【超特急 インタビュー】
10周年を迎える超特急の、
また別角度からの集大成

L→R タクヤ、リョウガ、ユーキ、カイ、タカシ

世界各国の音楽をダンスミュージックに昇華した万国アルバム『Dance Dance Dance』。K-POP的なリード曲にロシアンハードベース、ヨーデル、フラメンコと実にワールドワイドな要素を取り込み、歌詞にも各国の言語が用いられている。加えて超特急史上初の試みも満載! こんな時代だからこそ“世界を元気に”をテーマに活動してきた5人が贈る、とにかく濃厚すぎる一枚だ。

メンバーがプロデュースに入ることで
おのおのの個性を強化していきたい

7月に配信された「CARNAVAL」の取材で、想定外のサンバ曲になったことについて“11月頃には全部の点と点が結ばれる”とカイさんがおっしゃっていましたが、今回の『Dance Dance Dance』を聴いて“なるほど!”と納得しました。

カイ

そう! 世界各国の音楽を取り入れたアルバムを作るっていうのがゴールだったんですよ。さっき確認したら、もう4月の段階で衣装とかジャケット写真とかの話をしていたので、企画自体は超特急の妹分として活動したBULLET PINKの頃から動いていたんじゃないかな?

BULLET PINKのMVは空港で撮影されていましたから、そこから各国に飛び立って世界を回るというとらえ方もできますよね。

ユーキ

そうなんですよ! しかも、今回のアルバムはジャケットとかアートワークとかのビジュアル回りでカイがプロデュースに入っているんです。メンバーがかかわって作ったほうが絶対に面白いと思うんで、そのアイディアをマネージャーさんから聞いた時は“ぜひやってください!”って感じでしたね。

カイ

もちろんダンスとかのパフォーマンス面はユーキ中心なんですけど、衣装とかMVも含めてビジュアル面は任せてもらいました。

タクヤ

各々の個性を強化していきたいから、僕もメンバーが一括して担当することには賛成ですね。この流れでカイには次の作品でもプロデュースに入ってほしいし、ライヴの衣装プロデュースも今は僕やタカシも交替でやっているけど全然譲りますし。ダンスはユーキ、ビジュアルはカイっていうふうに定着していってほしいから。

ユーキ

タクヤは絵作りとか上手だからMVを担当してもらっても面白いかも。で、タカシとかリョウガには音楽面で入ってもらいたい。

タカシ

うん。僕もやりたいから、まさに今、勉強しています。リョウガはピアノもできるし。

タクヤ

ピアノ先行で音を作って、タカシに歌を入れてもらえば、それで一曲できるじゃん。それでこそアーティストでしょ!

リョウガ

えっ、それってYORUDAN(超特急のコント企画に登場するユニット)じゃないの?

確かに、あれもリョウガさんがキーボードでタカシさんが歌っていましたが(笑)。話を戻して、今作は収録曲それぞれにモチーフとなる国があるということで、レコーディングでは現地の風景を見ながら歌ったりしたんでしょうか?

タカシ

いや、まったく。いつも通りのスタジオで、いつも通りの環境でしたね(笑)。もちろん事前に調べたりはしたので、例えば“ニューカレドニアってきれいなところなんだなぁ”とか“実はフランス領なんだ!?”とか、新しい発見もあって面白かったです。楽曲的にはロシアンハードベースを押し出した「Добрый день(ドーブリジェン)」みたいに、完全にその国の音楽を使った曲もあれば、“その国っぽい”っていうイメージで作られた曲もあって、モチーフとなっている国と曲とのつながりは個人の解釈次第って感じですね。

リョウガ

例えば「大大大地」だと、僕はアフリカに行ったこともないし、そこで流行っている音楽も知らないけど、聴くと完全に“アフリカだな!”って思える不思議な曲になっているんですよ。リズムや歌詞もパワー漲る感じで、アフリカの国名をみんなでコーラスしていたり、途中にちょっと儀式っぽいパートもあったりして、すごく癖になりますね。

タカシ

あそこは“平和が訪れますように”という意味のスワヒリ語を一発録りしたんですよ。ちなみにAメロに出てくる“プリン飯”が気になって調べたら、何も出てこなかったです…

リョウガ

そこは語感だけだよ。作詞が「SAY NO」も作ってるcorinさんなんだから、きっと何も考えてない!

タクヤ

おい! 怒られてこい、corinさんに!

ユーキ

まぁ、太鼓とかの民族楽器が入っている曲だからリズムが大事ですもんね。逆に「Yodelic Fire」とかはスイス独特のヨーデルが入っているのに、曲全体としては現代的なダンスチューンになっているのがいいなぁって。スイスの人にも受けそうだし。

歌詞にはスイスの地名やスイスならではの単語も満載ですからね。

ユーキ

モチーフの国にまつわる単語がどの曲にも入っているんですよね。

タカシ

「Yodelic Fire」はワンちゃんも2匹出てくる(笑)。この曲はBメロにうっすら入っているコーラスがめちゃめちゃ気持ち良いんです。サビに向かって行く感じといい、ライヴのイメージも浮かびやすいので、ぜひ耳を澄まして聴いてほしいですね。

タクヤ

「Dance Dance Dancing!」もライヴ向けだと思う。アメリカをイメージした曲で歌詞も全部英語だし、すごく流行りのサウンドになっているんですよ。

タカシ

象徴してる感はあるよね。メロの感じといい、いろんなアーティストが歌い継いできた歴史ある曲調っていう感じ。この曲はコーラスも海外の方が入れてくださいました。

タクヤ

“一緒に踊ろう”と伝えている歌詞も、このアルバム全体のテーマに沿っている気がするんですよね。あと、アメリカのいろんな都市をうまく紹介しているんで、みんなでアメリカのタイムズスクエアに行って、この曲で…TikTokを撮りたいですね!

リョウガ

なんでTikTok!?  MVを撮れよ!

カイ

僕は「Sonrisa」を聴いた瞬間に“うわぁ、スペイン!”って思いました。サビで始まる曲の入り方も他と違っていてカッコ良い。歌っている内容は悲しい恋っぽくて、男性が書く女性目線みたいなノリも感じたし、すごくドラマチックで僕は好きですね。

途中、ギターやカスタネットで完全にフラメンコになりますからね。まさに情熱!

タカシ

だから、超特急ぽくない感じで、正直言って不安でした。

ユーキ

今までの超特急にまったくなかったタイプの曲だしね。で、それ以上に新しいのが中国の「荣光」! 曲調が新しすぎて、もうどうなるのかまったく見えなかった。

チャイナなメロディーもありつつ歌詞には中国語も結構入っていて、歌うのは難しかったのでは?

タカシ

そのへんは掘り下げていくとキリがないので、自分で発音を調べたりしながらも、響き重視にしたところはありますね。でも、この曲や韓国語の入っている「같이 가자」は、デモの段階でネイティブの方が歌ってくれていたんですよ。なので、それに則ってやらせてもらいました。

カイ

「같이 가자」は踊っていて楽しいですね。キツいけど、気持ちで踊れるタイプの曲なんです。

ユーキ

そう。一緒に踊って楽しめるから、今回『超特急・高校生ダンスプロジェクト』の課題曲にもなっているんですよ。

タクヤ

最初に振り付けの動画を観た時は“絶対に無理だな”と思ったんですけどね。なのに、ダンスプラクティス動画を撮った時、あのリョウガが“いい曲だ”と言っていて!

ユーキ

“あの”リョウガがですよ!

リョウガ

いやいや、言うよ! 結構!

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