【Salley】今のSalleyからあふれ出る
ものを全て出し切った一枚
L→R 上口浩平(Gu)、うらら(Vo)
やさしい歌声と、どこかひんやりとした温度を持つサウンドが融合する良質なポップミュージックを届けてくれるSalley。ついに完成したアルバムには、彼らの可能性に満ちた幅広い楽曲がぎっしりと詰め込まれ、輝いている。
取材:吉田可奈
ついに1stアルバムが完成しましたね。
うらら
初めてのアルバムは何かコンセプトがあって作ったものではなく、結成時からコンスタントにいいと思う曲だけを作ってきた集大成の一枚になっているので、本当にいいアルバムになったと思えるんです。
上口
これまでのエネルギーを凝縮した曲たちが詰まっているので、Salleyの歴史はもちろん、音楽性の幅も感じてもらえると思うんですよね。今の僕たちからあふれ出るものを全部出し切った曲になっているので、それを全身で受け止めてもらえたら嬉しいです。
アルバムタイトルの“フューシャ”も、すごく印象的な名前ですが、どんな意味を持っているのですか?
うらら
“フューシャ”とは鮮やかなピンク色をしているお花の名前で、別名を“神の涙”と言うんです。私自身、歌詞を書く時はいつも色を付けるのがすごく多いので、タイトルにも色が印象的なものが付くのはしっくりきたんです。それに、“Salley”という名前が決定する前は、この“フューシャ”という名前にしようかという案があったくらい、気に入っている名前なので、今回アルバムタイトルにできてすごく嬉しいです。
アルバムにはシングル曲も多く収録されていますが、アルバム曲はとても挑戦している曲が多いと感じました。
上口
一番挑戦したのは「プレゼント」です。この曲は今までにないファンキーな曲になっているんですが、これまでの自分たちの型にはまっていないものが作れたのかなと思っているんですよね。こういった楽曲が1曲でもあると、自分たちの行動範囲がグッと広がって、次にどんなことでもできてしまう気がするんです。
確かに、今までのSalleyのイメージとはギャップがあってすごく面白かったです。
うらら
最初に上口くんからこの曲を聴かせてもらった時はびっくりしたんですよ。私自身、ファンクやディスコミュージックは大好きなんですが、私の声は細いからか、こういった曲を歌ってはいけないと思っていたんですよね。でも、上口くんがこの曲を作ってくれたことで、“私にもこういう曲を歌う権利があるんだ”って思えたんです。もともとこのジャンルが好きなだけあって、歌ってみたらすごくギャップがあって楽しかったんです。この曲を歌えたことで自信にもつながったし、また視野が広くなりました。
歌詞も可愛らしいですよね。すごくやんちゃで(笑)。
うらら
あはは。この曲を聴いた瞬間、絶対に“TomBoy”という単語を入れたかったんです。実は私自身が小さな頃、近所でも評判のおてんば少女だったんですよ。
近所でも評判って、どのくらいですか?(笑)
うらら
今考えると、そこまでひどくないとは思うんですが、男子と戦いごっこをやったり、大人から“女の子らしくしなさい”と言われて反発して青を選んだり…。その反発心をこの曲から思い出して。そんな小さな反抗を肯定するような曲を作ろうと思ったら、この歌詞が生まれたんです。
小さな頃のトラウマがこういうかたちで浄化されたのなら、それも勉強だったということですね。
うらら
そうだといいなぁ(笑)。トラウマなら尋常じゃないくらいあるので、全部歌にしていきたいですね(笑)。
最後の曲となる「My little girl」も印象的でした。
うらら
この曲は結成当初に作った「その先の景色を」の現代版を作ろうというテーマから生まれた曲なんです。当時はとりあえず前に進もうという気持ちだけで、まったく前が見えていなかったんですよね。だからこそ、その不安の答えを出してあげたいし、今はスタッフに恵まれて、応援してくれる人たちもいるからこそ頑張れているよということを歌にしたかったんです。
上口
この曲はドラムロールが最後に余計に3小節ほど流れているんです。これを流すことによって、旅が続いていく空気感が出たんです。その余韻にも注目してもらいたいですね。
「カラフル」も女子っぽい歌詞で可愛かったです。
上口
この歌詞、すごくいいですよね。なのに、うららは最初、この歌詞を僕に見せる時にすごく照れていたんですよ(笑)。
うらら
いや、本当に女子全開なので恥ずかしくて(笑)。この曲はアパレルの店長をしている私の友達に向けた曲なんです。彼女はすごく仕事もできて可愛いんですが、ダメ男ばかり好きになっちゃうんです。しかも、その恋愛に溺れてボロボロになっちゃうんですよね。でも、彼女はオシャレに関しては芯がすごくしっかりしていて、“(オシャレは)自分のためにしているの”って言い放つんです。彼女を見ているともっと幸せな恋愛をしてほしい!って思うんですけど、全てに全力な姿に憧れちゃうんですよね。そんな彼女のことを思って書いたら、ちょっと女子があふれ出しちゃって(笑)。
いや、本当に共感できたんですよ。うららさんの書く歌詞って、すごく真っ直ぐで、強くて、どこかいたずらで。今回はそれが全て詰まっていて堪能できたんです。だからこそ、純粋にやさしい「fuchsia」はすごく意外でした。
上口
この曲は、スカートを履いた女の子が今にも踊り出しそうな可愛い姿をしているフューシャの姿からイメージして作ったんです。
うらら
この曲を聴いた時に、すごくやさしさを感じたんです。そのイメージを壊すことなく、傷付いた人や疲れている人に語りかけるような歌詞を書きました。歌い方も小さな子供に語りかけるように、“神の涙”という別名通り、流した涙がフューシャに変わるイメージで歌っているんです。このアルバムには、本当にいろんなジャンルの曲が入っているけど、この曲のように最終的に聴いた人たちの癒しになれたら嬉しいですね。
アーティスト
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