【ライブレポート】スタ☆レビ40周年
<東西合わせて108曲 煩悩ライブ>「
スターダスト☆レビューは幸せ者です
!」
6月11日(土)大阪城ホール公演と合わせ、2公演で全108曲を披露するという、途方もないマラソンステージ。この日の公演だけで、通常のライブ2本分を優に超える長さだ。
108曲とはタイトル通り、煩悩の数に引っ掛けたもの。彼らはデビュー20周年の2001年に、静岡県のつま恋多目的アリーナで開催された<つま恋100曲ライブ>を行っており、24時間で最も多く演奏したバンドとして、ギネス世界記録にも認定されている。あれから20年。メンバーは全員還暦を超えたが、彼らの新たなる挑戦を支持し、40周年を祝福する数多くのファンが会場を訪れた。
5曲歌い終えたところで最初のMC。今回のライブは、曲を演奏するだけでも5時間あるというが「私のMC次第で8時間にも9時間にもなります(笑)。しかし、それは許されることではありません」と笑いを取り、トークは3分と決めている、と宣言しつつ、早速の約束破り。3分オーバーの合図を告げる演出があり、会場は大爆笑に包まれた。
さすがに58曲となると、全体の曲構成をどうするのか気になるが、彼らはパートごとにテーマを決めて演奏するかたちをとった。まずは“アルバムの1曲目コーナー“ということで、ホーン・セクションとともに「噂のアーパー・ストリート」「街まで50マイル-My Old Friend-」「KEEP ON ROLLIN’」。MCを挟んで今度は“アルバムの2曲目コーナー“で、「ラッキーレイン」「未来は今に」「昔話を繙くように」と、やや通向けの渋い3曲を。
前半戦のハイライトと呼べるのが、“MVやLIVE映像とともに40年を振り返るコーナー”で、根本曰く、「PVで見る老化現象(笑)」。バックのスクリーンには当時のメンバーたちの映像が映し出され、現在のメンバーがステージで演奏するという仕掛けだ。
1985年の「想い出にかわるまで」は、スタ☆レビの初PVで、東京郵便貯金ホール(現ゆうぽうと)での公演の模様。黒のイタリアンスーツに赤のシャツ、サングラスにネクタイ姿のメンバーは、クールでスタイリッシュ。途中から85年の根本と現在ステージで歌う根本の映像が切り替わり、ルックスよりもファッションの変化に目が行ってしまう。
97年の「何やってんだろう」は、地元・埼玉ロケを敢行。行田、羽生、熊谷とメンバーゆかりの地を歩くアットホームな映像だが、ソバージュのロングヘア姿の根本が映し出されると客席から軽いどよめきが起きる。続く2000年の「What is Love?」では、ブルージーな楽曲に合わせ、スタイリッシュなモノクロ映像に。2010年の「夢への地図」は再び、埼玉が舞台。地元の中学を訪れ、メンバーが学生たちと一緒に歌ったりギターを演奏したりと温かい交流が映し出される。そして最新アルバム『年中模索』から「偶然の再会」に。
ここからは一転、“人生の悲哀を歌った悲しい曲のコーナー”へ。中村中が作詞、根本の作曲というコラボで生まれた09年の「潮騒前夜」をしっとりと。多ヶ谷樹が奏でるバイオリンの響きも物悲しく、「どうして」「涙のエピローグ」と名バラードが続く。
前半戦最後は“歌いまわしのコーナー”。少しは俺を休ませろ! ということで、根本以外のメンバーがヴォーカルをつとめる。「デェラ・シエラ・ム」はCHAGE&ASKAとのコラボ曲をドラムの寺田正美、ベースの柿沼清史、根本、パーカッションの林“VOH”紀勝、そしてサポートメンバーのキーボード添田啓二とアコギの岡崎昌幸がリレーで歌い継ぐ。さらに「月光列車(ムーンライト・ロコモーション)」「大渋滞」と続き「4曲目は内緒です! 内緒ですって曲じゃないよ(笑)」とジョークを飛ばし、その内緒の4曲目を歌い終え前半戦が終了。ここまでですでに26曲を歌い終え、3時間近くが経過。ライブ1本分を軽く超える長さだが、実はまだ予定された楽曲の半分も終わっていないのである。
