【空想委員会 インタビュー】
変にこねくり回して考えたりせず、
自然に出てきたものを曲にしていった
L→R 岡田典之(Ba)、佐々木直也(Gu)、三浦隆一(Vo&Gu)
初の全国流通盤ミニアルバム『恋愛下手の作り方』(2011年12月発表)から10年。2021年6月のワンマンツアー『社会復帰』でもって約2年振りに活動を再開し、ついにアルバム『世渡り下手の愛し方』をリリース! 原点回帰とも言うべき新たなスタートを迎えたメンバーに、新作と現在の心境について語ってもらった。
何かに縛られたりせず、
自由に活動している
2年振りに空想委員会として活動をしてみていかがでしたか?
佐々木
“帰ってきたな~!”という感覚と新鮮な感覚、両方を味わっています。活動再開してからマネジメント周りを自分たちでやっているので、ワンマンやイベントをやるためにライヴハウスに電話をしたのも初めてで(笑)。一から勉強していることもたくさんあって、全部含めて楽しんでいますね。
岡田
青春の続きが始まった感じがしています。結成したての頃はどんなことも3人で動いていて、中でも三浦さんが司令塔であり実行部隊だったんです。今はなおぴー(佐々木の愛称)と僕も力がついて、3人で協力しながらバンドを動かしています。
佐々木
純粋に好きだから音楽をやっているし、休止前以上に自分たちのやりたい音楽を追求できる環境ですね。何かに縛られたりせず、自由に活動している。携わってくれる人たちも、そんな僕らについてきてくれてるんです。
2010年に結成し、事務所に所属が決まって2011年にインディーズデビュー。2014年6月にはアルバム『種の起源』でメジャーデビューと、空想委員会は常に大きなシーンで活動してきたバンドですものね。休止までは背負うものも多かったのではないかと推測します。
三浦
かかわってくださる方々がいる手前、“ちゃんとしたものを作らなきゃいけない”という気持ちが強すぎたんだと思います。だから、“本当にこの曲でいいんだろうか?”と不安になるし、自分の技量に自信もなくて。レコーディングもあまり好きになれず、新譜のリリースのたびに憂鬱な気持ちになっていました。でも、そんな作品をスタッフさんは必死で売ろうとしてくれる。“それなのに俺はこれでいいんだろうか?”とどんどん考え込んでしまって。
佐々木
三浦くんは真面目だから考えすぎちゃうんだよね。責任を背負うほどにどんどん身動きがとれなくなって本領発揮できなくなるタイプだから。
三浦
でも、休止したことで“曲を作らなければいけない”というプレッシャーがなくなったんです。今はいい曲ができたからレコーディングしたいし、レコーディングしたならバンバン出したい。休止前と再開後では責任の持ち方が変わって、自分の作りたい音楽をちゃんと作ることに集中できています。
今作は空想委員会らしい作品というより、三浦さん、佐々木さん、岡田さんらしいアルバムだと思いました。それこそおっしゃっていただいたように縛られていない、お三方それぞれが自由にさまざまなチャレンジをしている作品というか。
三浦
うん。その通りですね。
岡田
とにかくやりたい曲をそれぞれが作って、それぞれがいいと思う曲を集めたアルバムです。変にこねくり回して考えたりせず、自然に出てきたものを曲にしていきましたね。そういうものを作れば、必然的に空想委員会に合う曲になるので。
佐々木
活動再開のワンマンツアーを終えて、7月からそれぞれ曲作りに入ったんです。フルアルバムだから曲数も多いし、僕としては三浦くんと岡田くんには作れない曲を作ろうと思っていました。活動再開後初作品、3年振りの新譜、おまけにデビュー10周年のタイミングということもあって、勝手にプレッシャーを感じていて。
三浦
まぁ、ハードルは上がるよね(笑)。
佐々木
そのプレッシャーから目を背けることはできなかったです(笑)。岡田くんも僕も休止中はプロのプレイヤー、プロの音楽家として活動してきていたので、“2年経っても何も変わってねぇな”とは思われたくない! せっかく出すなら“すげぇ良くなっている!と思われたい”というプライドもありました。メンバーに対して特にその意識が強かったです。“この2年、何をしていたの?”なんて思われた日にはもう!
全員
あははは!
佐々木
アレンジもそれぞれの曲でテーマを立てて組んでいって、「縋る蜃気楼」は今っぽいバンドサウンド、「全速力ガール」は三浦節が効きまくったメロディーなのでザ・空想委員会なアレンジを目指して。「トリガー」はいいメロディーだったから、それを映えさせるトリッキーなアレンジにしたり、「Dodo」はもともとアップテンポだったものをメロディーを活かすためにロックバラードにしたりと、それぞれにフックになる要素を入れていきました。いろんなタイプの曲が揃ったけど、やっぱりどこか陰があったり、マイナー調の楽曲になっているのは、やっぱり自分はそういうものがカッコ良いと思うし、好きなんだろうなと思いましたね。
今作では、岡田さん作曲の楽曲はご自身でアレンジなさっているようですね。
三浦
岡田くんがLeo-Wonderに提供している楽曲はアレンジも岡田くんなので、“それなら空想委員会でもアレンジやるよね?”という無言の圧がありました(笑)。
岡田
自分の作った曲とはいえ、空想委員会の楽曲のアレンジを考えるのは初めてだったから、自分としては結構大きな挑戦でしたね。それこそプレッシャーがあったりしましたが、アレンジとベースは“休止前とちょっと変わったな”と思わせたくて頑張りました。
佐々木
岡田くんは今回のアルバムで今まで持ってなかった引き出しのベースを4、5個くらい入れてるんですよ。おっ!と思ったら“カッコ良いじゃん”と声をかけて(笑)。
岡田
そうやって言ってもらえると嬉しいですよね(笑)。今まで知らなかったことを勉強して、それを早速取り入れていきました。出し惜しみしないのは、三浦さんとなおぴーから学んだことでもあります。
佐々木
新鮮ですごく面白かったし、岡田くんもいろんな現場でベースを弾いているから成長してるんだなと実感しました。新譜聴いた人に“懐かしい”と思われたら、本当にただ2年間休んでいただけだもんね(笑)。
三浦さんにはおふたりのような感覚はありましたか?
三浦
僕はふたりとは真逆でただ休んでいただけなので、ミュージシャンとしては退化しているかも(笑)。でも、配信したり、お遍路に行ったり、音楽以外のことが充実していたから、今回の曲たちもお遍路から帰ってきて一週間で10曲くらい作ったんですよね。だから、3年振りの新譜というプレッシャーも一切なく(笑)。いつもどおりに弾き語りで作って、それを佐々木にアレンジしてもらっています。
岡田
三浦さんは技量や経験を積んでいい曲を作るタイプではなくて、メンタルを整えることが一番のクオリティーアップにつながるよね(笑)。
佐々木
確かに。三浦くんにはつらい練習をするよりは楽しいことをしてほしい。そのスタンスが成り立つのも全部、三浦くんがちゃんと考えて行動できる人だからですね。
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自分にかけていた呪縛から解放されたアーティスト
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