ブギウギを集めたコンピレーションから服部良一作曲・幻の音源「シューシャイン ブギ」リリックビデオ公開
今年10月にスタートした連続テレビ小説『ブギウギ』が大きな盛り上がりを見せている。その舞台となる戦後期の昭和23年から30年ごろまでに大流行したブギウギ歌謡と街にあふれたジャズ歌謡の貴重なSP盤復刻音源を集めたコンピレーションCD『踊れ!ブギウギ』が好調な売上を見せている。
アルバムには、「浪曲ブギウギ」「アロハブギウギ」「彌次喜多ブギ」「おけさヴギ」などお座敷小唄や民謡に至るまで、ありとあらゆるジャンルを縦横無尽に踊る「ブギウギ」が収録されている。
その中でも特筆すべきは、服部良一 作曲、坊屋三郎 作詞の「シューシャイン ブギ」(1949年発表)。この曲は記録には残っていたものの、ながらくレコードが発見されなかった幻の音源である。今回、この楽曲のリリックビデオが完成し、YouTubeで公開された。
シューシャインとは靴磨きのこと。終戦直後の都市部には戦争で家族を失った子供たちが靴磨きをして日銭を稼いでおり、彼らは「シューシャインボーイ」などと呼ばれた。歌詞の中でも、まさに焼け野原で生まれた少年が泥んこの中から這い上がり、朝から晩まで靴磨きで生計を立てる逞しい姿が、ブギウギのリズムに乗って軽快に描かれている。《磨いて磨いて ピカピカと 光れば楽しい おいらの心だ》となんとも前向きな逞しい姿に、約75年経った今でも勇気づけられる気がする。
この曲に象徴されるように、『踊れ!ブギウギ』は、エネルギーとバラエティに富んだ戦後歌謡史を当時の音源でたどることができるアルバムだ。収録されているのは全20曲。いよいよドラマも戦後に差し掛かった連続テレビ小説『ブギウギ』を観ながら、当時の貴重な音源を聴いて、戦後復興期の人々のエネルギーを感じてほしい。