30分の休憩中には、映像によるグッズ紹介が行われ、観客はロビーで軽い食事をとったりトイレに行ったりと、思い思いの時間を過ごす。そして、時計の針が17時に近づく頃、後半戦の開始となった。
ピンクのジャケットと赤いパンツ・スタイルに着替えた根本が再び登場。他のメンバーもラフないで立ちで、後半はアリーナ中央のサブステージに移動しての、アコースティック・コーナーからスタート。「What A Nite!」は、小編成で行われる小さな会場のオープニングでよく演奏される曲。出だしを根本が間違えるハプニングもあったが、次の「Spice of Life」では、スパニッシュ風の楽曲に合わせ、間奏でメンバーのソロ・プレイで繋いでいく。個々のプレイヤーの凄腕ぶりがダイレクトに伝わる名演だ。ホンキートンクな「ダンスはいかが?」を歌い終え、ここでスタ☆レビのライブでは欠かせないアカペラへ。そのハーモニーの力量を見せつける「不思議なチ・カ・ラ」と、唯一のカヴァー曲「オリビアを聴きながら」を披露。
後半戦もユニークなコーナー分けが控えている。まずは20曲近いタイアップ作品の中から、TVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディング主題歌「うしみつジャンボリー」、カネボウ化粧品90年春のキャンペーン・イメージソング「君のキャトル・ヴァン・ディス」、そしてメニコンソフト MAのイメージソング「Stay My Blue-君が恋しくて-」を。このあたりからシティ・ポップ寄りのナンバーが続き、その流れのまま、根本以外のメンバーがヴォーカルを担当するコーナーへ。まずは柿沼のヴォーカルによる軽快なカリビアン「Moonlight Party」、次いで林がファルセットを駆使し、トロンボーンとの艶っぽいコラボで歌うメロウ・スウィート・ソウル「さよならの足音」、そして寺田がファンキーな16ビートを刻みながら歌う「Cassiopeia」。楽曲もサウンドも演奏も、彼らの高い音楽性を証明するナンバーが続く。
今度は彼らのスタッフが選んだシングルの名曲群。3年前、「Single Night」、夏の野外公演での定番「7月7日」、そして「いのちのこたえ」「追憶」と、さらなる名曲を連打。バラードだけでもこれほど豊富なレパートリーがあることに、改めて驚かされる。
ライブもついに終盤戦。「ここからはガン!ガン!ガン!と盛り上がらせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか!」その言葉の通り、再びホーン・セクションを加えて、「Baby,とりあえずもっと」。続く「AVERAGE YELLOW BAND」は、WE ARE THE BANDという歌詞の通り、彼らのテーマソングともいうべき楽曲。この時点で53曲目だが、疲れもみせず、逆に一層パワーアップしていくステージングには驚愕させられるばかり。特に、歌って、喋って、ギターを弾きまくって、フロントに立ち続ける根本要は、悲壮感もみせず安定した高いパフォーマンスを披露。その精神力の強さ、サービス精神の旺盛さに応えるかのように、次の「働きたい男のバラッド」では観客が拳を振り上げてノリまくる。「Goin’Back To 1981」は、ライブこそ命、町から町へと演奏を届けに行く、彼らのツアー・バンドとしての生活を歌ったロックンロール・ナンバー。コール&レスポンス・スタイルも、観客はマスク着用で声が出せない分、思い切り腕を振り上げて応える。「No! No! Lucky Lady」では、両手を高く上げ、観客とバンドが一体化した。
撮影:渡部 伸
アーティスト
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