【ましのみ インタビュー】
わくわくするものを生み出し続けたい
ましのみ
キュートだがドキッとする多彩な歌い方を駆使し、物事を鋭い角度から見た詞で表現するシンガーソングライター、ましのみ。メジャーデビューアルバム『ぺっとぼとリテラシー』には、その才能がいかんなく発揮されている。
工場を背景にして足元にペットボトルがあるアーティスト写真やアルバムのジャケットがユニークですが、構図にはどんな意味があるのですか?
私はいつもステージドリンクに2リットルのペットボトルを持っているんですけど、その自分の身近にあるペットボトルを使い、後ろに写っている工場に似せて足元に配置しました。工場は常に新しいものを生み出し続けているところですよね。私自身も新しいもの、わくわくするものを生み出し続ける工場のような存在になりたいな、という想いを込めてこういったジャケット写真になりました。
ましのみさんはラップや寸劇を取り入れたり、表現方法が非常に多彩ですよね。
ラップを取り入れているのも、寸劇をしているのも、特に私のスタイルとはとらえていないんです。あくまでも私は曲を作るのが好きで、歌詞を書いて、そこにメロディーを付けて歌うのが好き。それをたくさんの人に届けたい。そのためには入口をたくさん増やさなきゃいけない。私が歌っている姿だけでは振り向かない人も、ラップを始めた時に振り向いてくれたら、そのあとの曲にも興味を持ってくれるかもしれないし。なので、寸劇とかも、そのあとの曲につながるようなストーリーにしているんですよ。
デビューアルバム『ぺっとぼとリテラシー』は、インパクトのある「プチョヘンザしちゃだめ」から始まりますね。
歌っている内容はそんなに明るいことではないのですが、それをアップテンポで歌うことによって軽い感じでも聴いてもらえる。歌詞に共感して聴いてもらえる人だけじゃなくて、音とか言葉にノってくれた人にも楽しんでもらえる曲にしたいというテーマがありました。
ちなみに、歌詞を書く上でどんなことをルールにしていますか?
ルールではないんですけど、自分からかけ離れすぎていることについては無理して書いたりしないようにしています。私の視点でもとらえうる範囲…もっと言うと、とらえられないところも私に引き寄せてきて書くようにしています。あと、恋愛の曲については他人の気持ちや状況を聞いたりすることが好きです。例え他人の話だったとしても、その子の気持ちになって書くことは無理だし、失礼じゃないですか。だから、“その状況を私が経験したら、こう消化する”と自分なりに考えて、その上で少しだけ美化する。そうすることによって、それが現実だと錯覚して現実まできれいに見える、みたいな現象が起こらないかなと思って書くことが多いですね。
そういう意味では「ナンセンスに逆戻り」は、相手に依存して自分の軸を持てなかった女の子の歌になっていますね。
相手の人に影響を受けてファッションとかが急に変わるけど、その人がいなくなるとダメになってしまう。そういう人が私の年齢前後には多いような気がして、それを曲にしたかったんです。この曲はポップに昇華することによって、そういう状況にいて苦しんでいる人が、ちょっとでもポップな気持ちになれればいいなと思って作りました。強制的にでもポップなテンションを落とし込めば、気が楽になることはあるんじゃないかと思うので。
あと、「ミスター」は詞がいろいろな意味に解釈できるのですが。
これは1年半くらい前に書いた曲なんです。それまであまり言葉のキャッチーさを意識したナンバーを作ったことがなかったんですが、それを意識して作った初めての曲で。でも、当時は意味を含ませるのがすごく好きだったので、正確な詞の解釈をしている人を見たことがないのが「ミスター」なんですよ。たぶん真相については今後も言わないと思います(笑)。分からせたくない、ギリギリのところを書いてみたかったんです。
なるほど(笑)。「リスクマネジメント失敗」はタイトルからして、ましのみさんらしい独特さがある曲ですね。
“リスクマネジメント失敗”という言葉は書いている途中で思い付いたので、最初からあったわけではなくて。普段生活している中で、曲にできたらいいなと考えて、気になったワードをメモする癖があるんです。例えばその曲で言うと“吊り下げ広告”という言葉は普通に電車に乗っている時に、こういう言葉とか思ったこととかを曲の欠片にできないかなと考えて。そういうことをつなげているうちにスラスラできたと思います。途中で“サビ頭の言葉をどうしようかな”とか考えるんですけど、作り始めた時は自然な感じで。バラードはそういうパターンが多いですね。
ひとつひとつの細かな観察が曲になっているわけですね。
曲を作ることを考えながら生活していると、普段目につかないことも“あ!”と思うようになって好奇心旺盛になる。いろいろなところを注意して見るようになるから、そのほうが生活していても楽しいし。それを忘れないように常にメモしていれば曲にもつながるし、ネタが尽きないです。
では、最後にメジャーアルバムが完成した今の気持ちを教えてください。
マスタリングの時に通しで聴いて、“わー! アルバムになった!”という想いはありましたね(笑)。でも、単純にぬか喜びしている自分に対して、すぐ喝を入れてしまうタイプなので、帰る時には“こんなところで満足してどうするの、頑張らなくちゃ!”という気になりました。私は変わり続けていきたくて、常に面白いと思ってもらえることを見せ続けていきたい。そのためには音楽を続けないといけないし、続けるためにも売れなくちゃいけない。私はいつもそういう意味を込めて“売れたい”と言っているんですけど、メジャーデビューをきっかけにどこまでいけるかということで今は頭がいっぱいです。
取材:桂泉晴名
『ぺっとぼとリテラシー』
全曲トレーラー
アーティスト
編集部おすすめ ライブレポート
-
【ましのみ ライヴレポート】 『ぺっとぼとリテラシー vol.3 ~レセプションパーティー in TOKYOでひとつになりまショータイム~』 2019年3月21日 at 渋谷ストリームホール
2019.03.27
-
【ましのみ ライヴレポート】 『MashinomiX Vol.1』 2018年12月15日 at duo MUSIC EXCHANGE
2018.12.18
-
【ましのみ ライヴレポート】 『ぺっとぼとリテラシー ほとばしるバテで夏を締めくくりま ショータイム vol.2』 2018年9月8日 at 代官山UNIT
2018.09.11
-
【ましのみ ライヴレポート】 『ぺっとぼとリテラシー 〜別途ほとばしるショータイムへ ようこそ〜 vol.1』 2018年3月11日 at 渋谷WWW X
2018.03.15
おすすめ記事
-
『OKMusic』サービス終了のお知らせ
2024.02.20 11:30
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.89】公開
2024.02.20 10:00
-
今年でデビュー50周年の THE ALFEEが開催する、 春の全国ツアー神奈川公演の チケット販売がいよいよ開始!
2024.02.13 18:00
-
音楽ファンの声、エールを募集! music UP's/OKMusic特別企画 『Power To The Music』 【vol.88】公開
2024.01.20 10:00
-
宇多田ヒカル、 初のベストアルバム 『SCIENCE FICTION』発売決定& 全国ツアーの詳細を発表
2024.01.15 11:00