【Hilcrhyme】『Hilcrhyme Tour 201
5 REVIVAL』2015年5月17日 at NHKホ
ール
『Hilcrhyme Tour 2015 REVIVAL』の最終公演はNHKホール。開演前から会場にはメンバーの名前を呼ぶファンの声が響き、すでに今日のライヴがアツいものになることを予感させる。そんな客席に向けて放たれたのは、ニューアルバム『REVIVAL』の1曲目を飾る「New Era」。Hilcrhymeの意思表明とも言える辛辣な言葉のラッシュが客席を焚き付け、続く「FLOWER BLOOM」で力強いメロディーが大合唱を引き起こし、「パーソナルCOLOR」では“自分の個性を誇り、可能性を信じて歩いていけばいい”というメッセージを届ける。そして、日常に起こる偶然の一コマを歌った「The Woman In The Elevator」「BAR COUNTER」でショートムービー風の映像とリンクさせ、観客をより深く楽曲の世界へ引き込むと、アカペラで始まった「春夏秋冬」と生まれ来る我が子への気持ちを綴った「鼓動」というラブソングの連弾で、場内をハートフルな空気で埋め尽くす。ホールならではの空間であり、映像での演出などを利用し、序盤にしてライヴのイニシアチブはHilcrhymeが握り、会場をひとつにしていた。
中盤はソロタイムから。THUG-HOMEYと CLOPのそれぞれのチームがダンスパフォーマンスを繰り広げ、DJ KATSUが鍵盤も奏でるインストタイムへ。観せ場と聴かせどころが交錯する中、ヒップホッパーよろしく場内をパーティータイムに変えたTOC。DJ卓を操る姿も新鮮だ。その後、インターバル的な観客とのコミュニケーションタイムで一旦クールダウンするも、“俺たちと一緒にパーティーしてくれる人はどれだけいますか?”との声で「続・押韻見聞録 -未踏- 」から後半戦が幕を開ける。『イッタコトナイ。』ツアーでも一番の盛り上がりを見せたという同曲の小鼓と和笛が作り出すビートが会場の熱気を再び呼び覚まし、和テイストの流れを汲んだ「East Area」がさらに観客の高揚感を煽り立て、前半戦で作り出したホールならではの空気は、ライヴハウスさながらの熱量の高いものへと変わっていった。
そして、“ここからラストまで一気にいきます”と宣言し、終盤戦のクライマックス。TOCのフリースタイルから始まったアッパーな「ルーズリーフ」が観客のボルテージを引き上げ、ダンサー陣がそれぞれ客席から盛り上げた4つ打ちのダンスチューン「トラヴェルマシン(DJ KATSU Electro Remix) 」の頃には客席はフロアーと化し、もはや会場はクラブのよう。観客はDJ KATSUが操るダイナミックなトラックに体を預け、TOCのリリックに、歌に呼応しながら床を揺らしている。ラストは「Summer Up」。そのタイトル通り、夏モード全開の開放的なナンバーが場内のテンションを最高レベルにまで引き上げた。
最高潮の中で幕を下ろした本編。このツアーでは全てを本編に詰め込んでいるという理由からアンコールを行なっていなかったが、ファイナルであるこの日は特別に用意されていた。そこで今日のライヴが7月1日にDVDとしてリリースされること、今年の夏からスタートするアニメのタイアップが決定したことをアナウンス。観客の歓喜の声に包まれる中、さらにもうひとつ、Hilcrhyme CREW8人でのツアー活動が本日をもって終了することも発表された。約4年間一緒にライヴを作り上げてきた同じ新潟の同士たち、THUG-HOMEYとCLOPと別々の道を歩むことになるわけだ。もちろんこれは発展的な決断。TOCも“新潟を拠点にし、互いに切磋琢磨しながらそれぞれ活動していきます”と語気を強めて語っていた。
Hilcrhyme CREW最後のパフォーマンスは本日2回目となる「パーソナルCOLOR」。この8人が初めてMVで共演した思い入れ深い楽曲であり、しかも同MVで着用していた衣装で臨むというサプライズ付きに、客席もいつまでも湿ったムードを引きずっていない。また、本編で披露された時は同曲のリリックであり、そのメッセージは観客ひとりひとりに向けられたものだったが、ここでのそれは彼ら自身にも向けているように感じたのは僕だけじゃないはず。そんな回顧的であり、発展的でもあるナンバーで大団円を迎えた本公演の最後にTOCが“これからを見ていてください、それぞれを。Hilcrhymeはまだまだいきます”という言葉を残した。2015年の彼らはこれまでに増してファイターなだけに、今後の展開に期待が高まったのも、僕だけじゃないだろう。
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