「ネオネオアコバンド」を掲げるニュ
ーカマー・Nagakumo。関西発の4人が
鳴らすポップスを紐解く

ノスタルジーと新鮮さが同居している。「ネオネオアコ」を自称するニューカマー・Nagakumoの音楽には、90年代以降の国産ポップスの美味しい蜜が、芳ばしく濃縮されているように思う。メンバーはコモノサヤ(Vo&G)、ホオニシレイジ(Cho&G)、ホウダソウ(Dr)、オオムラテッペイ(B)の4人。ホオニシの呼びかけで集まったという彼らは、昨年の夏頃から制作を始め、年が明けた1月に結成を発表。初のep『PLAN ep』を2/17に自主制作CD発売、3/10にサブスク配信開始している。フリッパーズ・ギターCymbals、津野米咲や清竜人からの影響を公言する音楽性に、コモノの颯爽とした歌声が乗る良作で、今後の活動に期待が募る作品になっている。関西で産声を上げたばかりの原石に、ZOOMでのインタビューを試みた。
ーホウダさんは?
ホウダソウ(Dr):
僕はジャズからメタルまで聴くんですけど、影響を受けたアルバムを挙げるとしたらふたつあって。ひとつはくるりのベストアルバム『TOWER OF MUSIC LOVER』。もうひとつが上原ひろみのカバーアルバム『ビヨンド・スタンダード』です。くるりは音楽をやっている親の影響で聴き始めたんですけど、90年代後半から2000年代初期の音楽を聴くことが多くて、『TOWER OF MUSIC LOVER』は車で流れてきたのを聴いて以来ずっと好きなアルバムです。僕の周りでは「琥珀色の街、上海蟹の朝 」で知れ渡った感じがあったんですけど、僕はロックを奏でていた頃のくるりが好きで、特に「街」は大好きですね。
ー『ビヨンド・スタンダード』の方は?
ホウダソウ(Dr):
 サイモン・フィリップス(Simon Phillips)など海外のジャズドラマーが好きで、そこから上原ひろみを聴くようになりました。『ビヨンド・スタンダード』は彼女がバークリーのメンバーとバンドを組んだ初期の頃の作品で、変拍子のフレーズが本当に凄い。ジャズなのにプログレっていうところに凄く衝撃を受けました。
ーこの4人はどういうふうに出会いNagakumoを結成したんですか?
ホオニシレイジ(Cho&G):
僕とオオムラがやっていたバンドが2020年に活動を休止して、僕は暇になったので友達の紹介から、当時シンガーソングライターをやっていたコモノの曲のアレンジを担当するようになったんですけど。その流れでバンドをやりたいってなって話になって、オオムラを入れた3人と、僕の大学でセッション仲間だったホウダを入れてこの4人が揃いました。それが去年の秋頃で、そこからレコーディングをして結成を発表したのが2021年の1月です。
ーホオニシさんとオオムラさんはそれまでも一緒にやられていたんですね。
オオムラテッペイ(B):
ホオニシとは高校の頃からずっと仲の良い友達で、前のバンドをやっていた時から彼の曲が好きでした。活動休止とコロナ禍が重なったこともあり、去年は楽しくない日々を過ごしていて、僕も何か新しいことを始めたいなって思っていましたね。ちょうどそう思っていた矢先だったので、以前のバンドではギターを弾いていたんですけど、ベースでやれへん?って言われてすぐにベースを買って練習を始めました(笑)。
ーホオニシさんも他の形で活動するよりも、バンドへの情熱があったんでしょうか?
ホオニシレイジ(Cho&G):
そうですね。休止してから割りとすぐにソロ名義での活動を始めて、SoundCloudとかに自分の曲を上げていたんですけど、いまいち広がっていく気がしなかったというか、ひとりでやるのが性に合っていなかったんですよね。そこでバンドのありがたみというか、僕が作る曲は自分だけではどうにもならんのやってことに気づいて、また新しいバンドを結成しようと思いました。
ー一方コモノさんはシンガーソングライターで活動されてた中、何故新しくバンド活動を始めようと思ったんですか。
コモノサヤ(Vo&G):
元々バンドが自分のやりたい音楽で、大阪に来たらすぐにそれができるだろうと思っていたんですけど、1年くらい軽音部にいても全然メンバーに出会えなくて。それでぬるっと弾き語りを始めちゃったんですよね。ソロでやっていた時も、バンドの音が好きだからホオニシさんに頼んでいたとことがあったので、自然とNagakumoの結成の話になっていきました。
ーなるほど。
ホウダソウ(Dr):
僕は高校の頃は三重県でmishmashというバンドをやっていて、大学からはRudoっていう正統派邦ロックのバンドを続けているんですけど、一方でフリッパーズ・ギターのような渋谷系も好きで。レイジさんのギターもセッションしている時から好きだったので、バンドに誘われた時は二つ返事でオーケーしました。
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