲が続いて、「華麗なる追撃」はヴォイスエフェクトが掛かっていて、クールな印象です。

基本的にヴォーカルに関しては曲ごとに作り込んでいます。デモに仮歌を入れる段階で自分の中では何をどの程度にというのはほぼ決まっているので、エンジニアさんにも伝わるようにその時点でエフェクトを掛けたものを提出するようにしていて。「華麗なる追撃」についてはあまり感情を込めて歌うと、ただの暑苦しい応援ソングみたいになってしまうので、あえてどこか突き放すようなエフェクトで世界観を作っていく感じにしましたね。

この曲はビートもモダンですね。

これもキノコとしては新しいですね。突然、その冒頭のベースのフレーズとドラムのリズムが思い浮かんで。“いったいこれはどこから来たのだろう?”という感覚があったんですけど、せっかくですし、とりあえず一旦かたちにしてから、生かすか殺すか決めれば良いじゃないということで、ざっくりアレンジを組んで、3人に投げたら結構気に入ってくれまして。とにかく新鮮さを感じたようです。

今作を全編通して聴くと、一方向の革新じゃないことに気付かされるんじゃないかと思います。

結構欲張ってみました(笑)。基本的に欲張りなんですよ、キノコホテルは。欲張った分、自分たちでそれに全力で応えていくというか、そういうところがこれからの10年…まぁ、元号も変わりましたんで、良いタイミングかなと。

支配人は自覚的ですよね。島崎さんを共同プロデュースに迎えられたことも含め。

そうですね。もう全部自分で決めなきゃというか…それこそ過去の作品『マリアンヌの呪縛』(2014年5月発表の4thアルバム)のタイトルじゃないですけど、人に縛られない代わりに自分で自分を縛ってしまう傾向があるんですね。でも、最近はそんな時間もなくなってきたと思っていて。危機感を抱いていたように思います。島崎さんを起用することで、周りを引き込んでこの問題に対峙して、何らかの答えを出せた気はしています。“この作品でなんとかしないといけないの!”と(笑)、発破かけつつ楽しみつつ。“10年続いて良かったね”で終わるつもりはないので。

取材:石角友香

アルバム『マリアンヌの奥儀』2019年6月26日発売 KING RECORDS
    • KIZC-541~2
    • ¥3,200(税抜)
    • ※DVD付

ライヴ情報

『サロン・ド・キノコ〜13年目のウ・ワ・キ〜
創業12周年記念実演会』
6/24(月) 東京・新宿LOFT

『アルバム発売記念ツアー
「サロン・ド・キノコ〜奥儀大回転」』
6/29(土) 北海道・札幌SOUND LAB MOLE 
7/06(土) 大阪・梅田Shangri-La 
7/13(土) 福岡・BEAT STATION 
7/14(日) 大分・別府Copper Ravens 
7/15(月) 福岡・小倉FUSE 
8/04(日) 宮城・仙台FLYING SON
8/30(金) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO 
8/31(土) 広島・広島CLUB QUATTRO 
9/13(金) 東京・キネマ倶楽部
9/27(金) 沖縄・那覇output
9/28(土) 沖縄・那覇G-shelter
...and more

キノコホテル プロフィール

全ての楽曲を手がける鬼才・マリアンヌ東雲を中心に創業された謎めいた女性だけの音楽集団。2010年2月にアルバム『マリアンヌの憂鬱』でデビューする。キュート&クールなルックスと強烈なキャラクター、楽曲のクオリティーや実演会(ライヴ)での爆発力は唯一無二。パンク/ニューウェイヴ、60'sロックンロール、プログレ、ラテンなど、さまざまなサウンドを昇華した濃厚な音楽性で、老若男女、メジャー/アンダーグラウンドを超えて幅広く浸透しており、その中毒性は高く、“いつか視た幻”のような既聴感を憶える“ありそうでなかった音楽”を提供し続けている。キノコホテル オフィシャルHP

「ヌード」MV(Short ver.)

アルバム『マリアンヌの奥儀』
全曲トレーラー

OKMusic編集部

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