マルーン5、来日公演ライヴレポート
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今回の来日は、シンガポールからスタートしたアジア・ツアーの一環で、日本公演はちょうど中盤にあたり、東京と大阪で3公演を行うが、いずれもドームが会場だ。入場ゲートに辿り着くまで大行列で、だいぶ時間がかかったが、その間に耳に飛び込んでくる会話は、方言がいろいろ混じっていて、チケット争奪戦を勝ち抜いたファンが全国から集まってきたことがわかった。
アルバムもシングルも時間をかけて、じわじわとヒットしたから、この曲がチャートを昇りつめたのは2004年だったはず。それでも19年前のヒット曲だ。観客の年齢層は幅広く、小さな子を連れた親子、カップル、高校生、女性2人組などさまざまだが、そのなかでも人数的に目立っている20代がまるで最新ヒットのように熱狂するのは驚きだった。
だから、自ずと気持ちが曲に集中していくわけだけれど、「Animals」で起きた大合唱などを聴くと、ドームに響き渡る観客の歌声とこの光景を思い描きながら書いたのだろうと、彼らの曲作りが垣間見えてくる思いがする。会場の一体感を作り出す曲がいくつもあるのだ。そんなことをつらつら思うなかで、「What Lovers Do」、「Maps」などが続いた後、「Harder to Breathe」が始まった。
そして、アリーナに張り出して作られた小さなステージに椅子が3つ置かれて、そこにアダム、ジェシー・カーマイケル、ジェイムス・ヴァレンタインが座る。デビュー時からのメンバー3人だ。アダムがMCで17年前の初来日から始まった日本との関係を少し話し、アコースティックセットで歌い始めたのは「Payphone」。意外な選曲だけれど、違和感はなく、反対にアコギ2本のシンプルなアレンジに彼らの歌のポテンシャルが感じられた。
アンコールは、大きく異なる編成となった。ドームのような会場ではその規模に負けない音量が求められる。現在は6人編成で、キーボードがソロでも活動するPJモートン、ベースがサム・ファラーである。アダムのハイトーン・ヴォイスは、唯一無二の魅力だけど、繊細な声質ゆえにともすると、そこに埋もれがち。その声をじっくり聴かせてくれる編成だ。
バルーンとか、紙吹雪とか、火とか、水とか、東京ドームで見てきた派手な演出はほとんどない。ステージセットもライティングも衣装も特別豪華なものではない。コンサートの中心にあるのはあくまでも誰もが聴きたいヒット曲。それをどう編成することで、また、どういうアレンジを加えることで、ライヴ・パフォーマンスで一番輝かせられるのか。そこのこだわりが貫かれていたと思う。ここがポップ・バンド、マルーン5の魅力であり、覚悟にさえも感じられた。
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