長渕剛、無観客配信ライブ「ALLE JA
PAN」第二弾をクリスマスイブに開催
海、山、川のそばへ行きたい!
そこへ向かわせる日常の窮屈さや
自分という解放できない“代物”につきまとわれ、
時代という額縁に他人と自分をはめこむと
理由のない劣等感に襲われる。
確かに それは あった。
豊かになりたい?
お金が足りない?
仲間になりたい?
あいつに負けた?
誰が一位?――いつのまにか何者かに強いられて
訳もわからず、走ってきた。
正しいか、間違っているかなど、どうでも良くて
これが、俺だ!!と誰に威張り散らしたかったのか?
「それでもお前は、走るのか!?」と、
ある日の夕暮れが問いかけてきた。
人は、その夕陽に立ち止まるのは何故?
「それは、私の闘いがあまりにもさびしいからだ」
だから俺も、お前も、この夕陽を見つめると、
訳もなく涙が流れるんだろう。
幸せな家族も、昨日買った車も、その昔建てた家も、
そして、この俺も――。
愛してくれた父、母も、じいちゃんも、ばあちゃんも
幼い頃からの仲間も、ついこの前亡くなり、
跡形もなく灰になったじゃないか。
それでも人が生きていくのは、
キラキラと命をかけて支えあい創りあげた想い出が
あまりにも儚く美しいから。
その瞬間を明日へ向かう為に、
自分自身と仲間と、この時代を明日へ向かう為にだ。
苦しいことばかり。
それでも歌を歌って生きてこれた。時代を泳いだ。
社会の風は、恐ろしく冷たい。
都会の響きは、常に底冷えが鳴っている。
ねえ、夕陽を見に行かないか?
え?!
え?じゃなくて、今だ。
今、一緒にさ、夕陽を見に行かないか?―と言ってるんだ。
何年も、幾年も、お前は西に沈む夕陽が西に沈み切るまで見たことないんだろう?
「・・・うん・・・そうだな・・・そう言われてみれば」
涙が出るんだよ。夕陽を見つめているとさ。
この涙を流しに行きたいと感じ始めた。数十年前から。
俺は、ふるさとへ帰り、夕陽を追いかけてきた。
海があり
山があり
川がある。
当たり前の風景だ。
ただ、この当たり前の風景に立つと、自分がゼロになる。
俺が少年の頃、始めて抱きしめたギターの音がする。
何者であるか!など、一切関係が無く、
ゼロの俺が、このゼロの風景の中で歌う。
誰のためでもない。
ただここに生きている自分と、流れゆく川の為に。
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