【FLiP】さらに激しくエモくキャッチ

女子感もパワーアップした新作!”

L→R ユウミ(Dr&Cho)、サヤカ(Ba&Cho)、ユウコ(Gu&Cho)、サチコ(Vo&Gu)

激しいサウンドから一転、3rdシングル「ワンダーランド」でキャッチーな側面を見せるなど、進化を続けるFLiPが2ndフルアルバム『XX emotion』をリリース。ロック感と女性観が融合した作品になった。
取材:榑林史章

2ndフルアルバム『XX emotion』は、これまで同様のハードさを残しつつ、女子っぽい歌詞が目立っていますね。

サチコ

ありのままを出そうという気持ちを優先したんです。だから、今まではツンツンしていて出し切れていなかった女子的な部分も、素直に出せたんじゃないかと思いますね。

ユウミ

今までのFLiPより、すごく女子感があふれていると思います。感情的に鳴らしたり、歌っていたりするし、女性ならではの気持ちもちゃんと表現されいて。それで"XX emotion"と付けました"XX"は女性の染色体。チョメチョメではないです(笑)。

「Shut Up,Men!」などは、まさに女子強し的な曲で。

サチコ

女子共感ソングですよ。仮歌の時から"シャラップメン!"って歌っていて、そこから広げていって。その時は何か、男に対してムカつくことでもあったのかな? それが無意識に(笑)。

《マスカラ15分》という歌詞もあったり。

サチコ

普段はパパッと3分ですけどね(笑)。

女子っぽさで言うと「でも maybe」なんかも。

サチコ

この曲、好きです(笑)。ミックス確認している時、"うわ! この歌詞、何? 超イイ、心にくる!"って。

タイトルも良いですよね。

ユウコ

ちょっとアイドルっぽい。でも、そこも狙いつつ(笑)。

ユウミ

あ、狙ってたんだ!

サチコ

世の中の流れを掴むのも大切よね(笑)。

「YUKEMURI DJ」なんかは、お風呂が舞台だし。

ユウコ

主人公はOLさんとか働いている女性で、大まかに言うと、日々の生活で溜まったストレスをお風呂で洗い流すという。サウンド感が弾けていたので、それに負けないようにと思って言葉遊びというか、ダジャレを考える脳みそで書きました。でも、滑ったら危ないんで、お風呂では踊らないでくださいね(笑)。

ラップ的なパートもありますよね。

サチコ

ラップと呼べるほどでは…(苦笑)。

跳ねたサウンド感も面白いですよね。

サチコ

FLiPは硬派なサウンドが多いので、いい意味でローファイな感じで歌える曲があっても面白いと思って。これはiPadのガレバン(ガレージバンド)っていうアプリで、デモを作って。

アプリで、デモを作っちゃう時代だ!

サヤカ

でも、実際にがっつり使ったのは、これが初めてです。

ユウミ

iPadをタップして叩くと、感覚が違うから、手癖じゃないフレーズが出てきて。表現の幅が広がった感じがしました。

サチコ

デモ作りくらいなら、まったく支障ないですよ。

「今夜月で会いましょう」はサヤカさんの作詞。ロマンチックな曲ですよね。で、狼になりたいと?

サヤカ

はい。なりたい(笑)。片想いしている女の子の気持ちをどうやって表そうかと考えて。最初はモンスターとか化け物系にしようかと思ったけど、もう少し親しみやすい感じにしました。

ユウミ

アレンジに一番時間をかけた曲だよね。

サチコ

ミディアムテンポだけど単調にならないように、いい意味で最後に向かって高揚していける流れを追求しました。

サウンド的に新しいと感じたのは「Everything is alright」。スケールの大きな感じのサウンドが気持ちいいですね。

サチコ

自分たちはいつもライヴを意識して曲作りをしているんですけど、でも作品としては日常のBGMとしも聴いてほしくて。この曲はライヴハウスを飛び出して、ドライヴのBGMにも似合う曲だなって。出来上がった後に、自分たちでもテンションが上がったし、新鮮に感じました。「ワンダーランド」を作って以降は、曲作りに対する考え方の幅が広がって、だからこそできた曲だと思います。

ユウミ

これは野外とかフェスでやりたいねよ。

サヤカ

夕暮れにライトに照らされながらとかいいかも。

ユウコ

やったら泣いちゃいそう~。

サチコ

みんなで大きい声で歌ってほしい。シンガロングです!

アルバムが完成してみて、結構手応えを感じたのでは?

サヤカ

今のFLiPのリアルなサウンドと気持ちが、すごく込められた作品。セルフプロデュースさせていただいた曲もあるし、この一枚でFLiPのまた違った面を表現できたと思います。

ユウミ

去年はフェスとかも出て、もっと人を巻き込めるようなサウンドや歌を届けられるようになりたいと思って。それで一回話し合いをして、初心に戻ったというか…"もっと素直な気持ちで!"というところから制作に取りかかりました。だから、新しいことにもチャレンジしているけど、FLiPがもともと持っているものもちゃんと引き出せたと思っていて。すごく等身大のアルバムです。

ユウコ

次はどんな作品を作れるのか、自分たち自身でも楽しみだし、みんなも楽しみにしていてほしいですね。

サチコ

こういう作品が作れて、すごく良かった!

6月からはリリースツアーもありますが。

サチコ

ライヴがないと、しんどいので(笑)。

ちなみに移動中はどう過ごしているのですか?

サチコ

音楽を聴いたり、本を読んだり、寝たり、ギター弾いたり。

ユウコ

夜サービスエリアに入って、トイレを出たらこの人、入口でギター持って座って歌ってるからビビりました(笑)。

サチコ

無性に弾きたくなる時があるんですよ。でも、そういう気持ちって曲作りの延長に絶対あると思っていて。作詞も日頃からワンフレーズとかメモしていたりすることの積み重ねだと思うし。今このコードを弾きたい!という気持ちが、曲を作りたいという衝動に変わっていくと思うんです。そういう音楽に対する欲求は抑えず、自然に出していきたいですね。だから、たまにちょっとおかしな行動をすることもあるけど…(苦笑)。

FLiP

フリップ:05年10月6日(金)沖縄那覇市国際通りのマクドナルドにて高校2年生だった渡名喜幸子(vo&g)が「とにかくカッコイイ女の子バンドを組みたい!!」という強い衝動から、中学時代の同級生である(g&cho)に相談を持ちかける。その後高校の同級生、宮城佐野香(B&cho)、玉城裕未(dr&cho)が加わりFLiPを結成。バンド名のFLiPは、「弾く」「ぴしっと打つ」などの意味合いを持つ。

沖縄・那覇市を中心にライヴ活動を続けるなか、08年6月にMONGOL800を輩出したインディーズ・レーベル<ハイウェーヴ>より1stミニ・アルバム『母から生まれた捻くれの唄』をリリース。09年3月には、テキサス・オースティンで行われた『SXSW 2009』に参戦、そのまま全8ヶ所9公演を廻る全米ツアーを敢行。その後、チャットモンチーや9mm Parabellum Bulletを手がけるいしわたり淳治をサウンド・プロデューサーに迎えて10年3月、<デフスターレコーズ>よりミニ・アルバム『DEAR GIRLS』でメジャー・デビュー。

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