【ライブレポート】Nissyがエンター
テインメントに込めた願い
確かに<Nissy Entertainment>は、単なるライブやコンサートではなく、れっきとしたエンターテインメントだ。“エンターテインメント=人々を楽しませる娯楽”という意味通り、「誰しもが楽しめるもの」に仕上がっている。ライブのセットリストは観ているものを引き込むよう計算されているし、演出はこれでもかとこだわりが詰め込まれている。歌唱力やパフォーマンスのレベルの高さは言わずもがな。だが、人々を魅了している一番の理由は、Nissyの「観てくれた人を楽しませたい」という思いがはっきりと伝わることだと思う。それを証明するように、ソールドアウトしたドームの全会場には、女性ファンのみならず親子や男性など老若男女が集い、全員がそのステージに魅入っていた。
そういった世界観作りに加え、Nissy自身が見せる様々な表情も楽しい。「LOVE GUN」ではおもむろにサングラスをかけ、炎の柱が上がるステージで不敵な表情を浮かべるし、続く「まだ君は知らない MY PRETTIEST GIRL」ではその印象を180度変えて可愛いスマイルでピンキーダンス。曲の終わりにはちょっと首を傾げて投げキスまで。 “頭の中 俺のことでいっぱいだろう?”という歌詞に、心の中で“そんなことないもん”とお決まりの合いの手を入れながらも、アダルトな姿とキュートな姿というNissyのギャップに翻弄されてしまう。
例えばここでライブが終わってしまったら、心には切ない気持ちが一番に残ってしまっただろう。だが、そこは<Nissy Entertainment>。スタイリッシュに「Addicted」をキメた後、映像でコミカルなメイクで“オジサン”に扮し、変顔でファンを笑わせながら「DANCE DANCE DANCE」のダンスプラクティス。からの、干支にちなんでイノシシの着ぐるみでバギーに乗って登場しそのままバギーの上で衣装に着替えたりと、はちゃめちゃなシーンを入れてくる。「かっこいい」「素敵」「素晴らしい」だけでは終わらせないスタイルは、ちょっと皮肉屋さんでお茶目なNissyらしさ。
こうしてNissyは観ている人をとにかくワクワクさせてくれる。それが最高潮に達したのは、「The Days」からの本編ラスト2曲。きらびやかな電飾が施されたフロートに乗って、ファンに手を振りながらミュージックビデオでも共演したユニバーサル・スタジオ・ジャパンの人気キャラクターのスヌーピーやエルモとともにパレードを繰り広げるNissy。往往にしてライブの終わりというのは寂しいものだが、「The Days」の“夢の続きをまた見れるように歩んでいこう”という歌詞に込められたメッセージが嬉しい。
そして<Nissy Entertainment>に込められた思いは、「トリコ」で明らかになった。“伝えたいことがあります だからこっちを向いて”という歌詞でメインステージを見ると、スクリーンには“Nissyからの5つのメッセージ“として「みんなのおかげでここまでこれました」「<Nissy Entertainment>を見て幸せになってくれますように」というメッセージが映し出されたのだ。これこそが、Nissyが<Nissy Entertainment>を通してみんなに願うこと。ここまで「素敵なステージだな」と思って見ていたが、いつの間にか心が多幸感に溢れていたことに気付かされた。Nissyの思いを、心が自然と受け取っていたようだ。
アンコールのMCで、Nissyは5周年という月日を振り返って、「ずっと試行錯誤しながら中々うまくいかない何年かがあって。一年一年かけて行って、その間にアルバムを出せてツアーをできて、作品を通じてみなさんに会う機会があって、今回のツアーも演出も含めていろんな形でどうやったらみなさんが楽しんでいただけるかなというものを考えさせていただいて……」と語った。グループの活動が多忙であることはもちろん、彼はいつ踊れなくなるかもわからない腰の痛みという問題も抱えている。そんな中で彼が真摯に向き合って、妥協なしに作り上げたエンターテインメントだからこそ、こうして観ている人を幸せにすることができるのだろう。
今年はステージで涙を見せなかったNissy。きっと、今回の4大ドームツアーを終え、<Nissy Entertainment>が誰かを幸せにしていることを去年よりも実感できたのだろう。Nissyの「<Nissy Entertainment>を見て幸せになってくれますように」という願いは、着実に届いている。そしてファンの幸せが、Nissyの笑顔にもつながっている。Nissyは幕引きに「またみなさん、どこかでお会いしましょうね。それまで楽しく生きていきましょう!」と言ってくれたが、次に<Nissy Entertainment>に会える日は、今日よりもっともっと笑顔になれるのだろうなという予感がしている。
取材・文◎服部容子(BARKS)
写真◎田中聖太郎、山内洋枝、青木早霞、立脇卓
セットリスト
02.LOVE GUN
03.まだ君は知らない MY PRETTIEST GIRL
04.SUGAR
05.ワガママ
06.愛tears
07.Addicted
08.DANCE DANCE DANCE
09.Playing With Fire
10.糸(リクエスト曲)
11.Don'r let me go
12.Double Trouble
13.恋す肌
14.Relax & Chill
15.The Days
16.トリコ
en.
01.17th Kiss〜ハプニング〜GIFT〜Never Stop
02.My Luv
wen.
01.どうしようか?
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