【angela インタビュー】
原作を読んで、とにかくシンプルで
カッコ良い曲しかないと

L→R atsuko(Vo)、KATSU(Key&Gu)

『蒼穹のファフナー』シリーズの楽曲を34曲担当したことで、6月にギネス世界記録™の公式認定を受けたangela。注目の新曲「AYAKASHI」はテレビアニメ『AYAKA -あやか-』のオープニングテーマで、和の要素、メロディックな疾走感、期待と不安をはらんだ詞世界と、物語にぴたりと重なるロックチューンに仕上がっている。秋にはアルバム、10月からはライヴツアーも決定と、デビュー20周年イヤーの勢いは止まらない!

サビ頭の“無我夢中で”を
見つけるのが一番大変だった

メジャーデビュー20周年を迎えた今年はリリースも精力的で、この「AYAKASHI」で3作目になりますね。

atsuko

えっ、そうなんですか!? 制作したのは1年以上前なので、今ひとつピンとこない(笑)。

「AYAKASHI」がオープニングテーマになっているテレビアニメ『AYAKA -あやか-』は、angelaとも親交の深い作家集団GoRAが『K』以来10年振りに手がける新作アニメということは楽曲のオファー自体はかなり前だったり?

atsuko

そんなこともないんですけれど、GoRAのみなさんには『K』シリーズでお世話になっていて。一緒に鍋をやったり、カードゲームで遊んだりしていたので、新作を作っているという情報は、ずっと前から入っていました。

KATSU

もう4、5年前だよね。

atsuko

ただ、それを“angelaさんにお願いします!”と言われたのはストーリーが固まってからだったので、オファーをいただいた時は“やったぁ!”ってなりましたね。

KATSU

そこでシナリオをいただいて、一読者として読んだ時に、まず“カッコ良い!”というのが第一印象だったんです。もちろん『K』とはまったく違うお話なんですけど、物語の描き方やストーリーの展開の仕方がGoRAっぽい…今っぽく言うとエモーショナルなんですね。純粋に読者として楽しんで、そのあとふたりで“曲、どうしよう?”ってなり(笑)。でも、お互いが持った最初のインスピレーションもそんなに遠いところにはなくて、とにかくシンプルでカッコ良い曲しかないんだろうなと。

まさに、清々しく疾走するロックチューンに主人公である八凪幸人の想いが乗せられた、シンプルにカッコ良い楽曲ですよね。

atsuko

最初は私ひとりで曲を作っていたんですよ。2年前ぐらいに始めたアコースティックギターをジャカジャカかき鳴らしつつ、“頭はこういうメロディーが良いなぁ”って作っていったのが、結構シンプルなコード進行だったんですね。初心者でも弾けるレベルで“これなら私もライヴで弾けるかも!?”と思いながら進めていって、ある程度できた段階でKATSUさんに渡して、全体の構成を含めて膨らませていったという感じです。

KATSU

一番大変だったのはサビ頭の“無我夢中で”だよね。いろいろ紆余曲折あって、この言葉が出てきたのは本当に最後で。

atsuko

めっちゃ大変だった! ひと言で主人公の八凪幸人の心境や状況を表せて、かつ耳触り良くメロディーに合致する言葉を探したら、なかなか見つからなかったんです。KATSUさんは最初、どうしても“しゃらくせぇんだ”にしたいって主張してたんですけど、私は“キャラクター的に幸人はそんな言葉は使わない!”と力説して。

KATSU

とにかくインパクトのある、普段あまり聞かないような言葉でサビの頭を飾りたかったんです。最初はサビの2回し目に使ってる“息 殺して”をハメていたんですけど、それはあとに回してさらにインパクトのある言葉を持ってこよう…って、10回くらい試したよね?

atsuko

そう。実際“しゃらくせぇんだ”で仮歌も録りましたし。

KATSU

でも、“これは違うな”ってなって。いろいろ出した中で、やっぱり“無我夢中で”が一番しっくりくるとなったんです。

追い詰められながらもトライしたいんだという幸人の心境をうまく表していますよね。ただ、物語は幸人が児童養護施設から、故郷である綾ヵ島に連れ出されるところから始まるのに、“Once again”(=もう一度)という言葉が出てくるのはなぜなんでしょう?

atsuko

それに関して言うと…もともと幸人は友達が欲しかったんですよ。でも、人とは違った能力を持っていることでうまくいかず、だったら人とかかわらないほうがいいと自分の中で線を引いていた部分があるんですね。だから、トライしてもダメだった経験を何度かした上での“Once again”なんですよ。

なるほど。幸人は生まれつき水を操る力を持つ少年ということですから。

KATSU

水にまつわるお話ではあるので、水に関するワードは歌詞にも散りばめていますね。

atsuko

“波風”とか“This wave”、“流れ”…“掬い取った”もそうですね。ちょっと水が流れるような効果音が入っていたりもします。

そもそも舞台が島ですもんね。やっぱりangelaは島に縁があるんでしょうか?

atsuko

確かに縁がありますね! なんか独自の文化があるような雰囲気があるじゃないですか、島って。

KATSU

この作品の中で島はかなり重要な役割を果たしているので、まったくおかしくないんですよ。

頭に琵琶の音色が入っていて、そこはかとなく和のムードがあるのが、よけいに島っぽいですよね。

KATSU

むしろ制作サイドからは“あまり和風に寄りすぎないように”とも言われていたんですよ。でも、キャラクターとか設定を見てみると和のイメージがあったし。

atsuko

背景も神社みたいなのがあったりするんです。

KATSU

そもそもアニメのタイトルの“AYAKA -あやか-”からして、思いっきり日本語じゃないですか。サビに《AYAKASHIが》という歌詞も出てくるので、和はどうしても入れたかったんです。最終的に曲タイトルも“AYAKASHI”になったので、結果的に良かったですね。

えっ? タイトルが“AYAKASHI”だから歌詞に出したのではなく、逆だったんですか?

KATSU

一応『AYAKA -あやか-』だから“AYAKASHI”なんだよね?

atsuko

まぁ、そうだけど。“あやかし”って辞書で調べると“得体の知れないもの”と出ていて、そういうものって自分の中にもあるじゃないですか。何だか分からない、得体の知れない不安要素によって押しつぶされそうになるとか。そういった部分をどこかに言葉で入れたかったんです。

つまり、得体の知れないものというのは自分の中にも潜んでいるということですね。深い!

atsuko

ありがとうございます(笑)。個人的には2番Aメロの《期待っていう扉を 不安ってやつがノックする》も気に入っていますね。“期待と不安が交錯する”みたいな言い回しって、よくあるじゃないですか。それを何かに例えながら表現したかったんです。まぁ、2番なんでアニメでは流れないんですけど(笑)。

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