【GLIM SPANKY インタビュー】
“Goldmine”は生きている限り
尽きることがなく、みんなの中にある
L→R 松尾レミ(Vo&Gu)、亀本寛貴(Gu)
ここで歌い鳴らされている全てがエースで切り札。そして、それはスペードの強靭さ、ハートの偽りなき愛、クラブの幸福感、ダイヤの煌めきを兼ね備えている。耳を奪われるだけでなく心の深いところまで鮮烈に響いてやまない、キャッチーかつ深奥な粒揃いのアルバム『The Goldmine』。そう、GLIM SPANKYの存在意義はさらに進化/深化し続けている。
全曲に何かが起きる可能性を
持たせてあげた方がいい
ものすごいプライドを感じるアルバムタイトルだと思います。“Goldmine”という言葉にはどういった背景があるのですか?
松尾
このアルバムは“テイストは違えど、一曲一曲どれもが主役級”という想いで作っていったので、やっぱり意志を感じる強いタイトルであるべきだと思いまして。で、“Gold”がつく単語を探していた時に、“Goldmine”というアイシャドウを見つけたんです。それがひと際目立っていて、鈍く、だけどギラギラと光っているので、“Goldmine”っていいなと思って意味を調べたら、“金脈”“宝の宝庫”とあったから“これだ!”と。曲も一曲一曲主役級だと思って作っているし、“GLIM SPANKYっていうのはまだまだ知られていない宝の宝庫だぜ”と生意気を言いたいし(笑)。それと、“Goldmine”は生きている限り絶対に尽きることがなく、みんなの中にあるということを言いたくて、このタイトルに決めました。そして、どうしてそのタイトルにしたのかっていう想いを全部込めた「The Goldmine」という曲を最後に書いて、アルバムの1曲目に入れました」
いろんなアーティストの新しいアルバムを聴くと、いつもその中の何曲かがふとした時に頭の中で鳴るんですけど、このアルバムは全曲が鳴るんです。常に違う曲が頭の中で鳴る。これは一曲一曲が主役級だからこそなのかなと。
松尾
嬉しいですね。そういう表現は初めて知りました。確かに頭の中で鳴る曲ってありますよね。でも、それって限られているかも、好きなミュージシャンのアルバムだったとしても。それが全曲頭の中で鳴っているというのは、すごく光栄なことです。ありがとうございます。
ただ、ここに至るまでの道程にはいろいろあったかとも思われますが。そこでもっとも重要視していたことは?
亀本
どの曲もフィジカルとしてシングルカットできることですね。それくらいの気持ち、感覚で、一曲一曲を作ろうという話はしました。例えばサブスクがない時代だったら、リード曲が1曲目にあって、その曲を入口にしてかっさらえれば、アルバムの他の曲も聴いてもらえることができたわけです。つまり、ウケのいい1曲があれば、簡単には理解されづらいこともアルバムの他の曲でできる。でも、今はサブスクで全曲を聴けるから、“この曲でプロモーションします”と決めた曲だけがヒットの可能性を持っているというわけではないと思うんです。だから、アルバム全体において、どのタイミングで、どういう人に伝わって、どうなるかっていう可能性をできるだけ広く持っておきたいと。タイアップがついているリード曲しかブレイクの可能性がないっていうのだと、曲にとっても可哀想だし。だから、“全曲に何かが起こる可能性を持たせてあげたほうがいいよね”っていう話を松尾さんにもしました。“他の曲は誰でも聴きやすいように作ったから、この曲はそうじゃないふうにしたい”ではダメだっていう議論をめっちゃしたよね?
松尾
うん。かなり…本当にかなり(笑)。
亀本
ロック好きのマニアックな人なら分かってくれるものをやりたいと思ってやった曲は、もしかしたらマスに届く可能性が閉ざされた曲になっちゃうかもしれない。それは本意じゃないって。
松尾
そこでいい方向を自分たちで見つけて、納得のいくものを一曲一曲作っていった…という感じです。やっぱり作るからにはちゃんと聴かれたいし。でも、だからと言って分かりやすくするとか、レベルを下げるのではなく、自分にとって越えるべき部分はちゃんとクリアーして。曲、メロディー、歌詞、全ての面において、その壁を越えられるように、突破できるように、挑戦しながら今作は制作していきました。
そういうところで言うと、初の恋愛モノとされる「ラストシーン」を作ったことはすごく良かったんだと思いました。
松尾
あっ、良かったです! あれは自分でも気に入っていますし、ああいう曲も作れるという側面を見せることによって、“GLIM SPANKYとしての幅をしっかりとまず見せてから、その他の曲でさらに!”というきっかけになったので。自分でもやって良かったと思っています。
亀本
この曲はめっちゃ良くできた手応えがありますね。
松尾
歌詞も自分を出すというよりは作家的な視点で書いたほうが面白いんじゃないかと思って作った曲なので、本当に新しい作り方を発見できた感じはしています。
でも、リゾート感のあるサウンドに《借りた本》という言葉を乗せるのが、なんともレミさんらしいなと(笑)。
松尾
そこはちょっとインテリ感というか(笑)。結構お気に入りポイントですね。
亀本
“ビーチで水着を着ます”じゃない文化系のインドア(笑)。
松尾
そうかも!? いいじゃん!LINEするしないじゃなくて、本を貸し借りするのって。
アーティスト
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