【魔法少女になり隊】好きな人のもと
に何振りかまわず一直線に向かって行
く姿が私たちにリンクしている

L→R gari(VJ&Vo)、火寺バジル(Vo)、明治(Gu)、ウイ・ビトン(Gu)

今年1月に東名阪での初ワンマンツアーを大成功させ、一向に快進撃の勢いが止まることのない魔法少女になり隊からニューシングル「ヒメサマスピリッツ」が到着! 今回はバンド初のラブソングだ。
取材:帆苅智之

まずはメンバーさん自身がこの「ヒメサマスピリッツ」をどのようにとらえていらっしゃるのかをうかがいたいと思います。

バジル

『勝負の3rdシングルということで、ライヴで盛り上がる「ヒメサマスピリッツ」と、私たち初挑戦のラブソングで勝負してみました。何回言っただろう?というくらい“好き”って言ってます。』(注:火寺バジルは魔女に呪いをかけられて喋ることができないため筆談で返答)

そう。今回のシングルは“ラブソング”であることがポイントですよね。そもそもこの曲が生まれた背景というのは?

ウイ

この曲は以前『SXSW』(South by Southwest/毎年3月にアメリカ合衆国テキサス州オースティンで行なわれている大規模イベント)に出ることが決定した時、“海外でもうけるような曲を作ってくれ”というオーダーがありまして。

gari

それでド直球に、という(笑)。

ウイ

実際、それをアメリカで演奏してみて、すごくオーディエンスが楽しそうな感じがあったので、“じゃあ、日本でもやってみようよ”となって。みんな、すごく楽しそうにしてくれるんですよ。だから、この曲は絶対に自信があったというか(笑)、このタイミングで出せてすごく良かったというところはありますね。

gari

ライヴでずっとやってて…『SXSW』がちょうど2年前なので、丸2年ずっとやってきた曲なんで、ウチのライヴに来てくれている方々にはすでに定番というか、ライヴでのキラーチューンとして僕たちもセットリストには入れていて。

ウイ

そうだよね。すでにもう浸透しているというか。お客さんにもウチらにも。

そうですか。この和テイストにはどういった意図があったのだろうと思って聴いてましたが、『SXSW』でやるために作られた楽曲であれば納得ですね。

バジル

『仮タイトルが“わさび”だったんです。』

ウイ

そう(笑)。メンバーに伝える時に“和”が分かりやすいとういことで、“わさび”という曲を作りましたって。

では、この和テイストは新機軸ととらえられるかもしれませんが、もともと魔法少女になり隊が持っていたものであるという解釈でいいのかもしれませんね。

ウイ

そうですね。“こういうことにもチャレンジしていけますよ”という部分を一番最初に出した曲なんじゃないかと思うんですよ。

ただ、この楽曲、実は展開が結構変わってますよね。

ウイ

アレンジに関して言うと、何も考えずに、何も意識せずに、順番にどんどん作っていったんですよ。それで2番に入った時に“あ、これじゃあ、面白くないな”と思って、ちょっと違う展開をしてみて(笑)。で、その違う展開からサビに戻るのが何か気持ち良くて。それがはまったんで、面白い感じにはなったんですけど、メンバーからは“曲の構成が覚えづらい”と(苦笑)。

明治

複雑な曲ではありますよね。

はい。聴いていて、何度か“今、どこだっけ?”とは思いました(笑)。

ウイ

飽きないものにしたかったんでしょうね。多分、作っていた時はそう考えていたと思います。“ここでこう来たら、オッ!となる”とか、“ここですんなりとはいかせない”とか。

間奏でも三味線からギターのライトハンドにつながっていったりと、破天荒なサウンドには仕上がっていますよね。

ウイ

無茶苦茶なことがしたかったんですよね。“和楽器を使ったユーロビートってわけが分からないじゃん!”みたいな(笑)。まずそういうところがあって、そこから展開していって、途中でパンクになったり、そこで終わりと思いつつ、急にラウドロックが入ってきて…みたいな。しかも、ギターソロもある。これは本当に何でもありな楽曲ができたと思いますし、何でも楽曲に取り込んでいく姿勢は、もしかしたらこの曲でガツンとできたんじゃないかなと思ったり。

なるほど。魔法少女になり隊のチャレンジ精神のスタート地点だと?

ウイ

そうですね。新たなチャレンジのひとつですね。

ヴォーカルも歌いづらさはありましたか?

バジル

『歌というよりも歌詞が特徴的。それにより、良さというか、らしさを加えるために扇子を使ったパフォーマンスを取り入れてます。』

「KI-RA-RI」と「革命のマスク」との歌詞はメンタリティーを表現したものでしたが、「ヒメサマスピリッツ」はラブソングになっていますよね。これは過去の楽曲だからですかね?

バジル

『最初の歌詞からはリニューアルしています。』

gari

最初の歌詞はサビ頭の《めちゃくちゃ恋したっていいじゃん!》が以前は《めちゃくちゃ暴れたっていいじゃん!》だったんですよ。

バジル

『ラブソングにしたんです。』

それはどういった経緯で?

明治

基本的にはラブソングではあったんですけど、それよりもライヴで盛り上がるような、感覚的に楽しめる言葉だったりが多かったんです。なので、それをストーリー仕立て恋愛に寄せた歌詞にしていく作業をしたんです。シングルのテーマが“恋愛”ということで。

テーマを“恋愛”にしたのはどういう意図があったのでしょうか? 

バジル

『そこが新たな挑戦です。』

ウイ

今までは自分たちのことを歌ったような歌詞だったりするんですけど、今回は歌詞の中に主人公がひとりいるものになっているから、それが今までにないチャレンジで。表現の幅を見せたかったところはありますね。

バジル

『「ヒメサマスピリッツ」ではお姫様が《裾を破って 駆け抜ける!!》という歌詞が面白いと思っていて。好きな人のもとになり振りかまわず一直線に向かって行く姿が、私たちにリンクしているような気がしています。完成してからそう思うようになりました。姫も私たちも今まさに闘っている。私はそんなふうに考えながら歌っています。強く、凛々しく、美しく…という感じで。』

なるほど。恋の衝動にバンドの勢いを重ねているという感じでしょうかね。

ウイ

パンクだよね?(笑)

gari

このお姫様はかなりパンクです(笑)。

「ヒメサマスピリッツ」 2017年05月17日発売
Sony Music Records

  • 【初回生産限定盤(DVD付)】
    SRCL-9385~6 1800円

  • 【通常盤】
    SRCL-9287 1300円

魔法少女になり隊

マホウショウジョニナリタイ:2014年結成。ヴォーカルの火寺バジルが魔女にかけられた呪いを解くために冒険している女2&男2のパーティー。ラウドでポップでファンタジー。全ての針が振り切れたRPG系プロジェクト。8bit映像を使い、モッシュ、ダイブ、ヘドバン、ヲタ芸、パラパラが巻き起こるカオスなショーを繰り広げる。ジャパンカルチャーの美味しいところてんこ盛りな彼らにUSA・台湾公演など海外も夢中。16年9月メジャーデビュー。彼らの冒険は始まったばかり。※バンドです。

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