【KANA-BOON インタビュー】
新たな自分たちの音楽を
捕まえていきたい
L→R 小泉貴裕(Dr)、飯田祐馬(Ba&Cho)、谷口 鮪(Vo&Gu)、古賀隼斗(Gu&Cho)
メジャーデビュー5周年を迎え、5シーズンにわたって5リリース、5イベントという企画を遂行中のKANA-BOON。そのシーズン4となる冬盤ミニアルバム『ネリネ』について谷口 鮪(Vo&Gu)に語ってもらった。
どのような一枚にしたいとイメージしていましたか?
前作の夏盤『アスター』は自分たちの現在を照らすような作品だったので、『ネリネ』は自分たちの未来を照らすような存在になるようにと。そんなイメージを持って制作しました。冬というテーマについて当初は“冬と言えば、こたつにみかんだなぁ”ぐらいのざっくりとしたものだったんですけど、いざ取り組んでみるとオリジナリティーのある視点を生むことができて、曲も歌詞も良いものが書けたと思っています。
花のネリネがモチーフとなった理由や背景は?
ネリネの花言葉のひとつに“また会う日を楽しみに”というのがあって、それに惹かれたんです。ライヴやツアーでの別れ際、いつも寂しくありながらも“また会う日を楽しみに”という気持ちを持ってステージを降りるんですね。これは自分たちに関してもそうですし、自分たちと音楽でつながっている人たちにも共通するテーマだと思うんです。
そんなネリネをタイトルにした1曲目の「ネリネ」は、もっと広い世界へと踏み出して前に進みたい気持ちを描いていますよね。
はい。ネリネは“箱入り娘”という花言葉もあるんです。ネリネの語源はギリシャ神話に登場する海の女神・ネーレーイスで、箱入り娘のように大切に育てられたんだそうです。でも、そのせいで外の世界に出られず、不自由な暮らしをしていたらしくて。だから、“もしもネーレーイスが外の世界を旅したなら”っていうイメージを持ちながら歌詞を書きました。この歌詞は今、ツアーで全国を旅している自分たちともぴったりはまるし、バンドという長い道のりを進む上での応援歌のような存在でもあると思います。聴く人にとってもそんな頼りになる存在になってくれたら嬉しいですね。
《単純な心のままに》という歌詞がとても印象的ですけど、どんな想いを込めています?
自分にとって音楽とは? このバンドとは? なぜ音楽を続けるのか? …そういうこれから何度もぶち当たるのであろう問いへのひとつの答え、あるいは願いですね。音楽が他の何よりも好きだから、メンバー…というか、ただの同級生といつまでも音楽でつながりながらゲラゲラと笑っていたいとか。そんな動機を常に心の真ん中に持っていたいという想いがあるんです。どんなに複雑で難しい問題を抱えても、どんなに険しく辛い状況にいようとも、単純な心ひとつあればなんとかやっていけると思っています。
なるほど。2曲目の「アフターワード」はKANA-BOONの直球だと思いました。
イントロとかは、ザ・KANA-BOON!といった感じですね。得意分野を詰め込んだ、味の濃い曲だと思います。その分、歌詞は繊細なものにしたいと思いながら書きました。《悲しい夜など一度もなかった》っていう最後の一文を書き終えた頃にはもう半べそかいていましたから。
続く「春を待って」はどこか郷愁を誘う仕上がりですね。もしかしたら童謡や『みんなのうた』とかも鮪さんの重要なルーツになっているのかなと、ふと思ったんですけど。
幼少期からひとりで過ごすことが多くて、いつも午前中はNHKの教育番組を観ていたんですよ。もしかしたらそれも僕に影響している部分があるかもしれないですね。いつか『みんなのうた』の曲をやりたいです。
「湯気」は『アスター』に収録されている「線香花火」と通ずるものを感じたのですが。
まさに「線香花火」の続編です。同じ人との思い出を歌っています。
本来、誰かと一緒に楽しむものをひとりでする寂しさを描いたシリーズということですね。
はい。自分でも聴いていて込み上げるものがあります(笑)。
「ペンギン」は幻想的な仕上がりなのがとても新鮮です。この曲も含めて今回のミニアルバムは、かなり新境地を切り開いた作品でもあると思うのですが。
フルアルバム『NAMiDA』(2017年9月発表)で、デビューから作り上げた自分たちらしさにとどめを刺せたと思っているので、そこからまた新たな自分たちの音楽を捕まえていきたいんです。『アスター』と『ネリネ』はその出発点ともいえる作品ですね。
今回の作品で感じる“さすが、古賀・飯田・こいちゃん(小泉の愛称)だ!”という部分は何かあります?
やはり古賀は良い音を作ってくれるなと。おかげで今回も曲により華が出ました。ちゃんと古賀の顔が浮かぶギターになっているのは嬉しかったですね。“あの濃い顔はダテじゃない!”と思いました。飯田はフレーズセンスがあるので、毎回仕上がりを楽しみにしています。今回は今まで以上にベースの役割や、ベースとしてどういうメロディーを奏でれば曲がさらに良くなるのかを研究して作り込んできてくれたんじゃないかなと思いました。ドラムに関しては今回、こいちゃんがあまりやらなそうなことに挑戦してもらったので、全曲に新鮮な箇所があると思います。テクニックもニュアンスも苦労する曲ばかりだったんですけど、文句も言わず、暴飲暴食もなく、よく頑張ってくれました。街で見かけたらチョコレートをあげてください(笑)。
(笑)。KANA-BOONは現在、47都道府県ツアーの真っ最中ですが、どんな手応えを感じています?
ライヴバンドとして成長できている手応えを感じています。大きな会場でライヴをすることも憧れや夢のひとつですけど、全国のライヴハウスをひとつずつ回って、近い距離で汗だくになって音楽をともに楽しむことも間違いなく音楽を始めた頃からの夢なので、それを叶えている真っ最中というのは本当に誇らしいし、すごく嬉しいことで。3月まで続くツアーの中で、チケットのあるところはぜひ観に来てほしいですね。セットリストもベストなものだし、何より現在の自分たちを観てもらうことできっと何かが変わると思います。
取材:田中 大
「ネリネ」MV(short ver)
「春を待って」MV(short ver)
「湯気」MV(short ver)
ミニアルバム『ネリネ』SPOT映像
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