【THE BACK HORN インタビュー】
キャリアを重ねてきたからこそ、
堂々と胸を張って言えるタイトル
L→R 岡峰光舟(Ba)、菅波栄純(Gu)、山田将司(Vo)、松田晋二(Dr)
ニューシングルの「希望を鳴らせ」はまさにTHE BACK HORNらしいストレートさや疾走感、揺るぎない信念が詰まった、今後の新たなライヴアンセムになっていくであろう名曲だ。コロナ禍における心情の変化なども含め、山田将司(Vo)に話を訊いた。
ライヴをイメージしながら
THE BACK HORNのど真ん中を目指した
「希望を鳴らせ」は今の不安定な世の中の状況にとてもしっくりくる言葉が歌われていて、ともすればぐらついてしまいそうな気持ちを強く奮い立たせてくれる素晴らしい曲でした。
ありがとうございます。今、この曲を生み出せたことが嬉しいです。“希望を鳴らせ”というタイトルで栄純が歌詞を書いてきてくれた時、たぶんこの曲は自分たちのひとつの指標になるだろうなって、かなり大きな旗が立った感じがしたんですよね。
そんな「希望を鳴らせ」が生まれた背景からうかがわせてください。今なお続くコロナ禍の日々ですが、この2年弱を振り返ってみて将司さんはどんなことを思い出しますか?
コロナ禍の前なんですけど、2019年の終わり頃、アルバム『カルペ・ディエム』(2019年10月発表)のツアー中に喉の療養が必要となってしまい、そこから今に至るまでがずっと一連で続いてる感覚なんですよね。苦渋の決断でライヴを中止にして、声帯ポリープの切除手術を経て、そろそろ振替公演をというタイミングでちょうどパンデミックになってしまったので。かなり絶望に苛まれた時もありました。もともと落ち込んでいたところに、今までに経験したことのない事態が重なって、自分はどうやって音楽と向き合っていけばいいのかと。“生きている意味は何だろうか?”ということを考えたりもしました。
物理的にもライヴができない状況になってしまいましたからね。
そうですね。他のミュージシャンもそうだったと思うけど、その時間をなんとか乗り切るしかなかった。YouTubeチャンネルを作って配信するみたいな器用なことはできなかったですが、自分なりにやれることを探していった感じがします。“今だからこそできることは何だろう?”と考えて、コロナ禍の初期の想いを「瑠璃色のキャンバス」(2020年6月発表の配信シングル)で打ち出したり、俺の地元・茨城の音楽シーンを支えるために動いたり(山田将司とCOCK ROACHの遠藤仁平が発起人となり、新型コロナウイルスで苦しむ水戸の音楽シーンの活性化のために“ヒカリノハコ”プロジェクトを立ち上げ、2020年8月に茨城出身のアーティストを集めてコラボ楽曲「命の灯(ともしび)」をリリース)。そうするうちにライヴも少しずつできるようになってきて、無観客の配信ライヴや『カルペ・ディエム』の振替公演、ストリングス隊を入れたツアー(2021年5月〜6月に実施された『「KYO-MEIストリングスツアー」feat.リヴスコール』)をやりながら、だんだんと歌うことを取り戻していきましたね。でも、まだ何も答えは出ていないという気持ちもあります。以前のように活動できているわけではないじゃないですか。
確かに。
ライヴの感じがもとに戻ったわけでもないから、何が起こるか分からない状況というのはずっと続くんだろうなと思っています。もちろん今までもそうだったんですけど、改めて強く覚悟し直しましたね。「希望を鳴らせ」はそんな心境のもとに生まれた曲で。次のアルバムへ向けて動き始めて、メンバー間で作詞作曲の振り分けとか曲調とかを話し合っていた時に、THE BACK HORNのど真ん中と言えるような楽曲を俺が作ることになったんです。
THE BACK HORNのど真ん中というのは?
8ビートで疾走感があって、剥き出しというか、本当に着飾っていないストレートな曲ですね。ライヴで言うと、後半の展開をグッと締めてくれるような。今年のストリングスツアーが終わった頃に作った曲なんですよ。
THE BACK HORNのライヴの映像が鮮やかに目に浮かんでくる曲でした。
そう感じてもらえて嬉しいです。ライヴをイメージしながら作った曲なので。やはりこのご時世に現場で目撃するお客さんの表情とか動きとか、マスクをしていて顔は目の部分しか見えなくても、感じるものがいっぱいあるんですよ。どういう覚悟を持って足を運んでくれているのかが伝わってきますから。もちろん声を出してワーッとやれていた頃も素晴らしい瞬間にたくさん出会ってきましたけど、今ならではの想いだったり、どれだけお互いを信じ合っているのかが見える気がして。お互いが信じ合わないと、この状況でのライヴって成功しないと思うんです。
そうですよね。
成功できているありがたみ、お互いの関係性を実感できたのは大きかったです。これを受けて、自ずと“俺たちはどういう音楽を表現していくべきなのか?”と考えるようになって、「希望を鳴らせ」につながっていったと思いますね。
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