それは心の万華鏡のようであり、ときには自分の心を映し出す合わせ鏡でもあること。雨ノ弱の1stアルバム『シネマコンプレックス』は、「事実は小説よりも奇なり」な物語を詰め込んだ衝撃作!!!
「事実は小説よりも奇なり」という言葉がある。その言葉は、人が予想もしなかった現実を目の前にすると、理性ではなく感覚に導かれ突拍子もない行動に出てしまうことから生まれたと想像する。
ここに雨ノ弱というバンドが居る。楽曲に描き出す世界観を創りあげているのがヴォーカルとギターを担当する井上結夢。メンバーいわく、「結夢の人生は、まるで昼ドラのようにドロドロとしたもの」らしい。結夢本人も、「ノンフィクション(現実)の出来事が、あまりにも非日常過ぎることから、それを曲へ落とし込むときにはフィクション(非現実)の要素を加え, オブラートに包み込んで表現している」と語る。
どの楽曲も真実であり、綺麗に言うならダークファンタジーな世界観を持っている。別の言い方をするなら、現実社会のレールから逸脱した生き方/人生観を映した物語たちを、雨ノ弱は多種多彩な音をギュウギュウに詰め込んだ、トリッキーな展開を持って進んでゆくシアトリカルな音楽の中へ描き出している。自らを「現代的シネマティックロックバンド」と呼ぶ理由も、なるほど納得だ。
6月19日(水)に発売になる雨ノ弱の1stアルバム『シネマコンプレックス』には、映画で言うオープニングの役割を担う『Prologue』、エンディングの役割を持った『Epilogue』に加え、8篇の独立しながらも、根底では繋がりあっている映画(楽曲)が詰め込まれている。そのアルバムの魅力を紐解く前に、雨ノ弱の音楽性についてメンバーの言葉を借りて説明したい。
雨ノ弱が作る楽曲について、結夢は「”ボク”という主人公を軸とした一つの物語を楽曲に散りばめた音楽」をやりたいねというところから、雨ノ弱は始まりましたと語ってくれた。彼女の言葉を、もう少しだけ受け止めていただきたい。