【×ジャパリ団 ライヴレポート】
『×ジャパリ団 LIVE
~ヘドバンの準備は
できているか!?~』
2020年9月22日
at 品川インターシティホール
2020年9月22日 at 品川インターシティホール
ライヴは壮大なスケール感を放つEUROPEのカバー「The Final Countdown」から始まった。ステージに姿を現すと同時に軽やかにステージを行き来して歌い、3人で息を合わせてジャンプしたり、激しくヘッドバングしたりとフィジカルなパフォーマンスを展開するメンバー。激しいナンバーをバックバンドなしで披露すると寂しい雰囲気になってしまうこともあるが、華やかかつシンクロ率の高さが光るパフォーマンスで、それをまったく感じさせないのはさすがと言える。明るいメンバーたちの姿とドラマチックなサウンドのマッチングに、オーディエンスのボルテージは一気に高まった。
アメリカンロック直径の爽快感を押し出した「どきどき黙示録」やパワフルに疾走する「×レゾンデートル」、ヘヴィ&キャッチーな「確固不×論」などでさらに場内の熱気を引き上げたあと、×ジャパリ団のグッズを紹介するMCがスタート。グッズを紹介するジャパリ団員として、はなまるアニマルの3名が登場し、客席からは大歓声があがった。グッズ紹介に続いて、×ジャパリ団とはなまるアニマルはガンガン伝言ゲームと4曲同時当てクイズで勝負。負けてしまった×ジャパリ団は“今だから言える“ごめんなさい”をステージの中央で叫ぶ”という罰ゲームをすることに。メンバー3人は“×ジャパリ団のワンマンなのに、なんで私たちが罰ゲームをしないといけないのよ!”と愚痴りながらも“可愛くて、ごめんなさい!”(船戸)、“今日のライヴ、出だしでトチって、ごめんなさい!”(未来)、“マヨネーズ、かけすぎました!”(小泉)と、それぞれの悪事(?)を告白。メンバーの素顔に触れられることに加えて、はなまるアニマルと×ジャパリ団のやり取りも絶妙で、客席からは何度も笑いが起こる楽しいセクションとなっていた。
その後は、はなまるアニマルによる「はなまるアドベンチャー」と「いつだってはなまる」を経て、ステージは再び×ジャパリ団の世界へ。ハードな「ジャパリ狂詩曲~ジャパリ団のテーマ~」を聴かせると、ウォームなミディアムバラードの「絆ふぉーえばー」が披露された。ここまでの激しいステージングとは異なり、ゆったりとした動きでエモーショナルな歌声を届けるメンバーたちの姿も実に魅力的。×ジャパリ団の楽曲はヘヴィメタルをベースにしつつキャッチーに仕上げてあるため、「絆ふぉーえばー」のような曲が混ざっていても違和感はない。これは×ジャパリ団の大きな強みなので、これからはさらに楽曲の幅を広げていくことが予想できる。「絆ふぉーえばー」がライヴのいいアクセントになっていたこともあり、今後の×ジャパリ団がよりさまざまな表情を見せてくれることに期待したい。
未来の“よし、ここからはラストスパートだ!”という声とともにライヴは終盤に入り、高速で駆け抜けるサビパートを配した「ようこそジャパリパークへ メタルver.」やさわやかな「どきどき黙示録」などが演奏された。客席に煽りを入れつつ躍動感にあふれたステージングを織りなす×ジャパリ団と、そんな彼女たちに熱いリアクションで応えるオーディエンス。「どきどき黙示録」の前に振付けをレクチャーしたことも功を奏して、場内のボルテージはどんどん高まっていく。本編のラストソングとなった「ジャパリ狂詩曲~ジャパリ団のテーマ~」で、場内は一体感と熱気に満ちた盛り上がりとなった。
初のワンマンライヴを成功で終わらせた×ジャパリ団。今回のライヴを観て、彼女たちが『けものフレンズ』の枠を超えて、より多くのリスナーに支持される可能性を持っていることを実感できた。理由としては、まずユニットしての魅力が挙げられる。おっとりとした未来、しっかり者の小泉、キュートな船戸とそれぞれ違っていながら、どこか似通った物同士というメンバー構成がいいし、“リーダー+2名”ではなく全員が並列というのもいい。3人のケミストリーは絶妙で、強固なチーム感を生み出している。
もうひとつは、ユニットしてのあり方だ。×ジャパリ団は『けものフレンズ』から派生して生まれたわけだが、『けものフレンズ』の世界を具現化するのではなく、同作をモチーフにしたユニットという点がポイントといえる。ビジュアルは『けものフレンズ』を模しているが、MCは声優としての3名の個性が顔を出すし、楽曲の歌詞も『けものフレンズ』とリンクさせつつも普遍的なことを歌っている。さらに、楽曲の良質さも見逃せない。結果的に×ジャパリ団はゲームフリークはもちろん『けものフレンズ』のことをよく知らない、もしくはまったく知らない人さえも惹き込む魅力を備えたユニットになっている。
そんな×ジャパリ団だけに、今後の活動も本当に楽しみだ。来年4月25日に再び単独公演を開催することがアナウンスされたこともあり、秋以降の彼女たちの動きにも大いに注目していきたいと思う。
取材:村上孝之
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